素直になる
深夜のバッシの寝室に一人の侵入者入ってきた。
「どうしたの?」
バッシがベッドから起き上がり侵入者を見れば侵入者は驚いて飛び上がった。
「バッシ様……」
目を潤ませて部屋の入り口にサキが立っていた。
バッシは食客としてターラーから屋敷を貰っておりサキは千人将としての宿舎を持っている。
サキは宿舎を抜けてバッシの屋敷に来たのだった。
バッシの屋敷に入った時にすでにバッシに補足されていたが、相手がサキだったのでバッシは警戒せずにいた。
部屋の前で何かゴソゴソとしていたのに気づいて待っていたら薄い体の線が出る服を着てサキが入って来たのだった。
「バッシ様、私は、貴方の事が好きです。愛してます。だから、だから」
「待ってサキちゃん。それは勘違いじゃない?」
バッシは優しく諭すような声でサキに話した。
「違います。私はずっと、バッシ様の事が好きだったんです。十二歳になった頃からずっと」
目に涙を貯めてそう叫ぶサキの本気をバッシも感じた。
「わかります。刻死病のバッシ様には昔奥様がいた事。でも、そんな事で私は諦めたりしたくないんです」
早足でバッシの元へ近づきサキは体をくっつける。
「もう言わないで後悔して恐怖するのは嫌なのです。バッシ様、もう拒絶される覚悟は出来ました。さぁ、お願いします。私を受け入れてくれるのならこのまま……。拒絶するのなら拒絶してください」
バッシの目を力強く見つめた後、ゆっくりと目を瞑った。
(ここもで思ってくれてるとは……。逃げるのは駄目だ。いいのかなチサさん……。でも、受け入れた後、またこの子を失うのはつらい……。別れは絶対に来る)
目を瞑って待ち続けるサキはギュッとバッシに体を寄せた。
ターラーに国宝と称された胸がバッシの体で押しつぶされる。
トクントクンと流れるサキの心臓の音が体を通じてバッシに聞こえてきた。
魔法によって動いていない心臓の鼓動を感じたバッシはサキが一気に愛おしくなった。
「サキちゃん、いや、サキ、君を私の奥さんにしてもいいかい?」
「はい、私はそれを望んでいます」
サキの言葉を聞いてバッシは手を広げて一気にサキを抱きしめた。
普通の女性よりは逞しいがそれでも女性らしい柔らかさと弱さをバッシは感じた。
バッシはサキの体温を感じながら愛おしく抱きしめ直す。
目を瞑ったサキの顎を持ち上げてバッシはその唇にキスを落した。
そのキスを喜びの涙と共に受け取るサキをバッシはそのままベッドに押し倒すのだった。
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明日からしばらく二十三時間更新




