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昴の真っ白な肌

 話は少し戻り、プリ様と別れた直後のファレグ。上空から見えたハギトの元へと、飛ぶ様に駆けていた。


「たしか、こっちだった。」


 正に、途方に暮れるといった感じで、ハギトは口を大きく開けて、涙をボトボト落としていたのだ。


「まったくぅ〜。ちゃんと めんどう みれないなら『あっと ざ ばっく おぶ ざ のーす うぃんど』で、おるすばん させとけば いいのに……。」


 そう、呟きながら『まあ、でも、むりか……。』と思い直していた。

 ハギトは、独りぼっちになるのを、異常に嫌がるのだ。


 ファレグの目が、その、ハギトの小さな背中を捉えた。しゃがみ込んで、身体をプルプル震わせながら、泣いていた。


「はぎとぉぉぉ。」


 後ろから声を掛けられて、ハギトは振り返った。そこに、ファレグの姿を視認すると、顔をクシャクシャにして、飛び付いて来た。


「ゔぇぇぇええん! ふぁれぐぢゃ〜ん!!」


 あーあ……。涙と鼻水でグチャグチャだよ……。

 ファレグは微笑んで、抱き付いて来るハギトの顔を拭いてやった。


「よかったぁ。よかったよぉぉぉ。お、おくさまも、おふぃえるちゃんも、いなぐなっでぇぇぇ。」

「はいはい。もう、なかないで。ぼくが きたから あんしんだろ?」


 返事をしながら、ファレグは少し疑問に思っていた。ハギトはオフィエルが苦手で、あまり、近寄ろうとはしなかったからだ。


「おふぃえると なかよく なったの?」

「おふぃえるちゃん、やさしいんだよ。ほっとけーき つくって くれたの。やわらかくて、おいしかったぁ。」


 美味しいホットケーキを作った? オフィエルがあ?

 ファレグの疑念は、益々、強くなっていった。オフィエルなら、鋼鉄製のリベット留めしているホットケーキを、作りそうなものなのに……。


「あら、あんな ところに いたわ。」


 そこに、オクの声が聞こえて来た。「まあ、あんしんしたわ……。」というオフィエルの声も……。


「ふる?」


 近付いて来たオフィエルに、ファレグは思わず聞いていた。どうも、口調がフルに似ていたのだ。


「ふぁれぐちゃん、なに いっているの? おふぃえるちゃん だよ。」


 ファレグが大好きなハギトは、その右腕に抱き付いて、ご満悦な表情だ。


「そそそ、そうじゃーん。って、ひさしぶりじゃん。ふぁれぐ。」


 フルがオフィエルの喋り方を真似ると、ハギトの顔が、見る見る曇っていった。


「ふ、ふえええん。おふぃえるちゃんが また へんな しゃべりかた してるよぉぉぉ。」

「あ、あらあら。なかないで、はぎとちゃん。もう、へんな はなしかた しないから。」


 泣きだすハギトを、慌てて、あやすフル。その様子を、訝しげに、ファレグが眺めていて……。

 収集がつかないわ。と、オクは思っていた。




「ところで、昴。なんで裸になっているんだ?」


 駐車場から出て、皆んなでリビングに移動中に、和臣が目を逸らしながら言った。


「何言っているんです? 和臣さん。私は、空蝉山で、お爺さんから頂いた下着を……。」


 と、言いつつ、自分の身体を見ると、確かに裸になっていた。


「いやぁぁぁ! 何で? 何で? 何でぇぇぇ。」

「したぎ、きえちゃったの……。」


 プリ様も、不思議そうに、昴の真っ白な肌を凝視していた。


「何だ。気付いてなかったの? 私は、また、和臣へのサービスで脱いだのかと思っていた。」

「胡乱な発言をするな。俺が変態(ロリコン)だと、思われてしまうだろ。」


 紅葉に言い返す、和臣の視線から逃れる様に、昴はプリ様の背中に隠れた。


「うえええーん。プリ様ぁー。」

「よしよし なの。わたちと いっしょに おへやに いくの。」


 隠れるなら、私か、コチョちゃんの後ろに回れば良いのに……。

 非常事態でも、ぶれずにプリ様に引っ付いていく昴の姿勢に、紅葉は、ある意味、感心していた。


 和臣と紅葉は、胡蝶蘭に連れられて、リビングに行き、プリ様と昴は、先に二人の部屋(プリ様と昴の愛の巣)に向かった。


「えええーん。プリ様、プリ様ぁ。」

「もう、すばゆは。いつまでも、ないてちゃ だめなの。はやく、おふくを きゆの。」


 部屋に入っても、プリ様に抱き付いて泣いていた昴は、そう促されて、箪笥を開けた。


「ああ、お気に入りの、リボンの付いたショーツが洗濯されてますぅ。」


 嬉しそうに呟く昴。プリ様は「そっか、そっか。」と言って、目を細めた。


「キャミは、こっちが良いですかね? プリ様。」


 などと言いながら、楽しげに服装を整えていく昴。


「やっと、一息つけましたぁ。」


 何時ものメイド服を着て、昴はニッコリ笑った。


「そっか、そっか。よかったの、すばゆ。」


 そっか、そっか?


「じゃあ、わたちたちも りびんぐに いくの。」


 (わたち)……。


「どしたの? すばゆ。」


 扉まで行ったプリ様は、後ろでプルプル震えて、動こうとしない昴を、振り返った。


「プ、プリ様ぁぁぁ。」

「ど、どしたの? どしたの、すばゆ。」


 突如、泣きながら抱き付いて来た昴の様子に、プリ様は慌てた。


「プリ様に、プリ様に、知らない口癖が出来てますぅ。それに、自分の事を『(わたち)』って……。」


 昴的には、昨日まで、プリ様の一人称は「プリ」だったのだ。

 その発言を聞いたプリ様は「ふむ。」と、腕を組んで頷いた。


「すばゆ。わたちは『ぷり』だけじゃないの。ほかの なまえ でも よばれゆの。だから、いうように したの。『わたち』って。」


 プリ様が、社会の中の己の在りように、多様性を見い出している。それは即ち、プリ様の世界観が拡がったという訳で……。


「あの子ですね。玲ちゃん。『そっか、そっか。』も、あの子の口癖なんですね。」


「そっか、そっか。」? それは、プリ様は意識してなかったので、何の話だか、分からなかった。でも、そう言われてみると、誰かの口癖をうつされた様な……。


「もう、プリ様ぁ。モテ過ぎですぅ。モテモテ過ぎなんですぅ、プリ様は。リリス様といい、玲ちゃんといい……。」

「ちがうの。れいは そんなんじゃ ないの。」

「じゃあ、どんな関係なんですか?」

「れい とは……。なんていうか……、たいとう なの。」


 一緒に居て、しっくりくる。としか、言い様がなかった。

 二人の性格は、真逆みたいだが、実は似ていた。考え無しに突っ込んでいるようでいて、行動を起こす際は、周到に計算しているプリ様。慎重そうだが、いざ動く時は、大胆に立ち居振る舞う玲。


 だからこそ、二人は、互いの気持ちや、心中が理解し合えた。その上で、足りない処を補い合っていく、正にベストパートナーなのだ。


「親友」と言ってよかった。


『そうなんですね……。プリ様にも、同年代で、そんなお友達が出来たんですね。喜んで上げなきゃいけないのに、何だか、とっても寂しいですぅ……。』


 昴は、再び抱き付いて、グスグスとベソをかきながら、頰をスリスリとしていた。


「もお、すばゆは。なきむし なの。すばゆを きらったり しないの。れいと なかよく なっても。」

「分かってますぅ。昴が我儘なのも、分かってますぅ。でも、寂しいんですぅ、プリ様ぁ。」


 大人しめのプリ様ラッシュをして来る昴の頭を「よしよし。」と、撫でて上げるプリ様であった。




 一方、此処は、AT THE BACK OF THE NORTH WIND。謁見の間で、オクとファレグが、お茶を啜っていた。


「わ、わたしが、にせんねんまえに にぎはやひのみことと たたかった? ななな、なんの ことかしら。」


 ファレグの質問に、オクは、冷や汗をダラダラ流しながら、とぼけた。


「きみは なにもの なんだい? こうぎょくてんけ(光極天家)の おじょうさまの うまれかわり、とか いってたけど、それだけ では ないよね?」


 鋭く切り込んで来るファレグに、オクはフッーと溜息を吐きながら、何時も首から下げている、ペンダントに付いている石を弄っていた。


 おや、あの石……。見慣れていたその石に、ファレグは目を留めた。空蝉山で、饒速日命の身体が変化した、水晶に似ている気がしたのだ。


「あっ、そうだ。いしと いえば、きみの けんじゃのいし だけど……。」

「みつけて くれたの? ふぁれぐちゃん。」


 パッと、顔を輝かすオク。


「あの、りゅう()に なってた ()に、あげちゃったよ。」


 自業自得だよね。と、微笑まれて、オクはガックリと肩を落としていた。




忙中閑あり。友、遠方より来たれり。

この間、お友達の門馬時一郎さん(仮名)が、訪ねてくれました。

この方は、私に「なろう」を紹介してくれて、アカウントの取り方から、なろう小説の傾向と対策まで、色々調べて教えてくれた恩人です。


「無法さん(私の事です)さあ、俺の助言、全然作品作りに活かしてないよね。」

「そんな事ないですよ。主人公は無敵だし。」

「幼女だけどね。」

「ハーレムも着々と構築中だし。(構成員、昴&リリス)」

「幼女が中心だけどね。」

「て、転生ものだし……。」

「幼女に転生しているけどね。」

「…………。」


ここで、突然切れた時ちゃんは、私の両頬を引っ張りました。


「人がせっかく調べたデータを全く無視しやがって。」

「い、痛い。痛い。無視してないじゃないですか。ただ、幼女なだけで……。」

「登場人物のほとんどが幼女の時点で、もう、無視なんだよ。大体、あんたは昔からいい加減で、その場凌ぎで……。」


昔の事を持ち出して、激昂するのは、良くないと思います。


「だって、幼女が好きなんだもん。幼女が書きたかったんだもん。」

「だもん。だもん。と、この奴は……。」


その後、ご機嫌を取ろうと「プリン食べる?」と聞いたら「俺をアイちゃんとかいう人と一緒にするな。」と、また怒られました。


男の子って複雑なのね……。と、溜息を吐く、オジさんなのでした。



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