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~不老不死の業~  作者: 名はない
戦乱の二人
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三代目の遺産

 陣幕の中でサキとバッシが向かい合って座る。


「あれの正体ってわかる?」


バッシの質問にサキはこくんと頷いた。


「あれは魔武器ですね」


サキの答えにバッシはその通りだと頷き返す。


 魔武器。

人の魂を武器に封じ込めた物で、封じ込められた魂の想いと同調する人物を使い手として選び。使い手となった者に力を与える。

使い手と魔武器の共鳴する想い。使い手の想いが強ければ強いほど解放される強さは大きい。

ナオヤの持っている魔武器が金属の鎧や盾を簡単に切り裂くのは魔武器の影響である。

武器その物に意志があって使い手と語り合う事が出来る。

おおよそ三百年前に数本作られた後に製作者が謎の死を遂げ作り方も伝わらずに失われた技術であった。


「あれは三百年ほど前に三代目が作った魔槍タナカだ」


「え? へ? 魔槍タナカ? もしかして三百年前に魔武器を作ったのはバッシさんのご先祖様?」


「いや、一族で血のつながりは無いんだ。初代と二代目、九代目と十代目が親子なだけだな。ってそうじゃない。三代目はその人物じゃないよ。魔武器の製作の技術を製作者から奪い製作者を殺した人かな」


バッシがバツの悪そうな顔をしてそう応える。


 三代目は一族で二人しかいない女性である。

彼女は両性愛者であり二人の恋人がいた。

タナカとタカハシの二人で、ちなみにタナカは女性でタカハシは男性だ。

三代目は魔法使いであるが、この二人は剣士と槍使いであった。

互いに武を競い認め合っていた。

三代目が研究に没頭し、二人が武者修行をしに行った時に事故は起きた。

二人が武者修行の地で亡くなったのだ。

三代目は悲しみに暮れたが、それで終わらなかった。

この大陸で魔武器というものが開発されたと聞きこの大陸に向かい製作者に会った。

魔武器を手にとって三代目は一瞬で理解した。三代目も他の代と遜色ないほどの天才であった。

急いで帰ろうとした三代目を製作者はとんでもない物を作ったと懺悔し死を願った。

三代目は了承し、製作者を自然死にみせて殺すのだった。

三代目は急いで二人の魂を封じた魔武器の製作を開始する。

元となる武器は二人の愛用していた槍と剣を使い魔法式を組み込んでいった。

魔法式の組み込みは一年とかからずに終わった。だが、その次である封じ込める二人の魂を見つけなくてはいけなかった。

事故で死んだ地にはすでに魂は無く。ただひたすら探し続け二十年間探し続けついに二人を見つけ出す事が出来た。

三代目は不老不死の研究を忘れ完成した魔武器二本と共に過ごし続け死んだ。

遺言で自分は先代、先々代の意思を継がずに魔武器の研究に没頭してしまった事を悔いて、これ以上魔武器の研究をする事を禁じた。


 その後の二本は四代目によって大陸の武の聖地である神武寺に収められる事となった。

神武寺の僧正と二本は共鳴した。

以降この二本は神武寺の僧正に受け継がれていく事となった。

だが、サキとナオヤが戦った日からちょうど百年前、神武寺の次代を担う高弟二人が互いに争う事となった。

片方が魔槍タナカに認められ、もう片方が魔剣タカハシに認められた。

魔槍タナカと共鳴する想いは、最強を目指す想い。

魔剣タカハシと共鳴する想いは、武のいただきを目指す想い。

二つの想いは似ているようで違う。

ついに喧嘩別れのように高弟の一人が魔槍タナカを持ち出し去ってしまったのだ。

神武寺はその高弟を追ったが、返り討ちにあった。

その後、魔槍タナカは人から人へと共鳴する人物を変えて受け継がれてきた。

現代の使い手がナオヤなのである。


「そういった流れがあるんですね」


「ああ、あれは我が一族の作った物だ。本来の製作者のよりも性能がいい。一応魔力を干渉させれば使い手でなくても何を話しているかはわかるんだ。それでわかったのは、今の使い手はものすごく相性がいい」


「そうですか……。ですが、負けません!」


「サキちゃん?」


「武器がもたないなら、沢山の槍を地面に刺して折れたら新しいのを取って戦えばいいんです。明日は負けません」


力強く拳を作ったサキを見てバッシはサキの事をさらに愛おしく思った。


「わかった。私も決心がついた。明日の昼まで待っててくれ、昼までには絶対戻るから」


そう言ってバッシは陣幕を開ける。


「どこへ?」


「私塾のあった場所へさ」


止めようとするサキの手をかわし、バッシは魔法を全開にする。

暗闇の中浮かび上がり私塾があった場所へ向かうのだった。


 全速力で空を飛んでいた為、日付が変わる前に私塾に到着する事が出来た。

魔道具を起動させ自宅と繋げる。

自宅に入り自分の寝室へと向かう。自分のベッドの上にはチサが使っていた錫杖があった。


「チサさん。また君に頼っちゃうな」


『どうしたのバッシ君。私の力が必要なの? いいよ力なら貸してあげるよ』


錫杖からチサの声が響いてくるのだった。

誤字、脱字があれば報告おねがいします。

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