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華穂視点。

「じゃ、これ送りますね。」


パシャッ


隼人くんが人気TOP3と大きく書かれたメニュー表を写真に撮って一弥にメッセージで送る。


「早く次の問題が来るといいですね。」


「うん、次もさくっとと解いて早く唯さ」


ピンポーン


「「はやっ」」


ふたりでハモってしまった。思わず顔を見合わせて笑ってしまう。


「タイミングピッタリすぎて笑っちゃった。」


「俺もっス。えっと次の問題は・・・『インディアナリバーで3番目に出てくる動物は?』。あ、ちょうどファストパスの時間ですね。」


「じゃあ早速行こう!」



インディアナリバーはボートに乗ってインディアンの生活の様子を見たりアメリカの動植物といった自然を体感するアトラクションだ。

もちろん作り物だけど。


ファストパスのおかげで1時間半待ちと書かれた行列の隣のレーンで10分待って船に乗る。

船の先頭には探検家の格好をしたお兄さんが立っていて、インディアンに会った時(もちろん人形)はどうしたらいいかという注意事項を述べている。


「あ、もうここにも動物がいますね。」


ハヤト君が指を指した方をみるとハゲワシがボートを見下ろすように枝に止まっているのが見えた。


「こいつが1番目で・・・・・、あれ?インディアンって動物なのか?」


「え?インディアンは人でしょ?いや、人間も動物といえば動物だけど・・・・」


んん?っと頭をひねっている間にボートが出発した。


ボートからインディアンの生活を眺める。食事の準備をしたり、特徴的な化粧を施してあげたり、なんか儀式みたいなのもやってた。

インディアンの生活も面白いがなかなか動物は出てこない。


「あ、あれ!!」


草むらになにかの動物が潜んでいる。

隼人くんの服を引っ張ってそちらを指差す。


「あれは・・・・・なんだろう??」


「ライオンじゃ・・・・ないッスね。ヒョウじゃないし・・・・・・。」


ネコ科の大型動物なのはわかるが、名前がわからない。

タテガミついてないし、ヒョウ柄でもない。


『そこの仲良いカップルさん、よく見つけましたねー。あれはピューマ。人を襲うことは滅多に無いけど、

虫や魚から大型哺乳類まで幅広く食べる貪欲なハンターだよ。』


う、騒いでるの見られてた。

そりゃあ先頭に立ってるんだもんね。

お客さん全員良く見えるよね。

恥ずかしくて顔が赤くなってしまう。


「・・・・・俺たちってカップルに見えるんスね。」


わたしに負けず劣らず顔の赤い隼人くんがぼそりと呟く。


「あっ、ごめんね。女の子苦手なのに迷惑だよねっ。」


ちょっと距離近すぎたかもしれない。

そう思ってちょっと離れようとする。



隼人くんの近くに置いてた手を上からぎゅっと握られた。


「め、迷惑なんかじゃないです。華穂さんが良ければこのままで・・・・・・・」


隼人くんの手は燃えるように熱い。

その手は痛くないもののしっかり握られていて簡単には離れそうにない。


「あ、ほら。こっ今回のデートってもともと俺の上がり症治すために付き合ってもらってるわけですし、きっとカップルっぽく見えた方が効果があるというか、華穂さん可愛いからひとりだと思われると危ないから虫除けっていうか、さっきから案内のお兄さんずっと華穂さんのこと見てるし、えぇーっとーそのぉ・・・・・・。」


パニックになっているのか、いつになくすごい勢いでしゃべり倒している。

と、そのままうなだれてしまった。


「・・・・・・すみません。俺なに言ってんだろ。」


笑ったら失礼だと思いつつ顔がにやけてしまう。


「手、隼人くんが大丈夫ならこのままでいいよ。せっかくのデートだから楽しまないとって唯さんも言ってたし。隼人くんも楽しもう?」


隼人くんはちょっと情けない顔をしたままはにかむように笑ってくれた。


『さぁ、そろそろ旅の終わりが近づいてきました。

最後に皆様を迎えるのはアメリカバイソンの群れです!!』


遠目で見ても大きいアメリカバイソンが20頭ほど群れを成して草を食んでいる。


「大きいねぇ・・・・・。3つ目はきっとこれだよ。」


「じゃあ写真を・・・」


『うわぁ!!!!』


突然お兄さんの叫び声とともに水飛沫が上がった。

ボートのすぐ脇でワニが大きな口を開けている。


『た、大変です!!このままではボートが壊されてしまいます。僕はさっき驚いた時に転んで手首を捻ってしまったので、この銃を使って皆さんで追い払ってください!!』


お兄さんがライフル銃を差し出しているが誰も手に取ろうとしない。


『やっぱり銃なんて怖いですよね。でも、みなさんの命がかかっています!そこの黒い服のお兄さん!!彼女さんを助けるためにもどうかお願いします!!』


「え?えぇ!?」


隼人くんは強引に銃を押し付けられてしまった。

銃を持つためにわたしと握られていた手が離される。気温は十分高いのに手だけが妙に寒く感じた。


『さぁ、私の言う通りに構えて、行きますよ〜。彼女さん、シャッターチャンスですからカメラ構えといてくださいね。他のお客様は肖像権に関わりますからダメですよ-。』


他のお客さんたちがどっと笑う。

言われてるわたしと隼人くんはたまったもんじゃないけど。


『よーし、しっかり狙って〜、撃って!!』


パーンッという大きな音ともに銃口から白煙が上がる。

ワニは口を閉じゆっくりと水底に沈んで行った。


「・・・・・・死ぬかと思った。」


隼人くんはみんなの命を救ったのに意気消沈して戻ってきた。

そうだよね。隼人くんだと恥ずかしくて死んじゃうよね。


「でも、カッコ良かったよ?」


先ほどの勇姿をバッチリ納めたスマホを見せる。

黒ずくめにサングラスにライフル銃。

ワニというのが合わないけど、ちょっとした映画のワンシーンみたいだ。


「後で、唯さんとお父さんに見ーせよ!」


「えぇぇぇぇぇ・・・・・・・・。」


隼人くんの情けない声にわたしはくすくす笑った。









ゲーム内はベタの宝庫です!


ブックマークありがとうございます。

これを糧にこれからも頑張ります。

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