かわいい弟子達
大陸に移りとある国の首都の近くにある村に居を構えた。
そこで小さな畑と魔法私塾を開いた。
魔法を教える私塾は大陸中にあるが、それは富裕層の為にあるものだが、別にバッシは金儲けがしたかったわけではない。
日々の生活が出来れば充分という考えで、周りの村々から生徒を激安で募った。
簡単な魔法の才能の有無を見て、合格すれば誰でも門戸を開いた。
魔法を使えるのと使えないのでは、国での出世が違う。多くの農家の子供達とバッシの才能を認めた貴族や商人が来た。
バッシは農家の子供であろうとも才能があれば入塾を許し、どんなに身分の高い貴族であろうとも才能が無ければ入塾を認めなかった。
それに対して嫌がらせをしてくる者達もいたが、バッシの魔法によって全員が黙ったり没落していったのだ。
子供達が増えると次第に忙しくなり。身の回りの世話をしてくれる人物を探した。
バッシは、父親を戦場で無くし、母親が病に侵されてしまった少女のサキを雇った。
彼女は十歳と幼いながらも、甲斐甲斐しくバッシの身の回りの世話を行い給金を母親の為に使った。
授業料としてもらった野菜のあまりもサキにあげたりともした。
特に優秀なのは三人。
一人目は、貴族の息子のサンド十二歳。純粋に魔法の才能があって私塾で一番の成績だ。
二人目は、商人の息子のイーグ九歳。さすが商人の息子といった所か彼は算術に秀でていた。魔法の才能とは魔力過多である。だが、それ以外にも古代語による理解、算術が大事な要素である。充分な魔法の才能を有し、一部の高度な計算が必要な魔法では、サンドよりも威力は高かった。
三人目は、農家の息子のモーリー九歳。魔法の才能は普通。算術も普通。だが、古代語の理解と処理能力はぴか一の才能である。
この三人とサキを中心に私塾は回っていた。
ある日。私塾の授業が終わった後にいきなりサキがバッシの部屋に入って来た。
「せんせー、大変なの」
「どうしたんですか?」
「ちょっと、こっち、こっち」
そう言われてバッシはサキに押されて庭に連れて来られた。
「あっち、あそこ、先生、怖いから先生だけで行って」
そうサキに言われたバッシは足元を見た。
土の色が違う。
一目でわかる落とし穴だ。
顔を動かさず、魔法で視点を後ろにすればサキがにししと笑いを堪えている。
そして、その後ろでサンド、イーグ、モーリーの三人が隠れているのが見えた。
(可愛らしい子供悪戯か。よし)
四人がしようとしている事を見抜きバッシはそのまま前に進んだ。
落とし穴に足を踏み込む瞬間後ろの四人は期待を込めた目で声を上げないようにしていた。
だが、バッシは飛行の魔法を使って、浮いてる様に見えない地面スレスレをホバリングした。
(私が落ちない事で全員唖然としてるな)
バッシはそう心でにやけながらサキに言われた場所へ到着した。
「どうしたんだ?」
「あ、えっと、なんかそこに怖い動物がいたんです。いなくなっちゃったのかなぁ?」
サキは口を細め吹けない口笛を吹いていた。
「いなくなったのはいいことだな。さて、戻るか」
そう言ってバッシが戻ると四人が落とし穴の周りに集まった。
「なんで落ちなかったんだ?」
「さぁ?」
「イーグ、お前計算間違えたんじゃないのか?」
「そんなわけないよ。先生の重さで落ちるようにしたよ」
「そうか?」
モーリーが落とし穴の上に乗ってその強度を確かめるようにジャンプして、そのまま落とし穴が出来て四人は落ちるのだった。
落とし穴の発動の音と共にバッシがやって来て四人を救出し、四人に説教の後、シャワー状にお湯の出る魔道具で綺麗にしてから帰すのだった。
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