不老不死男のお見合い
三人の男女が丸い机に座っていた。
男の一人は笑顔が引きつっており。もう一人の男は何か良くわからなくてオロオロしている。女は何かが気に入らないのかイライラしている。
「それで、なんでバッシ君がここにいるの?」
チサが呆れた声でユーイに語りかけた。
「だって姉さんの希望に合う人ってのを考えたらさ。自然と出てきたんだよ」
「だからって」
「あの、俺は……ってか、チサさん帰ってきてたの?」
バッシが注文の指輪を完成させ持ってくるとユーイに手を引っ張られここに連れて来られ座らされた。
「もう、まったく。私だけじゃなくてバッシ君に何も説明してないの。はぁ。仕方ない。私が言うわ」
チサがそう言ってバッシを見つめた。
二人の間に微妙な空気が流れ互いに黙った。
「私ね。二回目の結婚も失敗しちゃったんだ。相手がすんごい、すんごーい、ろくでなしでね。私が何度言ってもギャンブルをやめないから、三行半を叩き付けてきちゃったの」
「は、はぁ」
(そうなんだ。チサさん別れたんだ)
「それでね。この愚弟に新しい相手を見つけてとお願いしたの。それで見つかったって言われたから来てみたらバッシ君がいたの」
チサは人差し指同士を付けたり離したりしてバッシに説明を続けた。
「ごめんね。バッシ君。嫌よね。こんな年上で二回も結婚している女なんて」
「えっと、チサさん。俺、嫌じゃ、嫌じゃないですよ。その、俺、チサさんの事好きだったし、今でも……好きです」
部屋に微妙な空気が流れる。
「そっか、ふふふ」
チサは椅子から立ち上がりゆっくりバッシに近づいて襟首を掴んで、バッシの頭を下げさせる。
低身長のチサとバッシの顔が至近距離に近づいてチサはそのままバッシの唇にキスをするのだった。
「バッシ君がよければ私は貴方と結婚したい。本当に、本当にあなたの言葉を信じていいの?」
チサの言葉にバッシは何も言わずにコクコクと何度も頷いた。
「じゃあ、バッシ君の気が変わらないうちに、ごめんねこんな急かしちゃって」
「いや、うん。大丈夫」
ユーイはバッシの初々しい慌てっぷりを珍しいものと思って見守っていた。
チサはバッシの手を取って村の集会所へと向かうのだった。
一つの街に一つの小さな夫婦が誕生するのだった。
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