第9話 物語の始まり
バトル多め!相変わらず遅れてます
その剣は、ただひたすらに美しい、それしか言葉が見つからない
少し錆びて金が落ちているにもかかわらずその存在感は圧倒的だった、もはやそう表現するしかないように思った
そう思い俺はその剣に向かって無意識に歩き始めた
なぜかはわからない、なのに歩く足を止めようとも思わない
だがふと横を見て目に入った壁画を見て足を止めた、それに書かれていた文字は読みにくかったが読める部分だけ読むとこう書かれていた
『古の時代…決定付ける…戦争…勝利…我ら』
それははかつてこの世界に住む種族一つを決定させるために行われた戦争の内容だった
でもなぜそんなものの壁画がこんな所に置かれているのか、それが気になり怪我をしていたことも忘れて夢中で壁画を見て回った、だがなぜこれほどの規模の遺跡があるというのに誰もここを探索しなかったのか、その理由がわからない
、そう思いながら指で文字をたどっていると浮かし彫のはずの文字の中に一つだけ何かがはまっていたようなへこんでいる部分があった、それの周りにも文字が書かれており、こう記されていた
『…かつて…もたらした…継ぐもの…極の…』
さっきのものとは違い全く意味がわからない、この壁画は一体なにを指し示しなにを意味しているのか、その壁画に触れながらゆっくりとかんがえた
でも全く答えが見つからない、と思っていたが一瞬幼い頃に読んだ本のことを思い出した
それはなんだったか…なんと言うものだったかまだわからない懸命に思い出そうとする…
が、突然、忘れていた怪我の痛みが蘇ってきて思考が途切れてしまった
とりあえず怪我をしている部分を簡単に治療をしようとした
…その時だった
「…!」
突然遺跡が小規模であったが崩壊をした、それにしても一体誰が…そんな答えはすぐにわかった
「いやー思ったより頑丈だなー」
「でもあと2、3回やれば完全に壊せるだろ」
どうやら崩壊させてたのはあの連中の爆破魔術らしい
一瞬は遺跡あらしかと思ったがよく見てみると俺の着ている魔道学校の制服だった
でも遺跡での素材発掘なら爆撃なんて必要はない…いや言動から目的は素材じゃなく破壊だ
でも破壊なんてして何の得が…?遺跡破壊なんて逆に損しか生まない気がするが…
それともこの遺跡になんかしらの恨みでもあるのか?
「ま、たまたまここに入ってくれたのは俺たちの運が強かったと言うべきか」
運?入る?何を言っているんだ?
「しかしあの情報が入ってきたときは俺たちも驚いたよなー」
情報?なんのだ?
…その情報がいちばんの衝撃だった
「まさかこの学校に竜王の息子がいるとはな」
…なんだって!?情報漏れにも程があるぞ!
そんな極秘情報をどこで…
「ま、まだ仕留められてないけどなぁ!」
と相手は叫び、俺のいる方向に爆撃の魔術を放ってきた、それをなんとか間一髪で避ける
だが身を潜めていた壁はガラガラと音を立てて崩れ落ちてしまった
「やっぱりなあ、生きてたか」
「まあな、こっちも死にたくないしな、それにしてもそんな情報どこで仕入れていたのかが一番気になるがな」
「知る必要はねえ、これから死ね奴がな!」
また敵は叫び、俺に向けて先ほどと同様の魔術連発する、俺は防ぐ術がないためただひたすらに避けるのに専念しようとする…が、そううまくも行かず気がつけば真横に剣を持った敵の仲間が近づいていた
「これでも喰らいなあ!」と相手は剣を振りかざしてきた
護身用の武器で防ぐも先ほどの落下で耐久が限界だったのかあっさりと剣は折れた
もはや防ぐことも戦うこともできない、ならひたすら逃げるしかないと思い足に力を入れ必死に走ろうとした
だが、剣と同様に傷ついていた体から痛みが走り少し俺はひるんでしまった
相手はその一瞬を見逃さずに強力な一撃をいれてきた、そのため俺は大きく吹き飛ばされ何かに当たって止まった
「なんだ?どうした?王家のやつってのはそんなもんなのか?」などと敵が言っている
ーこんなところで…俺は死ぬのか?
そんなことを思うのはこれで二度目だが前のとは比にならない
そんなことを思いながらもぶつかった何かに寄りかかる…と金属のような感覚があった
そこにあったのはあの美しい剣、突き刺さっている台座には文字が削れているが何かが書かれている
『エクス…』
竜族の文字でそう書かれていた、エクス…か、最後にこの剣の名だけでも知れてよかった、短い生だったがまあ…これでもいいか…
そんなことをしんみり考えていると頭の中に何かの声がした
『…めです』
…なんだ?
『だめです…』
…何がだ…
『まだ死んではいけない…あなたはまだ生きる資格がある』
…生きる資格…?
『立ちなさい…そして…剣を握りなさい』
剣…剣なんてどこにも…
『あります…そこに確かに黄金の剣が…』
黄金の剣…台座の剣か…
『さあ、剣を握り自身の未来、いえ物語を勝ち取りなさい』
謎の声が遠ざかると俺は先ほどのことに不思議な感覚があったとしんみりと思っていた
剣を抜け、その意味はもう理解していた、要は死ぬことが嫌なら武器を持ち立ち上がれ…か
「…ならやってやるさ、死ぬのなんて誰でも嫌さ、たとえ死のうと全力で抵抗してやる…!」
そう言い放ち体を起こして俺は黄金の剣の持ち手に手をかけた
「なんだ?そんなボロ剣で戦うつもりか?」
「そいつはどうかな…たとえ木の枝だろうと武器があれば…戦ってみせる!」
そきて俺は力を振り絞り黄金の剣を抜き両手に構えた
重い…当たり前か、剣は全て最初に持った時は重い物だ…だが!
「武器があるなら、戦ってみせよう!」
「やれるもんならやってみやがれえええ!!」
俺も敵も足と手に力を振り絞り剣を打ち合おうとした、が相手はそんな正々堂々と勝負する気などない、俺の気づかないうちに背後に別の敵が俺を斬りかかろうとしていた、そんなことも気づかずに相手に剣を打とうとする…がその時
一瞬だった、後方と前方から金属の打ち合う音が聞こえ目の前の敵は大きく吹き飛ばされ背後の敵も同様に吹き飛ばされていた
さらに言ってしまえば俺の手が少しばかり痛みを感じた、思わず自分の手を見てみるとそこには
その場所動かしたはずのない俺の使ってるの剣があった
俺はその剣ををまっすぐ振りかざそうとしたのに、いつの間にか背後の敵にも当たる軌道になっていたのだ
「なん…だよお…そんなの聞いてねぇぞぉ!」
という苦しみ紛れの相手からの剣撃が来る、とっさに防御姿勢に入ろうとする…がその直後
「グアア!」という相手の痛みの声とともに俺の握っている剣は敵の腹を貫いていた
またもや俺の意思とは無関係に剣が変な方向にあった
まさかこの剣は…自分の意思で動けるのか!?
そんな…意思のある剣なんて見たことも聞いたことがない…
そんなことを深く考えている暇もなく敵は爆撃の魔術を連射をして来る
これはさすがにと思ったがまたもや剣が勝手に動き魔術の連射を容易く叩き落とした
「こんのぉ…言うこと聞いてくれ!」
そんなことを言いながら剣を無理やり操作しようにもビクともしない、なんて言う欠陥だよ!隙がとてつもなくできちまう!
…いや待てよ?さっきからこの剣もしかして最適な形で動いているのか?
だとしたら…
そこに剣を無理やり操作しようとする俺の隙のある場所に向かって敵が剣での突きを喰らわそうとする
「隙ありいいいい!」
それを剣はまたもや勝手に動き防御したが次にできる俺の隙を見逃さずに一撃をおみまいしようとする…も
間一髪で避けることに成功した、剣の動きに合わせながら
そう、この剣は使い手が操作するのではない、使い手が動きについていく剣だ
そうと分かれば俺はただこの剣について行きさえいれば戦える!
そして先ほど付きをいれてきた敵に剣が一撃を入れる、もちろん俺はその動きについていく
残りの敵はあと3~4、でも相手の姿は全く見当たらない
辺りを見回していると出入口付近に、敵がひと塊りになっていた、がただひと塊りになっていたわけではない
特大の魔術式を用意していた、おそらく爆撃の魔術だろう、あんなもの喰らったらひとたまりもない!
どうすればと思うも、その前に剣が勝手に動き突きの形に入った、ここまで一気に突きで貫く気か?
が次の瞬間突然身体中の魔力が吸い取られる感覚に陥った
「一体何を…」
急に魔力を吸われたせいか少し体力も持ってかれている
そんな状況で相手は特大の爆撃魔術を放った、それと同時に剣が突然前に突きをした
そして…その瞬間、爆撃の魔術を貫通した何かがあった
それは先ほどの突きから発射された、魔力だった
その魔力は一直線に魔術や岩、瓦礫を貫通しついには敵に直撃した
貫通した魔力はやがて消え敵たちは一斉に倒れた、
「…勝ったのか?」
そんなことをつぶやくも、突然その場所に倒れ込んでしまう、さっきの魔力砲で吸い取られた魔力が多すぎたようだ
そのままその場に倒れ込んだまま俺は意識を失った
…
……
「…ここは?」
気がついたら俺は荒野に立っていた
「…どうしてこんなところに」
そんなことをつぶやくと後ろから轟音が鳴り響いた
「!?」
思わず後ろを見るとそこはまさしく…戦場だった
そして多くのものが戦っているところの先には、言葉には言い表せない奇妙な形をしたものがいた
「あれは一体…」
すると横に何か白い人物が通り過ぎた、その人物をよく見るとそれは
「兄上…?!」
俺の兄、龍白 剣が見たこともない武器を持って敵陣に突っ込んでいった
そして先ほど見た奇妙な何かの前に黒い人物がいた
それは見知った顔どころではなかった
「…俺?」
そう俺こと龍黒 竜がいた
そして手にはあの言うことを聞かない剣が握られている、そして剣の突きの構えをしそういった
『宝具、エクス・リベリオン』
その一言を聞いたところでこの戦場の様子が全く見えなくなった
「…んん」
目を覚ましたのは城の自室だった、周りには城の医師たちがいる
俺が目を覚ましたことで大きく騒いでいるようだ、大騒ぎの中父上が部屋に来ていた
「皆、一度外にいてくれ」と言う一言で医者たちは外に出ていった
「さて、竜、私が何を言いたいかわかるか?」
「…はい」
このあとこっぴとく叱られ、さらには家内絡み以外での夏休み中の遠出する範囲を制限された…
父上も出て行き俺1人になった自室で俺は1人ため息をつく、と同時に右手に何か固い感触がある感じがした
思わず手元を見るとあの遺跡での剣が握られていた
やっぱり夢じゃなかったのか…あれ
それにしてもさっきだかに見たあの光景はなんだったのだろうか
ちなみに今回の件は遺跡内の罠の誤作動ということになっている
「さーてと、気分転換に課題でもするかあ!」
といい伸びをし一旦剣をそこらへんにかけておくことにした
がその剣に背中を見せた瞬間
「どうやら生き残れたようね」
という女性の声が聞こえた
ふと振り向くとそこには見知らぬ、いやツノも羽も尻尾も、竜族らしい特徴がまるでない少女が立っていた_
これが彼女との出会いだった
専用武器を獲得…?




