第7話 早め肝試し
色々用事があったので少し遅れてました
その噂が流れ始めたのは1週間前だった
ある生徒が夜な夜な忘れ物を取りに魔道学校に入って行った時のことだ
その生徒が気がついて遠くを見ると………ユラーリ、と青白い火の玉が飛んでいた
その時その生徒 誰かが魔術でも使ってんのか? と思っていたが近づくにつれそうでないと判断した、なぜなら魔術使用者の影すらが見えなかったからだ
遠くでそれを知った生徒は引き返そうと振り向いた時、誤って音をたててしまった
そしてこんな声が火の玉の方向から聞こえたそうな………
「誰か………いるの………?」
という話を紅は食堂でしていた、が
「そんな馬鹿げた話、あるわけないだろ」
「デマじゃないの?」
「面白そう」
「右に同じ」
俺と青は否定したが、コイドと拳は乗り気だった
「大体なぁ、そんな心霊的な話があると思うか?」
「いやいや、過去にもこんな感じの話が多くあったから、これは間違いない!」
「お前なぁ………」
紅を呆れた顔で見ながら食事を口に運ぶ
「でも試して見る価値はありそうだよね〜」
「よし、幽霊なら除霊するか!物理で!」
「できるわきゃねえだろうが、大体幽霊なんて竜族でありえねえだろ?」
「まぁ確かにそうだな………」
と会話を色々しているうちにコイドは一つ提案をした
「じゃあさ、今夜やってみない?肝試し」
「え?ま、まぁいいけど………」
と俺は答え他の三人もうなずいた、でもなぜか青だけが止まっている………
「ん?青〜どうした〜」
「い、いやなななななななんでもない」
怪しい………と言うように全員が同じ顔をしていた、思いっきりにやけてたコイドを除いては………
「もしかして〜そういうの苦手とか〜?」
「そ、そんなわけないでしょ!」
あ、これ絶対苦手なやつだ、と全員が思った
「そんなに言うんだったらやってやろうじゃないの!」
……青の何かが吹っ切れた
そしてその日の深夜になった
俺は忘れ物を取りに来たということを言って侵入に成功した
「それにしても本当にいんのやら………」
「なんだよ夢のないことを」
「イルワケナイイルワケナイイルワケナイイルワケナイイルワケナイ」
「落ち着け、お前落ち着け」
もはや青が怖がりすぎて呪いのように聞こえる
その時に「ゴトン」という音が聞こえた
それと同時に悲鳴が鳴り響いた、悲鳴の発生源は…青だった…
「ちょ!青大丈夫!?」
いや巻き込んだのお前だろ、と俺が思いながらもコイドが青の心配をし始めた
「イルワケナイイルワケナイイルワケナイイルワケナイイルワケナイ」
また青が呪いを言い始めた、いやほんとこいつ大丈夫か?
そう思ってる矢先にこのような声が聞こえた
「誰か…そこにいる…デゴザルカ?」
とうとう青が気絶した、その青のことはコイドに任せ声の発生源の方向へ走った…ら
「あ、竜でござるか」
とそこには風舞が居た
「風舞!?なんでお前がここに!?」
「いや〜、なんか変な任務が出されたものでござるから…」
その任務で察した
「もしかして校内に出る幽霊の………」
「そうそう、それでござるよ」
やはり風舞も幽霊を追っていた
さてこれからどうするか…と悩んでいると
ガタッ…とまた物音がした…
流石にこれには紅たちも凍りついた
「…なぁ、今の…なんだ?」
「まさかだけど…幽霊…じゃあないよね…」
「やややややややめてよ!シャレにならないよ!」
おい青、キャラ変わってるぞ、と心配していたがそれは直後に完全に壊れた…
なぜなら…ふと振り向くと…すすり泣きをしている少女がいた…
「ヒャアアアアアアアアアアアア!!!」
と言う青の声とともにその少女がゆっくりと近づいて来てこう言った
「誰か…いるの…?」
噂どうり、幽霊は…いた…
「うわああああああああああああああ!!!」
と声を出しながら俺たちは全力で逃げた
どれだけ走ったか、この体験から校舎の広さを実感することができた、そして手頃に隠れられそうな部屋が見えたので逃げ込んだ
入って気づいたがそこは屋内実習室だった
俺は振り向きまず後ろにいるはずの奴らに声をかけた
「全員いるか?誰か逃げ遅れてないよな…」
「えーっと俺、コイド、青、拳、竜…風舞がいないけど…」
「まあ大丈夫じゃない?あの人が逃げ遅れるはずないし」
「まあそうだな、あいつのことだし」
「紅、竜、青が気絶してるぞ」
「大丈夫だろ、そのうち戻るだろうし」
少しして青が意識を取り戻した
「お、青が戻った、よーしとりあえず点呼するぞ」
人数確認をするため全員を集めた
「紅から順に返事してくれー」
「へい」と紅
「はい」と青
「うん」とコイド
「おう」と拳
「あ、はい」と幽霊
…あれ?なんか聞き間違えたか?
と思い全員が後ろを一斉に向いた…
そこには…先ほどの少女の姿をした幽霊が…
「「「「「ギャアアアアアアアアアアア!!!」」」」」
と全員が叫びそして
「なんでええええええええ!?」と幽霊が叫んだ
「ソンナユウレイナンデイルノナンデイルノナンデイルノ」
また呪いのように青が!と焦る余裕すらない
「ああ!落ち着いてください!私無害です!」
「シャベッタアアアアアアアア!!!」
まさに修羅場である、青が変になり幽霊が喋りもう頭の整理が追いつかない
全員が落ち着くのに30分かかった、でも青は気絶している、こいつどんだけ幽霊苦手なんだ…
「ま、まあとりあえずお前のまあ話を聞こう…」
とこの幽霊の話を唐突に聞こうとした瞬間、鋭い寒気がした、思わず後ろを向くとそこには煙のようなものがいた
「あれは一体なんだ!?」と護身用の武器を構え威嚇するも相手は全く怯まない
そんな未知のものを目の前にし少しの沈黙をした、だがその中でたった1人その正体を知っているものがいた、それは
「あれは私と同じ幽霊です…」
「な、なにぃ!?」
この幽霊いわく、この姿がはっきりしないものはこの幽霊と同じ幽霊らしい、だが襲ってきた幽霊達はこの幽霊と違いまるで人を襲うことしか興味のない猛獣のような感じがする
「キャアアアアアアアアアア!?!?!??!?!!!」
と1人青だけは恐怖のあまり高叫びをして気を失った、もうこいつはほっとこう
「で、あの幽霊倒せんのか!?」
「いえ…少なくとも物理は効きません…魔術もほぼ効果がないんです!」
「チィィ…面倒な…」
これほど不利な状況に置かれるとは思ってもいなかった…せめて対抗策でもあればと思ったがそれもない…こうなったら手段は1つ
「逃げるぞ!」
「ええ!?本気でか!?」
「対抗策がないなら逃げるしかない!行くぞ!」
そう全員に言い全員で逃げ始めた、ひたすら足が痛くなるまで、だがそれでも霊たちは追ってくる、このままじゃ捕まると焦りだしたが時はもうすでに遅かった、なぜなら気絶しているはずの青が突然動き出した、だがそれはいつものような動きではなく追ってくる霊たちののような動きだ
「憑依されましたか…」
「は!?憑依!?なんだよそれ!」
「憑依は生きるものの人格を乗っ取ることです…しかも時間が経てば憑依された方の人格は消えてしまいます!」
「なっ…」
突きつけられた事実に対してどうすることもできないと思い諦めかけた、だがまだ対処法はあると考え続ける、だがそんなことをしているうちに紅も拳もコイドも憑依されていく…
もうだめだ…と俺もとうとう諦めてしまった…
「ああ…」
こんなことになるのであったら父上と兄上に遺言を残しておけばよかった…そのようなことを考えながら俺は死を覚悟した…がその時激しい轟音と共に壁が破壊された、消えかかってた意識をなんとか保ち壁の方向を見るとそこにはゴーレム…と共にいる兄がいた
「な…兄上!?なぜここに!?」
「全く…夜の学校に忍び込みにいくなんてな…変なこと考えるなぁ」
とヘラヘラと話す兄の後ろに霊が襲いかかろうとしていた、俺は兄に「危ない!」と叫ぼうとしたがそれよりも早く兄は霊を倒した…これには思わず俺も驚いた、対抗策はないはずなのにどうやって…
「全く、行くなら保護者同伴だろ」
気がつくと俺たちに憑依していた霊達は消えていた、一体どのような手段を使ったのか…全く見当がつかない…
「治癒魔術だよ」
と聞くまでもなく兄は答えた、治癒魔術はその名のとうり怪我を癒す魔術だ、でもそんな戦闘向きでない魔術がなぜ有効なのかが全くわからない、それに霊達には気配がないどうやって背後の霊に気づいたのかもわからない
と考えてるうちに霊達はほぼ倒されていた、が兄は残った唯一の霊に近づいていった、その霊は俺たちが最初に会った霊だった、慌てて兄を止めようとするがまだ体が動かない、近づく兄に霊は恐怖をしている、そして手をその霊に伸ばした、あの霊も倒されてしまうのか…
と思ったが兄はそれとは別の行動をした
「へー、霊なのに意識がしっかりとしているのか…なかなか面白いな…」
「…ふぇ?」
これには俺もびっくりだ、兄は霊を倒すどころか興味を持ったのだ、いやでもなんで!?普通こうなるか!?しかも更にこんなことまで言い始めた
「お前俺のところに来ないか?」
思わず吹いてしまった、こいつさっきまで敵視してたやつを引き込もうとしやがってる!以前はこんなじゃなかったはずなのにどうして!?
「…え?」
そりゃあ混乱するだろうな!よくそんなこと思いついたなぁ!?と脳内でひたすら叫び続けた、でもそれがその時の精一杯だったのか疲れ果てて眠ってしまった
…知ってる天井だ
俺が目覚めたのは魔道学校の保健室だった、どうやら昨夜のあの子との後に気を失ってたらしい…おそらく紅たちもここからは見えないが眠っているのだろう、とりあえず目が覚めたので保健室を出て行く、ふと時計を見るともう授業の開始時間だと知り急いで教室に行く…がもうすでに始まっていた…しばらくして紅たちも教室に入ってきたが授業終了後にこっぴどく叱られた上に罰当番をやらされることになった…
そして放課後の罰当番中にこんな話をされた
「それにしても竜のお兄さんってあの龍白剣だったんだな〜」
「それが一番驚いた…」
そのことを話されているとなぜか照れてくる…なんせ兄は世界的に有名な魔道学校の優等生だったからだ、常に魔術の成績がトップだったとも言われていたらしい
「そんなにすごいお兄さんがいたなら紹介してくれればよかったのにね〜」
「よくわからんけど」
まあ下手に紹介して本来の身分がバレかねないと判断したので紹介をしなかったのが正解だ…しかしあんな魔術の才能を持っててなぜ聖竜騎士団に入らなかったのかがいまいちわからなかった
そんなことを考えながら会話をしていると紅が
「兄…か」
と一言つぶやいた…こいつには一体何があったのかまだわからない
「フフフ…もう少しだ…もう少しで完成する…」
この怪しげな道具をいじりながら怪しい笑顔を浮かべている兄は何かを作っていた…
それを先日の事件から連れて帰ってきて兄から幽という名をつけられた幽霊はその何かを作っている兄をただ見ていた…
間違える人多いので書いておきますけど
龍黒竜はたつくろりゅう
龍白剣はたつしろつるぎ
業火紅はごうかくれない
激流青はげきりゅうせい
風舞はふうま
普力凡はふりょくぼん
天空コウはてんくうこう
物理拳はぶつりけん
と読みます(読みにくくてごめんなさい)




