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お宝にしようと思ったのに……。

『そもそも、どうして わたしが、せっかんを うけなければ、いけないの かしら。なにも わるいこと していないのに。』


 リリスに対して行った、暴虐非道の陵辱行為を棚に上げて、オクは居直っていた。


『しかたない。きょうかすーつを はかいして、おふぃえるちゃんを さいせんのう(再洗脳) しよう。』


 強化スーツが、どのくらいプリ様に対して有効なのか、見てみたかった気もしたが、もう、そんな余裕はぶっこいていられない。オクは覚悟を決めた。


 そうこうしている内に、強化スーツが降下して来て、リニアによる時速五百キロ走行アタックをかまして来た。

 堪らず、吹き飛ばされるオク。


 通り過ぎた強化スーツは、クルリと振り返り、再び体当たりを敢行して来た。


「ばーちかる かったー!」


 オクが振り上げた右手を垂直に下ろすと、気の塊が薄い刃の様になって、強化スーツに襲いかかった。どんなものでも真っ二つにする、オク必殺の一撃である。


 だが、それも、強化スーツに当たると、吸い込まれるみたいに、消えてしまった。


「わすれたの ですか? おくさま。ひひいろかね(ヒヒイロカネ)は どんな ぶったい よりも かたく、まほうし(魔法子)かんしょう(干渉)も うけつけない。さいきょうの きんぞく ですわ。」


 忘れていた。あれっ、もしかして、自分の通常攻撃は全く通用しないのじゃないの?

 オクは焦った。


「おくさまは りょうじょくが おすきな ようなので、わたくしが たっーぷり いじめて さしあげますわ。」


 違うわ、オフィエルちゃん。陵辱はするのが楽しいのであって、虐められるのは、私嫌いよ。

 オクは非常に身勝手な事を考えていた。


『しんの ちからを かいほう するしか ないか……。』


 オクは一瞬そう思ったが、すぐに思い直して首を振った。この世界の理をも捻じ曲げる力を使えば、自分をストーカーの如く追い回している神々は、絶対に気付くであろう。


 まだ早い。まだ、その時ではない。三振りの刀が揃わなければ……。


おかくご(お覚悟)!」


 考え込んでいたオクに、強化スーツの腕が迫った。しまった、と身を縮めるオク。その時、その腕が激しい衝撃を受けて、捻じ曲がった。


「おまえ なの! この そうどう(騒動)の げんいんは。」


 プリ様であった。

 プリ様はメギンギョルズの羽を輝かせ、右手はヤールングレイプルに覆われ、ミョルニルをしっかり握っていた。パーフェクトモードである。


「ぷりちゃん!」


 オクは敵である筈のプリ様の姿を見て、安堵の声を洩らした。だが、プリ様はオクを見て固まっていた。


「す、すばゆ?」


 ちっこい昴が居る。あれ、昴がちっこくなった?

 プリ様は混乱していた。


 一方、プリ様の声を集音装置で拾ったオフィエルは、ハッと気付いた。


 もしかして、今、オク様素顔なんじゃ……。


 サイキックウェーブ検出装置を見ながら攻撃していたので、オクを直接には見てなかったのだ。


「ち、ちがいます。そんな ひと しりません。」


 オクは慌てて仮面を作ったが、プリ様は不審感たっぷりに、彼女を見詰めていた。


「すばゆ でしょ?」

「ちがいます。わたしは ななだいてんしの おく という ものです。」

「おく?!」

「そ、そうよ。やっと わかった?」

「なんで、おなじ かお なの? おくと すばゆが。」


 自爆。

 益々状況は混迷し、オクは、どう収拾を着けようかと、焦った。


「おくさま〜! なんで、わたしには すがおを みせないん ですの〜!!」


 外部モニターに目をやった時、すでにオクは仮面を着けていたのだ。


「くやしぃぃぃ。おくさまったら てき ばかり かまって。ぷりには すがおを みせて、りりす という おんなは りょうじょく して。」


 リリスを陵辱した?

 プリ様のこめかみに、怒りの血管が浮かんだ。


「お〜く〜、りりすに なにしたの?」


 こ、怖い。

 オクは思わず後ずさった。


「それ、りりすの したぎなの……。」


 プリ様はオクが被っている物が何なのか気が付いた。


おふよ(お風呂)の とき はいてたの……。」

「ご、ごかいよ。ぷりちゃん。」

「あたまに したぎを かぶっておいて……。」


 憤怒のオーラをたなびかせて、プリ様はミョルニルを握り締めた。


「ごかいも、くそも、ないのー!」


 一閃、凄まじい勢いでミョルニルが振り下ろされた。咄嗟に避けるオク。そのオクの居た場所には大穴が開いていた。


「よけゆな なの……。」


 ひぃぃぃ。目が据わっている〜。

 オクは思わず、強化スーツの中に居るオフィエルに、視線で助けを求めた。


「なんなのです〜? また、ぷりと そんなに たのしそうに あそんで〜。」


 そのオフィエルの甲高い声が、外部スピーカーから響いた。


『えっ〜。どうして、あそんでいる ように みえるの?』


 やたらめったら、全方位に嫉妬心を燃やしているわ。

 オクが呆れていると、レーザーの砲口が赤く光った。


 ヴィン、と鈍い音がして、レーザーが船縁の一部を破壊した。


「こら、おふぃえゆ! ふねを こわすな なの。」


 声で、プリ様にも、乗っているのがオフィエルだとわかったらしい。


「あなたが いうな ですわ。さっき、かんぱんに あなを あけたくせに。」

「なんだと なの〜。」


 おっ。上手い具合に、プリちゃん対オフィエルちゃんの構図になって来たわ。

 オクは、そっ〜と、その場を離れようとして……。


「にげゆな なの〜。」

「また、うわき しに いくの ですか? おくさま。」


 再び、強化スーツから小型ミサイルが発射された。

 ジグザグに避けるオクを追って、次々に甲板に穴を開けていくミサイル。


 どうして? どうして、私がこんな酷い目に遭わなければならないの。ちょっと楽しくリリスちゃんで遊んだだけなのに。

 いつもながら、全くオクは反省していなかった。


「こら〜。ふねを こわすなって いってゆの。」


 強化スーツに向かって、叫ぶプリ様。


「ぷ、ぷりちゃん。このまま、おふぃえるちゃんを ほうち すれば ふねが しずんじゃうわよ。」


 ムッ、それは困る。

 プリ様は逡巡した。


 その間にも、レーザーの砲口が赤くなっていた。

 あれはシャレにならない。客室の方を撃ち抜いてしまうかもしれない。

 現状、何もしていないオクより、強化スーツのオフィエルの方が脅威と言えた。


 オクに向けて発射されたレーザーを、プリ様の魔法障壁が防いだ。


「じゃまするな、ぷり! おくさまは りりすを ざんこくに なぶりものに したのですよ。」


 そこまで酷くは……。鎧を剥ぎ取る遊びの時は、リリスちゃん、けっこうノリノリだったし……。お詫びに、幾つかお役立ち魔法をインストールして上げたし……。

 オクは内心で、必死に自分を正当化していた。


「とりあえず、したぎを かえすの。」


 ええっ。これはお宝にしようと思ったのに……。

 実は、クラウドフォートレスで取り上げた、爆発するお札付きの下着も、オクは大事に保管していた。

 収集癖のある変態であった。


 物凄く残念そうに、オクは頭から下着を外した。プリ様はそれを受け取ると、浴衣の左手の袂にしまった。


 下着を奪い返した事で、プリ様の中では、一応の折り合いが着いたみたいだ。ミョルニルを空中で回転させ、パシッと柄を掴むと、強化スーツの方に向き直った。


「もう やめゆの、おふぃえゆ。これ いじょうは ぷりが あいてなの。」

「ふん。やるき ですの? もともと、この すーつは おまえを たおすために つくったもの。かえりうちに して あげますわ。」


 強化スーツは翼を広げて、宙に浮かんだ。プリ様もメギンギョルズの羽で上昇して……。


『いけない。』


 オフィエルはファレグの教えを思い出した。

 即座に翼を消して、再び甲板に降り立った。


『ぐらびてぃうぉーるが ふせげ ないなら、つかわせ なければ よい。』


 全てを吸い込むグラビティウォールを、甲板上で使用すれば、船への被害は甚大だ。

 結界内に乗客ごと閉じ込められている状況では、沈める事は出来ない。


 必殺技を封じられたプリ様。大ピンチであった。







書きたいお話はいっぱい有るのに、日々忙しくて、中々捗りません。

プリ様のお話も、漸く四分の一くらいです。


毎日書ければ良いのですが、そうもいかないのが、辛いとこです。

誰か「私が養ってあげるから、好きなだけ執筆してなさい。」とか言ってくれる素敵な方はいませんかね。


……。書いてて虚しくなって来ました。

早く夏休みにならないかな、と思う今日この頃です。

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