変化した日常
第24話 ~変化する自分~
あの話をしてから翌日。
車を降り、昇降口へと向かう。
今日の空模様は曇りで、冷たい風が吹いている。
なんだか虚しい雰囲気を漂わせてる。
だけど、そんな日だからこそ変える。自分もこの空模様も!
そう思った瞬間、雲が風で流されて少しだけ光が射した。
教室。2年5組の扉は開いていて中に入る。
「おはよう。」 「おはよう。」
同時に声が被る。
僕は、被った人の方を見る。
寺野。
神楽坂さんではなく、この陽キャがこの教室には居た。
「ハマるなんて珍しいなー。」
そんなすっとぼけたことを言う寺野。
「神楽坂さんじゃない•••」
神楽坂さんはどこ?
寺野より神楽坂さんの心配をする僕。
「おっ、神楽坂じゃなくてショックだったか?っていうかなんでショックなんて受けたんだよ?」
そんなことどうでもいい。
変わろうと決意して初めて喋りかけたのは寺野。
なんだか、僕がシュミレーションしていたことが今、全て水に流された。
「なんで、いるの?」
僕が、なんとなく普通に話しかける。
それは寺野には、『なんで神楽坂さんじゃなくてお前がいるの』とってしまったのだろう。
「そんなに神楽坂が良いのか?大切な話をしにきたのに。」
大切な話。
その言葉だけが残る。
「何?大切な話って?」
僕がそう聞くと、
「お前、美智香和こども園って覚えているか?」
「えっ••••••」
僕がそう短く言う。
「その反応は覚えているな。ということは、お前は俺のことにもとっくに気付いていたはずだ。」
寺野が珍しく推理をしたようだ。
「そ、そうだけど。」
そうなんの変哲もなく返す僕。
もっと変える努力をしなければ、
「やっぱり気付いてたか。じゃあ久しぶり稜駿。もう何年ぶりだろうな。」
「8年だよ。もう8年。その間に随分と変わったね。」
僕もそう言う。
8年前の寺野は、赤いTシャツが似合いそうな活発な子だったのが、今は制服を着てみんなからも注目を集める存在。
それは、相手も思っているだろう。
僕は青のTシャツが似合いそうな爽やかそうな子が、今は陰でひっそりと隠れて過ごしている。
そう昔のことを思い出していると、
「なぁ稜駿、相談したいことがあるんだけど。」
突然寺野は話しかけてくる。
「ん?何、大切な話ってこれ?」
僕がそういうと、
「あーそうだ。稜駿、明日の校外学習のグループ俺たちと組まないか?」
••••
アーーーーーー
明日、校外学習だ。
忘れてた、そういえば前に小松原さんと帰った時に話してた。
全く頭になかったので、そんなことを言われても困るが、僕は
「うん。わかった。」
僕は快諾した。
これには、理由がある。
変化したい。何よりそれが1番の理由だ。陽キャになりたりわけではないが、クラスメートの交流関係を築きたい。そう思ってこの話に乗った。
「おっそうか。ありがとう。また、楽しもうぜ。」
「うん。そうだね。楽しもう!」
僕がそう言うと、寺野はどこかへ出て行った。
今日はとても疲れました。
一段と疲れがどっときてしまいました。
次回は、校外学習です。
それでは今回も読んでいただきありがとうございました。




