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華穂視点。

「あの・・・・わたし、今回の件があるまでお祖父ちゃんにも里美さんにも会ったことなかったんですけど・・・・お祖父ちゃんの言うようにお二人とも閉じ込められてたんですか?」



里美さんはこくりと頷く。



「私は閉じ込められたりしていませんが、源一郎様への行動の制限はありました。

療養に使っている離れから出ることは許されませんでした。」



里美さんはちょっと躊躇うように口をもごもごさせた後、ゆっくり口を開いた。



「・・・・・・・・本当は華穂様におきかせする話ではないのかもしれませんが・・・・私には裕一郎様が酷い方に見えました。」



お、お父さんを悪く言う人、親戚以外で初めて見たっ!!


それは優しくてお茶目なお父さんしか知らない私には、結構な衝撃だった。



「源一郎様は懸命にリハビリを行い、寝たきり状態から3年であそこまで動けるようになりました。

本当に血の滲むような努力でした。

・・・・・・・・裕一郎様はリハビリや治療に必要なものは言えば全て準備してくださいましたが、ご自身は一度もお見舞いに来たりはなさいませんでした。

それに離れから出れないこともそうでしたし、新聞やテレビ、パソコンなんかのニュースがわかるものは一切源一郎様に渡さないようの制限されていました。

・・・・・・・・・・・・リハビリが終わるまでは『リハビリに集中してもらうため』ということで、源一郎様にもなんとか我慢していただけたんですが、体が良くなるにつれて苛立たれることが多くなって・・・・。

自棄になって部屋中の物を壊したり、かと思えば無気力でほとんど食事もしない日があったり・・・・。」



お祖父ちゃんが荒れるのはわかる。

わたしだって今、おんなじような状態だし。

さらにテレビも新聞もないんだから、わたしより窮屈で退屈かもしれない。

そんな状態がいつまで続くかわからない・・・・。

きっとおかしくなっちゃう。



「・・・・・・・・このままでは、心を病んでしまうと思って裕一郎様にも秀介先生にも黙ってこっそりタブレットを渡しました。

源一郎様はすぐに元気を取り戻して精力的に調べ物をなさっていました。

それがあんなことになるなんて・・・・・・・・っ」



えっ??


突然、わっと泣き出した美里さんにわたしはおろおろするしかない。

とっ、とりあえずなだめよう。

背中をさすって落ち着くように促す。



「・・・・何があったんですか??」



落ち着いたてきたかなって思ったところで声をかけると、里美さんはぽつりぽつりと話し始めた。



「・・・・・・・・1年半くらい前のことです。

源一郎様が会社の資料が欲しいとおっしゃられて・・・・。

それは部外者である私には準備できませんとお断りしたら、今度は秀介先生に直接『三条病院には貸しがある。お前は知らぬか?』と・・・・。

その場で源一郎様は何があったか話されました。

『真実かどうかは父親に聞けば良い』と・・・・。』


「貸しって?」


「・・・・・・・・政治家や官僚への賄賂です。

日本では承認されていない治療を進めるために、特別認可を得られるよう、お金を渡していました・・・・。

それが週刊誌にバラされそうになったところを源一郎様が止めてくださったようです。」



・・・・うん、お祖父ちゃんそういうの得意そう。



「源一郎様は秀介先生に『私が会社に戻るのを手伝えば、貸しを返してもらったことにしてやろう。』とおっしゃいました。」



これが秀介さんがお祖父ちゃんに協力する理由。



「・・・・・・・・最初の頃は良かったんです。

私も秀介先生も源一郎様が3年のブランクを埋めるための勉強用の資料だと思っていました。

勉強が終われば、裕一郎様を説得して復帰なさるのだろう、と・・・・。

裕一郎様を説得するために会社の方と連絡を取っているんだと思っていました。

それがいつの間にか裕一郎様を追い出して、華穂様を会社の後継者と結婚させるという計画になっていて・・・・。」



わたしが高良田家に来て1年・・・・ってことは、最初はお祖父ちゃんの計画に私の結婚はなかったはず。

・・・・・・・・あれ?じゃあ、わたしがいなかったらお祖父ちゃんはお父さんのことを追い出さなかったんじゃ・・・・。



さぁーっと血の気が引いていく。

直系を重んじるお祖父ちゃんが直系わたしがいない状態で唯一の直系のお父さんを蔑ろにしてたとはおもえない。

ってことは、もともと火種はあったけど悪化させたのはわたしのせい・・・・?



わたしがぐるぐる考えてる間にも里美さんは話を進めていく。



「秀介先生は止めようとしました。

でも、『あの記事は出版されてないだけで、まだ保管されてる』って、病院を盾にとられて・・・・。

どんどんやつれていってしまって、それでも、自分が悪役になっても病院と、華穂様だけはっ、守ろうって・・・・っ!!」



ぼろぼろとまた泣き出しちゃった里美さんの背中をさする。

あの頃の秀介さんは本当にやつれてて、たまにしか会わないわたしでもとても心配だった。

それをずっと近くで・・・・しかも好きだと思ってる人だったら、わたしと比べ物にならないくらい辛いはず。

里美さんも今回の被害者なんだ・・・・。



お祖父ちゃん以外の全員が不幸になってる今の状態に胸がズシンと重くなる。

そもそもお祖父ちゃんだってお父さんから監禁されたから、ああなっちゃったわけで・・・・。

そしてお父さんが監禁したのもお祖父ちゃんが強引だったせいで・・・・・・・・。


結局、この2人の親子ゲンカみんな巻き込まれてるってこと!?



「なんだかイライラしてきた。」


「えっ!?」



わたしがいるのも悪化の原因一つだし、そもそも父とほぼ初対面だけど祖父のこと。


・・・・血は繋がってるけど家族じゃない。


今はまだ。


血が繋がってなくても、努力すれば家族になれるって施設で育ったわたしは知ってる。


今からでも遅くない。


自分と空太のためにもお祖父ちゃんにはなんとしてもいい返事をさせなきゃ!

里美さんのおかげで秀介さんがなんでお祖父ちゃんに協力してるのかもわかった。



まっすぐ顔を見て里美さんの両肩をぎゅっと握る。



「里美さん、秀介さんを助けるために協力してください!

まずは明日の朝、わたしと宗純先生が電話で話せるようにしてください。

それと・・・・・少しだけでいいんです。

空太に会わせてください。」


すみません、遅くなりました。

華穂の時はどうしても筆が重く・・・・。

話の重さは変わらないのに、なぜだろう?

癒し《攻略対象者》が少ないから?(==?


慌ただしいですが、次は唯に戻ります。

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