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~不老不死の業~  作者: 名はない
共に歩みたかった。
2/30

不老不死になっても変わらない暮らし

 ガラガラと手押し車の動く音が鳴る。

バッシの住む山の麓の街にある商館に手押し車が止まった。


「おっす! 良く来たな」


一人の男が商館から出てきてバッシを出迎える。

バッシの幼馴染でこの商館の跡継ぎであるユーイである。


「ほら、今回の品物だ」


バサリと手押し車に掛かっていた布を外して中を見せた。

中には魔石と呼ばれる赤い宝石のような塊、金属を加工した物、魔物の皮や骨、樹木を加工した装飾品である。

全てが魔法道具であり一部はユーイの店で材料を買って、一部は自らが狩りをして魔物を剥ぎ取り。加工していた。

バッシはこれらを売って生活していた。


「今回も良い物ばかりだな」


ユーイは、品質確認の為に赤い魔石を太陽に浮かせ、覗き見た。

ユーイは、魔石に掛かった魔法を確認する。その一つ一つの加工品の品質を確認して、手に持った紙に書いてゆく。


「んじゃ、今回も加工前の魔石と宝石と銀と食料でいいんだな?」


「ああ、あ! でも今ちょうどキャベツの料理に凝っているんだ、食材にキャベツを増やしてくれ」


「わかった」


そう言ってユーイはメモに書き込み中にいる人に指示を出した。

中から荷物を持った人とバッシの作った品を運び込む人が出てきて仕事を始める。

全ての仕事が終わるとユーイはバッシに硬貨の入った麻袋を渡す。


「んじゃ、これが、今回の売買の代金だ」


「わかった」


そう言ってバッシは袋を受け取って懐に入れる。


「それと相談なんだが」


「なんだ?」


バッシが帰ろうとするのをユーイが呼び止めた。


「あのな、その」


「もじもじするな気持ち悪い」


言い難そうにしているユーイをバッシはばっさりと切り捨てる。


「わ、悪い。お前に依頼がある」


そう言ってユーイは硬貨の入った麻袋と宝石と銀を取り出した。


「俺今度結婚しようと思うんだ、だからその指輪を作って欲しいんだ」


(ユーイついに結婚するんだ。そうか、相手は多分あの子だろう)


バッシは暖かい目でユーイを見つめる。

ケンイチに連れられてこの店に連れて来られ、ユーイと姉のチサさんに出会い、ケンイチがここへ来る度に三人で遊び、バッシが魔法を覚えて荷物を持たずに行けば数分で山を降りる事が出来るようになれば毎日のように遊んだ事を思い出すのだった。

二人が十六歳の時二歳年上のチサさんが嫁いでいった。

その頃からバッシは不老不死の研究を始め、ユーイは諸国見聞という建前であっちにふらふら、こっちにふらふらと旅に出始めるのだった。

バッシが作った魔道具の実験もかねての旅であり。この時に産まれた結界玉は商館の主力商品でもある。

ユーイの父親やチサさんはそんなユーイに呆れながらも、諸国見聞の土産として貴重な品を持ち帰り商店を大きくしていた。

だが、十八歳の時にユーイが連れて帰って来たのは十二歳の女の子、タカコである。

ユーイはチサにどういうことか説明しろと言われながらボコボコに殴られ彼女の事を説明するのだった。

その後、タカコはこの家の家族として迎えられ過ごしていった。

商品を売りにたまに来るバッシでもタカコがユーイに惚れている事はわかった。

だが、ユーイはそんな事まったく気づかないで接していた。


(あの鈍感だったユーイがついにか)


バッシはニヤニヤとユーイを見て、そっと耳元に顔を近づける。


「相手はタカちゃんなんだろ?」


「そ、そうだ、良くわかったな?」


「いや、やっとかと思ったぞ、この鈍感クソ男が」


「親父にも姉貴にもそれ言われたぞ」


慌てるユーイから離れてバッシはお金と宝石と銀を受け取る。


「とりあえず、期限は?」


「二週間(十四日)以内で頼む」


「わかった」


そう言ってバッシは手押し車を押して山へと帰るのだった。




 ~???~


「はぁはぁ、すまない。じゃあな」


「ちょっと目を覚ましなさいよあんた、あんたぁぁぁぁぁ」

誤字、脱字があれば報告おねがいします。

感想をいただけるとうれしいです。

批判もどんとこいです。

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