守れ!会社の日常を!
第22話 ~あの2人~
塾に行って次の日。
いつも通り車で来て、神楽坂さんと『美和中ノート』を提出し、いつもの変わった日常を過ごす。
人だかりの中、ある人がやってきた。
「よぉーこんなとこから俺参上!」
車で通う前までは一緒に帰っていた小松原さん。
「どうしたの?」
僕がなんとなくそういう。
「いやー鈴木さんって住んでる場所ってあのどでかい家?」
小松原さんがそう言う。
『どでかい家』というのは、僕の家だ。この辺りでは、あの屋敷のことを『どでかい家』と総称するらしい。
「そうだけど。」
僕がそう言う。
「マジでじゃあさあ、その家案内してよ!」
小松原さんがそう言った瞬間、周りの人たちが僕の方を振り向き、僕をじっと見ている。
なにこの雰囲気?
今この時点で、『いいよ。」って言ったら他の人たちが『じゃあ僕も行きたい。」と言って来るはず。
そう言ったことは避けたいため小松原さんを連れて、人通りの少ないところに行った。
流石にゾロゾロとみんながついてくるわけなく2人になれた。
「どういうこと?」
僕がそう聞く。
「いや、そういうことだよ。」
どうしよう。特に招いて問題ないしなー。よし!
「いいけど、自転車は置いてかないとダメなんだけど。」
そういうと、
「オッケー。任しといて。」
小松原さんは、自転車を一度自宅に置き、小松原さんの自宅に宮條さんが運転する車に乗せてもらうそうなので、自宅の住所を書いた紙をもらい、僕と鬼龍院さんは車に乗って一足先に屋敷に行く。という計画だそうだ。
1番働く宮條さんには申し訳ないが、頑張ってほしい。
放課後。
既に宮條さんには、今日のことの旨を伝え小松原さんを向かいに行ってくれている。
僕と鬼龍院さんは屋敷の前にいた。
いつもの長い道を歩き、扉を開ける。
「どうする?」
僕はそう、鬼龍院さんに尋ねる。
「そうだな。じゃあ社長室。」
いきなりハードな場所だな。
大丈夫だろうか?機密情報的なものはないだろうか?
そもそも中に人がいたりしないだろうか?
まぁともかく僕は、社長室に行った。
扉を少し開けチラッと中を覗く。
中には、誰もいない。
僕は扉を開けて、鬼龍院さんを部屋に通す。
「へぇーここがそうなんだ。」
鬼龍院さんはまるで棒読みの如く言い僕は変な違和感を感じた。
「まぁ、座りなよ。」
そう言い商談用の椅子に座るようにと促し鬼龍院さんがそこに座る。
「あのさー鈴木。なんで社長になったんだ?」
この人はいつも際どい質問をしてくるな。
「まぁ色々。」
僕がそう曖昧に答えると、
「おーい。しっかり話そうぜ。どうしてなんだよ。」
鬼龍院さんは、なんだか俗に言う“ヤンキー”な口調で••••
これって今脅されてる?
「だから、話せない。」
もうキッパリと言うがそれに火をつけた鬼龍院さんは、立ち上がり
「なんなんだよーお前!陰キャの癖して生意気だなおい!」
そんなこと言われても僕は屈さず、
「話せないことを話すのはダメでしょ。それに何?さっきからそれ聞いてなんの得になんの!」
できるだけ落ち着き、座ったまま冷静に対応する。
「なんでもいいだろ!とっとと教えろ!」
今にも殴りかかってきそうだが、僕は怯まず
「教えない。教える気もない。」
僕はそう答えた。
これは、一体どういった状況だ?
何故、鬼龍院は僕が社長になった情報を欲しがるのか?
「クソが!お前ふざけんなよ!いいからとっとと教えろ!」
似たような言葉を繰り返す鬼龍院。
「じゃあ教えなきゃならない理由は何?」
そう僕は反撃する。
「なんでもいいだろ!」
「なんでもよくないから言ってるじゃん!会社の情報をそんな簡単にホイホイと教えれるわけないじゃん!」
冷静!冷静!僕は心の中でそう唱える。
「んじゃもういい!あの机のパソコンから情報を盗ってやるよ!」
そう言い、鬼龍院は社長机のパソコンを指差した。
「そんなの、パスワードがかかってるんだから開けるわけないじゃん!」
僕がそういうと
「ピローン」
パソコンが開いた音だった。
「ふっ、そんなんだからこの会社は!」
鬼龍院がそんなおかしなことを口走る。
「えっ!ちょ、ちょっと!」
僕は冷静を失い慌ててデスクの方へ行き鬼龍院を止めようとするが、体格差故跳ね返されてしまう。
どうしよう。
そう考えていた時に、
「バン!」
社長室の扉が思いっきり開いた。
そこには、橘さんと宮條さんと後ろに小松原さんがいた。
「おい!鬼龍院!」
橘さんがそう言った。
何故、鬼龍院のことを知っているのだろうか?
「お前誰だよ?」
パソコンに目を向けて、こっちを見ようともしない鬼龍院。
「俺は橘 躬弦この名前を聞いてわかるだろ!とっとと出て行け!」
その瞬間、鬼龍院は顔を上げて橘さんの顔を見るなり怯えた表情で、走り社長室を出て行こうとするが、扉の前にいた宮條さんが思い切り、鬼龍院の腕を掴み「ハッ!」と言って背負い投げをした。
そして、鬼龍院は気絶した。
「すみません。やり過ぎてしまいました。」
宮條さんがそう言う。
この場にいた全員が、宮條さんに怯えていた。
鬼龍院はその後、車で家に送り返された。
彼の家は、橘さんが知っていた。
この事件のすべての発端は橘さんが原因である。
鬼龍院の父親が元々この会社で働いており、橘さんと年の離れた同僚だったそうだ。
この2人は、業績を順調に伸ばしとうとう2人は重役になっていた。ところが、現在は橘さんは副社長だがその前は、専務取締役だった。その専務取締役で2人は争っていた。結果は、橘さんの勝利だった。だがそれを気に食わなかったのか鬼龍院の父親は、「こいつは不正行為をした。」と会社に訴えたが相手にされず、その時ちょうどリストラ候補に入っていた鬼龍院の父親はおかしなことを言う奴+リストラ候補ということで、人事部は鬼龍院の父親をクビにした。そのことにより、鬼龍院の父親は仕事を失い、鈴の音イグディスと橘さんを恨みそれでちょうど社長になった僕が鬼龍院の父親の息子(鬼龍院 初)と同じ学年だと知り息子に鈴の音イグディスの調査をして来いと頼んだそうだ。
だから、会社のパソコンのパスワードを知っていたのか。
そして、鬼龍院はこのことを小松原に言い協力してもらったそうだ。
だが、小松原は、宮條さんに惚れてしまい、今回のことを話したそうだ。
つまり内部告発である。
そして鬼龍院を家に届けた際に家にいた母親が、
「どうか、訴訟などは起こさないでください」
と鬼龍院の母親に頼まれ、今回のことは見逃す。ということになった。
大変な1日だった。
もう人を呼ぶとかできなくなる。
人間不信。
その言葉が今の自分に1番似合っているだろう。
これ治るのだろうか?
まぁそんなことはともかく、お風呂を済ませ食堂に行く。
そして、ドアノブに手を掛け開けると、
「稜駿。さあさあ座って。」
母親がいた。
本当にすみません!
停滞前線とか言っときながら、急速に発達して、台風になってしまいました。
当初の予定はこんなのではなかったのですが、執筆している途中にこうしたら、いい感じになって伏線もどうたらなんて思ってしまいました。
第1章も嘘ついていますが、何度も失敗を繰り返すと、馬鹿みたいじゃないですか。(もう、馬鹿でしょうか?)
本当にごめんなさい!
次回は、母親との対話が主なメインです。
今回は大丈夫です。ちゃんと「母親がいた。」と次回に繋がるようになっていますので、急速に発達などはしないと思います。
もうそろそろ第2章も終わりですね。
第2章が終わったら「陰キャの日常if」の第2章が始まるのですが、ここでお知らせです。
最近、色々忙しく投稿が不定期になるかもしれません。だから、「陰キャの日常」の第2章が終わったら1週間ほどお休みしますが御了承願いします。
今回は本当にすみません!
前回を読んでくれている方、今回も読んで頂きありがとうございます。
又前回読んでないけど読んだという方(あまりいないと思いますが)、たのしんでくれたら幸いです。これからも読んでくれると、ありがたいです。
それでは、本当にすみませんでした。




