雪見先輩と僕
よろしくお願いします。
「…あ、飲み物きれた………三好」
「もう、しょうがないなー」
「いや、自分で行けばいいでしょ」
「俺はトイレに行くって任務がある」
「こーちゃん、いいよ、いつものでいいんだろ?」
「おう」
「こーちゃんもなんかいる?」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。」
そして、2人して教室から出て行ってしまった。
1人でいるには少し怖い教室で僕はまた黙々と手裏剣を生産し始める。
カサ、パッペキペキ、カサカサ
ガ、カッ…ガタガタ
「…え、」
「よっ、と…ん?おお!後輩!来てたのか!」
「雪見先輩」
「なーに作ってんだ~」
折り紙を黙々と折っていると外から教室の戸を乱暴に開けたのは部員の雪見先輩だった。
雪見先輩は見た目は儚げな美少女で見るからに病弱そうな色白い肌の先輩なのだが中身はかなり乱暴な”男性”の先輩だ。この前だって逆らったらキャラメルクラッチくらった。
かなりの痛さだった。
雪見先輩は前の席の椅子を引いて背もたれをそのままに座る。
「お、何だ!手裏剣か!」
「僕、手裏剣ぐらいしか作れないんですよ」
「あはは!俺はなんでか折り紙破れるぞ!」
「そ、そうなんですか…」
「それに、俺は作るより打つ方が得意だ」
ガハハッと見た目に合わない笑い方をして手裏剣を二枚とると戸に向かってそれを投げた。
ガラッ
「っ、」
「いたっ!」
そして、ちょうどトイレから帰って来た鈴木先輩と鈴木先輩の飲み物を買って帰ってきた三好先輩のおでこに綺麗にささった。
「お、ずっきーにみよっしー!おかえりー!」
「おい、雪見、何しやがる」
「雪ちゃん、手裏剣投げるのは危ないからやめて」
「すまんすまん!」
「すいません!僕が手裏剣なんか折ったばっかりに!」
「いやいや、折り紙持ってきたの俺だから」
「それに、普通は投げないからな。」
あー、くそ痛ぇと呟きながらいつもの机に突っ伏した鈴木先輩だったのだ。
「そういえば、雪見先輩…リュックは?」
「ゆーきに任せた!」
「…また結ちゃんに任せたの」
「ナハハハハ!」
「笑い事じゃないですよ…」
雪見先輩:副部長。色素が薄い髪と同色の瞳。見た目“だけ”は儚げで病弱そうな美少女。部活で一番身長が低いが見た目に合わなさすぎる力がある。性格が男より漢。
たれ目で優しそうな印象の漢。
まだ、出てきていないが結城先輩とは親友(雪見の保護者)