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盟主オク、恐怖の告白!

「しょくん、おめでとう。たいぷりよう(対プリ用)きょうかすーつ(強化スーツ)の きょういは さったみたいよ。」


 強化スーツ爆破の光を、皆と眺めていたオクは、そう告げた。


「何、他人事みたいに言ってんのよ。あんた、当事者でしょ。」

「も、もみじちゃんってば、へんに れいせいね。」


 いつの間にか、紅葉、和臣、六連星にグルリを囲まれていた。


「そいつ、にがしちゃ だめなの。りりすを りょうじょく したの。」


 ちょうど、戦場から戻って来たプリ様も、上空からそう言った。


「アマリちゃんを陵辱した……?」


 どうやって?

 六連星はオクのチッコイ身体を見て、首を捻った。

 和臣は静かに鼻血を垂らしていた。


「和臣、何想像しているのよ。っていうか、女の子にとって、それがどれだけ辛い事か分からないの?」


 紅葉が珍しく正論を吐いた。


「きっと、嫌がるリリスに、無理矢理、あんな事や、こんな事をして、屈辱に咽び泣く様を楽しんだに違いないのよ。」


 それは、お前が前世で、敵の捕虜にしていた事だよな。

 和臣は、鼻血を拭きながら、思っていた。


「まって。たしかに りりすちゃんは いやがって いたけど、わたしの ぶかに ちゃんと ちょうきょうされて、いまでは『もっと、いぢめてください。』と おねだりを するように なっている はずだわ。」


 そう言った後、オクは、身体が締め付けられている様な感触を覚えた。船に張られていた結界が、自分一人に集中して来て、その動きを封じているのだ。


『まずいわ。ごさんけ ごときに こんな まねが できる じゅつしゃが いるなんて……。』


 こんなに結界を自由に操れるのは、余程の手練れだ。焦っていると、ちょうど階段を昇って、リリスが甲板に姿を見せた。


「いいところに。りりすちゃん、めいれいよ。わたしを たすけなさい。」


 リリスは黙って近付くと、拳骨でオクの頭を一発叩いた。


「何で、ナチュラルに、私が貴女の命令に従うと思っているのよ。」

「ど、どうして? どうして いうこと きかないの? りりすちゃん。」

「だ・か・ら、何で、私が貴女の言う事を聞くと思うの?」


 リリスは、動けないオクの頬っぺたを、両手で思いっ切り引っ張りながら言った。

 憎しみが篭っているなあ……。と、プリ様達は思った。


「だって……。ちょうきょう されたでしょ? さきゅばすらいむちゃんに。」


 そう言いながら、オクは辺りを見回した。


「さきゅばすらいむちゃん、どこ? だめじゃない。いぬ()の しつけが なってないわよ。くびわも つけずに はなしがいに して……。」

「貴女が私をどういう目で見ているか、よ〜く、分かったわ。」


 リリスは、今度はオクのコメカミを両方の拳で挟んで、グリグリと圧迫し始めた。


「いたたた。やめなさい! さきゅばすらいむちゃん、たすけて! 」

「残念ながら、サキュバスライムちゃんは来ないと思うわ。駆け付けるには、地獄は遠過ぎるものね。」

「ううう、うそでしょ? よわっちい りりすちゃんが、あのこを たおしたっていうの?」


 オクはリリスの胸腺の辺りを凝視した。賢者の石は、そのままみたいだ。


しんい(神威)も つかわずに たおしたと いうの? ごうせいまもの(合成魔物)を……。」

「そうよ。蒸発させてやったわ。」


 リリスの言葉に、オクはウルウルと瞳を潤ませた。


「ひどい。おともだちの さきゅばすらいむちゃんを……。」

「いや、自分を快楽漬けにしようなんて奴、生かしておけないでしょ。」

「くろうして、みっかまえに やっと かんせい させたのに……。」


 たった、三日の付き合いかい。

 全員が心中で突っ込んだ。


「それから まいにち、どうやって りりすちゃんを ちょうきょう しようか、たのしく かたりあったのよ。」

「止めてくれる? 本当に、そういうの止めてくれる? 全身鳥肌だらけになるから。」


 リリスはおぞましさに身震いした。


「まあ、もう、それも終わりね。今度こそ首を落として上げるわ、オクちゃん。」

「まさか、この けっかいも あなたが……?」

「そうよ、私が操作して、貴女を動けなくしたの。で、言いたい事はそれだけ? そろそろ、()っちゃいたいんだけど……。」


 ほほほ、本気だ。

 冷徹な目で自分を見下ろすリリスの姿に、オクの焦りは頂点に達した。


 その時、皆の頭の上を、チョロチョロと飛んでいたプリ様が、リリスの傍に、チョコっと着地した。


「りりすぅ〜、だいじょぶ?」

「プ、プリちゃん……。」


 鋼鉄の女リリスも、心配そうに見上げて来る、プリ様の可愛らしいお姿に、涙腺を緩ませた。


「プリちゃ〜ん。私、辛かったの〜。オクに人質を取られて無理矢理……。」

「よちよちなの。たんと なくの りりす。」


 お言葉に甘えて、プリ様に抱き付いて泣いた。プリ様の肩に居るピッケちゃんも、リリスを慰める様に、ウニャウニャと肉球で頭をタッチしていた。暫く、そうしていたのだが、そのうち「あれっ?」と、首を捻った。昴がプリ様を奪いに来ないのだ。

 見渡すと、尊治と胡蝶蘭に見守られて、甲板に寝かされている昴が居た。


「昴ちゃん!? どうしたの?」

「きょうりょくな けっかいを はったの。ぷりを まもって くれたの。」


 プリ様が説明していると、オクが口を挟んで来た。


「わたしを かいほう(解放) しなさい。いま、すばるちゃんを すくえるのは わたしだけよ。」


 いつものオクではない、静かで低い声だった。


「また、逃れようとして、そんな出まかせを……。」

「うそ じゃないわ。あなたと ぷりちゃんは わたしの すがおを みたでしょ。」


 そう言われると、昴とオクが無関係とは思えない。

 リリスは逡巡した。


「りりす、けっかいを といていいの。おくは すばゆを みすてないの。」

「何故、そう思うの?」

「たぶん おくには ひつようなの。すばゆが。じぶんの ためなの。」

「なるほど、利害関係が一致しているのね……。」


 二人の会話を聞いたオクは耳を真っ赤にした。


「ひどい。ぷりちゃんも、りりすちゃんも。わたしを どんな せいかくだと おもって いるの?」

「究極の自己中で、快楽主義者。」

「わがまま。こまったちゃん。」


 二人にほぼ同時に答えられて、オクは涙目になった。


 その後、結界を解かれて、彼女は昴に近付いた。

 胡蝶蘭と尊治がハラハラしながら見詰める中、オクは跪いて、気絶している昴の前髪をソッと撫でた。


「まほうしの つかいすぎよ、すばるちゃん。」


 不思議と慈しむ様な口調だった。その喋り方に、尊治は聞き覚えがあった。

 オクは、昴の胸に両手を当てると、周囲の空間から集めた魔法子を注入した。


 小さい幼女の姿であったが、その佇まい、立ち居振る舞いの全てを、尊治は覚えていた。彼だけでなく、清江にも覚えがあった。


「お前……、雛菊……なのか……?」


 そんな事はあり得ないと思いつつ、尊治は口に出していた。


「雛菊……。」

「雛菊……叔母様……?」


 清江の顔は青ざめ、胡蝶蘭も、それが誰の名前なのかを思い出し、血の気を失っていた。


 やがて、オクは「もう だいじょうぶ……。」と呟くと、スックと立ち上がった。


「すばるちゃんは たすけたわ。にげても いい? りりすちゃん。」


 んっ……、と声を出して、昴が目覚める気配があった。約束は守られたのだ。リリスは渋々頷いた。


「待て! お前は雛菊なのか? 雛菊なんだろう?」


 尊治がオクに向かって叫んだ。去りかけていたオクは、フッと後ろを振り返り、その仮面を外した。

 その場に居た一同は、昴と同じ、その顔を見て、驚愕に目を見開いた。


「お兄様……、いや、尊治さん。昴を守ってとお願いしたのに、随分な扱いをしてくれてましたね?」


 幼女とは思えない口調に、全員が総毛立つ思いをしていた。人形がいきなり喋り出した様な違和感を感じたからだ。


「おく! おまえは なにものなの?」

「ふふふ、プリちゃん。私は貴女の大叔母さん。光極天雛菊だった魂よ。そして……。」


 昴が起き上がるのを見たオクは、サッと夜空に身を翻した。


「昴ちゃんの生みの母よ。」


 その言葉を残し、闇に消えた。











オクの正体(?)、雛菊という名前は、私のお気に入りの名前でして、前に書いた他の小説にも、同名の登場人物を出しています。


そういった書き散らしてある小説も、加筆修正して連載してみたいのですが、今のプリ様のお話でさえ、仕事の合間に、青息吐息で書いているので、出来ないのです。


低血圧のせいか、疲れたりすると、頭が全然回らなくなります。

低血圧の所為にすると、甘えだと怒られるのですが、本当に頭に血が行かなくなって、ボウッ〜としてしまうのです。その後、泥の様な睡魔が……。


そのうち、眠ったまま、目が覚めなくなるのではないかと、怯えています。


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