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プリ様、栄光の瞬間

「いっそ、どえす(ドS)な じんかくを はりつけて、いじめて もらったら よろしいじゃ ないですか。」


 フルは白い前髪を、指で払いながら言った。前髪だけではなく、彼女の髪は全てが真っ白だった。


つくよみ(月読)……。」

「いやですわ。いまの わたくしは ふる(フル)あなた(雛菊)おく(オク)で あるように……。」


 フルは眠っているオフィエルの頭を撫でた。


「こんな かわいらしいこ(可愛らしい子)を おもちゃに して。ほんとうに しょうがない ひと ですね。」

「ふるちゃん こそ、ふぁれぐちゃんに おねつ なんでしょ?」

「まあ、やきもちを やいて いるの?」


 フルはクスクスと笑いを漏らした。


「そうだと いったら?」


 オクも微笑みながら、フルを見詰めた。


「……。くえない ひと()ねえ。うそ ばっかり……。」


 フルはオクに近寄り、屈みこんで、椅子に座っている彼女の頰を両手で包んだ。


「しっているわ。いま、あなた、こいを しているでしょ?」

「こい? わたしが? だれに?」

「あなたに いっぱい くわせた、びちゅうあんの こむすめ……。」


 吐息がかかるくらい、フルの顔はオクの間近にあった。


「むかしから そうよね。かんたんに てに はいらない ものほど ほしくなる……。」

「……。かおが ちかいわ、ふるちゃん。」

「だって、きす するんですもの。」


 フルの唇が、オクのそれと重なり合った。フルはウットリと目を閉じて、甘美な蜜を吸うように、その舌を這わした。オクは慈愛に満ちた目で、彼女の様子を眺めていた。


「ああっ。やっぱり あまいわ。ひとりじめ したい……。」

「こんやは つきあっても いいわ。ひとりねも さみしかったし。」


 平然と言ってのけるオクを、フルは少し睨め付けた。


「ずるい ひと。」


 言いながらフルは、オクの右手に抱き付いた。


「びちゅうあんの こむすめ、いじめちゃおうかな……。」

「かえりうちに あうかもね。」

「とめないんだ?」


 フルの言葉に、オクは複雑な笑みを浮かべた。


「みてみたいの。あのこの しんのちから(真の力)を。そして、それを ねじふせて やりたいの。」


 何回かの接触で、オクは確信していた。リリスこそ、神々が橋頭堡とすべく送り込んだエージェントなのだ。自分達が干渉出来ない、この世界へと。


「りりすちゃんを せいふくして、()こころ()も、わたしの ものに できたら、どんなに すてき かしら。そうぞう するだけで、せすじが ぞくぞく するわ。」


 そうなったら、神々(あいつら)は、どんな顔をするだろう。最高の当て付けではないか。

 オクは恍惚とした表情で上を向いた。


 その様子に『変態ね……。』とフルは思ったが、口には出さなかった。

 征服してやりたいという願望は、オクにとって、恋い焦がれていると同義語だからだ。


 オク(雛菊)の、そんな様子は久しぶりだった。フルは少しリリスに興味を持った。




「プリ、これは何?」


 お昼寝から目を覚ますと、紅葉と和臣が遊びに来ていた。二人はリビングで、胡蝶蘭とお茶を飲んでいたが、紅葉はプリ様のステッキをいじっていた。


「みらりんみらみらすてっき なのぉ!」


 プリ様は紅葉の手からステッキを奪うと、彼女に向けてミラリンカーネーションを放った。スイッチを入れて、先端をピコピコと光らせただけだが。


「えっ、これ、プリキューの武器なの?」


 紅葉が驚いた声を上げた。


「私が見ていた時は、こんな立派な武器なんてなかったよな……。」


 確か、道具は変身用の携帯電話だけ。後は、徒手空拳で戦っていた筈だ。


「これだけじゃ ないよ。」


 プリ様はテレビの前に並べていた道具を掻き集めて来た。


「これが りんりんくるくるすてっき。これは すてっきを ぱわーあっぷ させる ほうせき……。」

「こんなに有るの? ちょっと、最近のプリキューは道具に頼り過ぎじゃない?」


 紅葉の呆れた声に、胡蝶蘭が微笑んだ。


「女の子は少ない方なのよ。男の子はもっと大変みたいよ。」


 ママ友から聞いた話なんだけどね……、と胡蝶蘭は語り始めた。


 女の子の場合、アニメとタイアップした商品でも、ビーズ編みとか、お料理セットとかの道具に分散されてしまうのだけど、男の子の場合には、それがロボに全振りされてしまうのだ。


「買っても、買っても、追いつかないんだって。毎月、新しいロボが登場して、ドンドン合体していくそうよ。最終的には、顔が付いているだけで、人型とも言えない形状になってしまうんだって……。」


 なんて恐ろしい。

 プリ様と紅葉は身震いした。


「もっと恐ろしいのは、最終形態までロボを買い続けると、その家のお父さんのお小遣い一年分くらいかかってしまう事だそうよ。」


 まあ、大抵、そこに行き着くまでに挫折するんだけどな……。

 和臣は胡蝶蘭の話を聞きながら、一号ロボしか買って貰えなかった、幼少期の切ない思い出に浸っていた。


「和臣……。私達の子供は、なるべく女の子にしようね。」

「俺は、お前と子供を作ったりはせん。」


 さり気無く迫って来る紅葉に、和臣は、間髪入れずに、拒絶の意を示していた。


「うにゃにゃ〜。プリ様ぁ……。」


 その時、一緒にお昼寝していた昴も起き上がって来た。


「すばゆ、ぴっけちゃん みたい なの。」


 そう言われると、昴の目が輝いた。


「昴猫ですぅ。プリ様、うにゃ〜ん。」


 常にプリに甘え付く隙を窺っているのか……。

 猫に成り切って、プリ様に頭を擦り付ける昴の様子に、紅葉はある意味感心していた。


 この貪欲さは見習わなければならない。

 やり過ぎて、プリ様の肩に乗っかっている、本家ピッケちゃんに煩がられ、猫パンチを食らっている昴を見ながら、紅葉は思っていた。


「えへへぇ。プリ様、オヤツを取って来て上げますね。」


 猫に負けたのを、照れ笑いで誤魔化して、昴は歩き出そうとした。しかし、足がもつれて、その場にストンと尻餅をついてしまった。


「すばゆ! だいじょぶ?」


 心配するプリ様に、笑顔で答えようとするのだが、目が回って起き上がれないのだ。

 暫くそのまま動かずにいると、漸く、いつものコンディションに戻って来た。


「ごめんなさい。もう、大丈夫ですよ。心配してくれて、嬉しいです。プリ様ぁ。ああっ、可愛らしい。プリ様、大好き。好き、好き。好き過ぎて、どうにかなりそうです。プリ様、プリ様、プリ様〜。」


 発作が始まったか……。

 胡蝶蘭、紅葉、和臣は、生暖かい目で、プリ様ラッシュをする昴を見守っていた。


「昴ちゃんって、前世から、プリちゃんに対して、こんな感じだったの?」


 前世は、もうちょっと、抑制が効いていたよな……。と、和臣は思った。

 前世かあ……。と、紅葉は別の方向に思いを巡らせていた。


「前に、あんたもチョロっと言っていたけどさ。どうして、前世の世界と、この世界とに、共通の神様が居るんだろうね?」

「共通なの?」


 紅葉が和臣に投げ掛けた質問に、胡蝶蘭が興味を持って、食いついて来た。


「私はアルテミス神、和臣はプロメテウス神の祝福と加護を受けているの。プリなんて、トール神の名前まで貰っているのよ。これは、神様の養子になったのと同じ事なのよ。」

「えっへん。やっぱり、プリちゃんは凄いのね。」


 胡蝶蘭が親バカぶりを発揮していると、昴から解放されたプリ様が近付いて来た。


「おかあたま。ぷりね、とーるしん(トール神)から もらったの。にーるくん たちを。てわたし(手渡し)で もらったの。」


 その栄光の瞬間は、今でも誇らしいのか、プリ様は小ちゃな胸をグッと張った。


「偉いね〜、プリちゃん。そう、手渡しで……。」


 プリ様の頭を撫でていた胡蝶蘭の手が、ハタと止まった。


「実在していたの? 神様。」

「それが、この世界の謎なのよ。」


 胡蝶蘭の質問に、紅葉が答えた。


「どうして、現世では神様が居ないのか? 前世を思い出した今となっては、そっちの方が不思議なのよ。」


 紅葉の疑問に、和臣も考え込んだ。プリ様も難しい顔をして、腕を組んでいる。

 昴は、そのプリ様の様子を「可愛らし過ぎですぅ。」と、トロける様な顔で見ていた。












前回の話を読んだ、お友達のアイちゃん(仮名)が「肌襦袢って、乳首も透けるの?」と聞いてくるのです。

なんで、そんな事が気になるんだ、この女……。とは思いましたが、素直に「いや、胸の辺りは合わせになっているから、透けないと思うよ。」と返事をしました。


すると奴は「え〜、そんなのつまんない。透けてる方が良いもん。乳首、乳首、乳首!」と、恥ずかしげも無く、喚き散らすのです。

挙句の果てに「エロくないとリリスじゃないよ。」などという暴言を吐いたのです。


怒りのあまり私が口をきけないでいると、嵩にかかって「今すぐ編集して、書き足して。『リリス、乳首スケスケ』って。」と言いやがったのです。


甘やかすのは良くないと思い、頭頂部を一発小突いてやりました。

そうしたら「え〜ん、怖いオジちゃんが打ったぁ。」などと、嘘泣きを始めましたが、無視です。

リリス=エロという、こいつの考えは、万死に値すると思いました。


という話はさておき、次回更新は、仕事の都合で少し間が空きそうです。


この間買った宝くじが当たれば、お仕事辞められるのに。そうしたら、毎日更新出来るのに。

と思う、今日この頃です。

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