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渚ちゃんを倒せ! プリ様&オフィエル炎の結束。お風呂場大決戦!!

前回、休日の午後に投稿したにも関わらず、一日のアクセス数が過去最高でした。

そこで、私は悟りました。やっぱり「お風呂回」は強い、と。

今回、露骨なまでにサブタイトルに「お風呂場」と入っているのは、そういう理由です。

本当は「すばゆ いつも ありがとう」と、ちょっと良い話風のサブタイトルを思い付いていたのですが、もしかしてまたアクセス数が伸びるかも、という誘惑には勝てませんでした。

でも、お風呂回をあまり強調すると、シャイな人は読み辛いかも……。

いやらしい描写はありませんので、安心して読んで下さい。

もしくは、ハードディスクに保存して、タイトルを「すばゆ いつも ありがとう」に変えてから、読んで下さっても構いません。

 自分の周りを走り回る、二人の幼女に昴は翻弄されていた。


「ほら、プリ様もオフィエルちゃんもジッとして下さい。髪が洗えないでしょ。」


 そう言っても聞かずに、二人ははしゃぎ合っていた。つい数時間前に、命のやり取りをしたとは思えない程の仲の良さである。


「くらうじゃ〜ん、ぷり。こうさんするじゃ〜ん。」


 オフィエルはシャワーを手にした。連続的に水を浴びせ続けられる最終兵器だ。危し、プリ様!

 だが、プリ様は洗面器を掴むと、湯船から大量のお湯を掬い取って、オフィエルの頭上へと投下した。シャワーの水量などとは、次元の違う攻撃を受けたオフィエルが一瞬怯んだ。その隙を逃さず、プリ様は連続的に湯船のお湯をぶっ掛けた。たちまち貯水量が減っていった。


「こらぁ、ダメでしょ。二人とも。」


 リリスと湯船に浸かっていた渚ちゃんが、立ち上がって叱った。

 プリ様達は顔を見合わせると、互いに頷き、今度は二人一緒に渚ちゃんにお湯をかけ始めた。


「い、いやぁん。止めて……。ダメぇ。」

「あらあら、色っぽいわよ、渚。」


 隣のリリスは涼しい顔だ。


 二人は、共通の敵(渚ちゃん)を協力して成敗した事によって、何らかの絆が生まれたようだ。


「お前やるな。」「お前こそ、やるな。」


 という会話を交わした後の宿敵同士のように、肩を組んで笑っていた。


「うぇぇ、ビショビショだよぉ。」

「酷くやられたわね。悪ガキ共に。」


 そう言いながら、リリスは渚ちゃんの前髪を右手で上げた。彼女の掌が額に触れた途端、渚ちゃんは全身に電流が走ったような衝撃を受けて、ビクンと身体を縮ませた。


「どうしたの?」

「何でもない。ない、ない、ないよ。」


 心臓が早鐘の如く鳴っていた。


「今日は一緒に寝ましょうね。時々使っているけど、広いのよ、此処のベッド。」


 リリスは渚ちゃんに微笑みかけた。さり気なくセレブな話をされているが、そんな事には気付かないくらい動揺していた。


『一緒に寝る? 初夜? いやいや、何考えているの、私。』


 なまじ知識があるだけに、余計な事を考えてしまう渚ちゃんであった。


 一方、プリ様とオフィエルは並び合い、床に直接お尻をつけて、足を伸ばして座っていた。その後ろから、昴は二人同時に髪を洗って上げていた。


「は〜い。もう、目を開けても良いですよ。」


 タオルで顔を拭いてもらった彼女達は、揃って昴に礼を言った。


「おにんぎょう、あたま あらうの じょうずで かんしん。とても きもちよいと おもうのよ。」

「あら、オフィエルちゃん。まだ、私をお人形扱いですか?」


 昴は拗ねて、頬を膨らませた。


「くせに なってて ぬけない しゅうかん。あだなって かんじ?」

「わかりました。じゃあ、オフィエルちゃんにとって、私の呼び名はお人形ですね。」


 二人が仲良く話していると、プリ様がソッと昴の右腕に抱き付いた。


「あっ、プリ様、ヤキモチですね。」

「ちがうの。しょゆうけんを しゅちょう しただけなの。」

「もう、昴はプリ様のものですよぉ。」


 あまりのプリ様の可愛らしさに、感極まった昴は、抱き付くわ、キスをするわ……、まあ、いつもの通りであった。


「良いよね。子供同士は無邪気にじゃれ合えて。」


 二人を見ながら、呟く渚ちゃん。リリスは『昴ちゃんのは、少〜し、常軌を逸しているんだけどな。』と思ったが、あえて何も言わなかった。


 お風呂から上がっても、髪を拭かれるのを嫌がって逃げる幼女二人を、昴は追い回していた。後から上がって来た渚ちゃんも参戦し、さっきの恨みとばかりに、プリ様とオフィエルを追いかけて、渚ちゃんはオフィエル、昴はプリ様を捕まえた。


「こら、大人しくしなさい。」

「はなすじゃ〜ん。やめろじゃ〜ん。」

「プリ様も。もう、何時もは大人しく拭かせてくれるのに。」

「すばゆ〜、くすぐったいの〜。」


 プリ様達は手足をバタバタさせて抵抗していたが、顔面ははち切れんばかりの笑顔で、キャッキャッとはしゃいでいた。


「ああ、疲れたよぉ。」

「お疲れ様。」


 渚ちゃんの奮闘をリリスが労った。彼女は皆にジュースを入れてくれていた。

 幼女連合はそれを飲み干した後、無心にウェルカムフルーツの葡萄を摘んでいた。


「二人とも、お夕飯が入らなくなりますよ。」

「わたしも たべていいのか ぎもん?」

「食べ終わったら、家の者に送らせるわ。」


 リリスがさり気なく言うと、オフィエルはニヤリと笑った。


「それには およばない おきづかい。ようじょしんせいどうめいの ほんきょちは ふつうの にんげんには はいれない きんき(禁忌)。」

「おふぃえゆ、やめれば いいの。ようじょしんせいどうめい、ぬければ いいの。あらとよん みたいに。」


 そう言って、プリ様は自分の右手の甲にある六花の一葉をチラリと見た。それに気付いたオフィエルが驚愕した。


「あらとろんは おまえに それを たくしたのか びっくり。だから、あんな ふつうの ようじょに もどったってかんじ?」


 アラトロンが、六花の一葉によってもたらされる特殊能力に誇りを持ち、滔々と自分の理想を語っていた様子を、オフィエルは思い出していた。


「わたしは まだ なにもなしてない とおもうのよ。じぶんの りそうのため おく(オク)様から これを もらった。ひくことは できない ってかんじ?」


 彼女は自分の右手の甲にある六花の一葉を見せながら言った。プリ様は頷き、もう、何も言わなかった。


 それならば、全力でお前を止める。


 そのプリ様の決意をオフィエルも感じたのか、フッと微笑みかけた。二人は微笑みを交わし合い、再戦を誓った。


 リリスは彼女達の会話を聞いて「盟主の名はオクか……。」と呟いた。ついでに、オフィエルの六花の一葉の位置が、プリ様のとは微妙に違っているのにも気付いていた。


『もしかして、全部集めると完全な六花、雪の結晶になるのかしら……。』


 あらあら、また謎が増えたわ。

 リリスは小さく溜息を吐いた。




 食事も楽しく、大騒ぎのうちに終わった。

 去り際、さっきから弄っていた自分の「タラリア」を、オフィエルは昴に渡した。


「おにんぎょう、これを やるじゃ〜ん。おまえように ちょうせい しておいた かいりょう。」

「こ、これ、空を飛べるサンダル!?」

「もう とべないじゃ〜ん。おまえ にぶそうだから とべたら あぶないじゃ〜ん。でも あるかなくて すむ らくちん。」


 オフィエルは迷惑をかけた上に、面倒を見てもらったお礼だと言った。


「でも、でも、オフィエルちゃんは空を飛べなくなりますよ。プリ様に勝てないですよ。」

「けーりゅけいおんの ちからでも そらは とべるってかんじ。そんなの なくても ぷり ごときには まけないって おもうのよ。」


 じゃあな、と言って去ろうとするオフィエルの肩をリリスが掴んだ。


「窓から空を飛んで帰るなんて止めてね。一般人がいるんだから。」


 小声で、渚ちゃんの方を見ながら言った。

 オフィエルは不満そうだったが、ドアから出て行った。その姿を、プリ様は黙って見ていた。


「すばゆ。ぷり、べつに さみしくなんか ないの。」


 背中から抱き付いてきた昴に言った。


「強がりプリ様です。皆の前で泣けないなら、おネムの時に昴の胸で泣いて下さい。」

「なかないの。ばかが ひとり かえっただけなの。」

「はいはい。」


 寂しくなんかないと言っているのに、昴は益々抱き付いて来て、プリ様は溜息を吐いた。


「わかったの。なくの。ぱじゃま ぐしょぐしょに してあげゆの。」

「良いですよ。たんと泣いて下さい。今日は色んな事が、いっぱい有りましたからね。」


 プリ様は昴に手を引かれ、寝所に向かった。


「すばゆ……。」

「何ですか?」

「ありがと……。」


 言ってしまってから、しまった、とプリ様は思った。案の定「しおらしいプリ様、可愛過ぎですぅ。」と発作を起こした昴が抱き付いて来た。


『おねむの じかんが おそくなゆの。』


 プリ様は、昴に頬ずりされたり、頭を撫で回されたり、顔面キスだらけにされたりしながら、大きな欠伸を一つした。










プリ様ってツンデレですね。自分でも、この話を書いてて気付きました。

そういえば、前にも時々ツンデレ的発言をしていたような気がします。

昴ちゃんは、優しくされるのはもちろん好きだけど、冷たくされても、それはそれで堪能するタイプなので、前世よりも相性は良いのかもしれません。

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