焦りだす兄達
ターラーの領地経営が上手くいってると焦る人物がいる。
ターラーの兄二人は後継者として争っている立場であった。
互いに王都近くの領地を任せられて互いの能力を王に見せていた。
ターラー自身は、母親の身分が低く、任せられた領地も決していい場所ではなかった。
だが、ターラーが就任してからの三年間で領地を瞬く間に発展させた事が王の目にとまった。
一年前に王が病で倒れた事により後継者の問題が出て来たのである。
二人のうちどちらが王になるか、その問題で新たに出てきた候補に兄二人は慌てる事となった。
兄の二人は後ろ盾となる貴族や官僚を使い三年前に勝利した隣国への出兵決めた。
互いが六千の軍勢を整え、ターラーにもニ千の軍勢を出すよう要請した。
ターラーの領地では二万の軍勢を出すほどの余裕があるのだが、兄二人の領地では六千が限界だった。
ターラーの二千の軍勢は何か失敗を犯せばターラーを責める事が出来て、何か武功を上げても奪える算段だった。
ターラーは大将をサンド、副官に千人将に出世したサキを充て、二千の軍勢を用意するのだった。
ターラーの兄二人は終始互いを意識していた。
それが競い合って高めあっていればいいのだが、二人がやっていたのは足の引っ張り合いだ。
ターラーの国は二万の軍勢を用意し、相手を滅ぼすのではなく、一戦当たり勝った所で交渉して領地を手に入れるという方針で動いていた。
敵国も一万の軍勢を集める事しか出来ない状態だったのもある。
二倍の兵力差で、どう戦う? よりもどちらが上手く勝つかという争いになってしまった。
敵国も国境に防御陣を張って動かず見守っているだけだった。
最初は普通にぶつかって様子を見るだけだったが、防御陣は堅くビクともしなかった。
ついに業を煮やした二人は兵を二つに分けて挟撃をする形をとった。
三年前のターラーが行った勝ち方を真似しようとしたのだった。
互いに自分達を支持する貴族の兵を率いて八千と九千の軍勢で密かに動き出すのだった。
だが、敵国の総大将オーダ将軍はそれを見逃さなかった。
二人が別々に動くと予測し、動き出したと同時に兵士に大量の食事を取らせ万全の状態にし、出陣した。
まず九千の長兄の部隊へ向かい彼らが進軍している横っ腹を奇襲したのだ。
兵数はほぼ同じだが、防御陣から出てこないと安心しきっている兵に対しての奇襲。兵の状態が万全なのと普通の状態であるの違いも出た。
まさに蹂躙と言っていいほどの圧勝でターラーの長兄も討たれてしまうのだった。
オーダ将軍はそこで止まらずターラーの長兄の軍の旗を回収し防御陣へ全力で戻り兵士に大量の食事と小休憩を取らせた。
そして五百の兵と二千五百の兵を別働隊として編成した。
ターラーの次兄の軍は長兄の軍がまだ到着していないのを喜びオーダ将軍の防御陣へ突撃した。
だが、オーダ将軍率いる軍の守りは堅く彼らを押し返す。
そこへ長兄の軍の旗を持った軍五百が反対側から現れたのを見て、それがオーダ将軍率いる軍の兵五百と気づかずに、次兄は勝ったと思い、後ろの警戒をしていた兵すら攻撃に参加しだすのだった。
攻撃が最大になった瞬間オーダ将軍は太鼓を鳴らし別働隊に合図を鳴らす。
別働隊二千五百がターラーの次兄の軍の後ろから現れ彼らに襲い掛かったのだ。
後ろを守っていた兵すら前の攻撃に参加していた次兄の軍は一瞬で混乱に陥るのだった。
挟撃するつもりが挟撃されてしまった状態である。
あっという間に次兄も討たれ軍も散り散りになってしまう。
オーダ将軍は最後の仕上げとばかりに残った三千の兵に襲い掛かるのだった。
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