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予想外の人物の登場に、人違いではないかと思わず外見的特徴を確認する。
「そうそう、たぶんそいつ。
一目でわかる高級ブランドのスーツ着て、偉そうな態度がいかにも甘やかされてるボンボンって感じ。」
・・・・・・・・・・・・。
最後に進一様に会った時のことを思い出す。
源一郎様があらわれた場面で登場して、華穂様のことは源一郎様に任せろと言われて帰されていた。
あの時のやりとりからてっきり進一様は源一郎様の仲間だと思っていたのだが・・・・。
仲間割れ??
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪
メッセージアプリの着信音に思考を中断する。
私の携帯からだ。
相手は・・・・・・・・隼人!
「はい、平岡です。」
『唯さん!!良かった。無事だったんですね!!!』
喜色満面の声にこちらも笑みがこぼれる。
「ご心配をおかけして申し訳ございません。
今までの携帯が使えなくなってしまい、先ほど一弥に隼人様の連絡先を教えてもらったところでした。」
『そうなんですね。
もう何日もなんの返事もないから、2人とも何かあったんじゃないかって心配で・・・・。
ほんっと良かった!!』
隼人・・・・本当にいい子!
「あっ!!」
隼人の優しさを噛み締めていたら、突然携帯を奪われた。
「ちょっと!返しなさい!!」
私の抗議には耳も貸さず、無表情で携帯をいじると一弥はそれをテーブルの上に置いた。
『唯さん!?どうしたんですかっっ!!??』
携帯から隼人の焦った声が聞こえてくる。
どうやらスピーカー通話に切り替えられたようだ。
「俺にも関係あるんだし、俺も話聞いてていいでしょ。」
『一弥さん・・・・?もしかして、今唯さん、一弥さんと一緒にいるんですか?』
携帯が一弥の声を拾ったのだろう。
電話の向こうから疑問符をつけた隼人の声が聞こえてくる。
“自分も話に入りたい”と言ってくれれば、ちゃんと自分でスピーカーにするのに!
と、一弥を睨んでみるが隼人を放置してここで糾弾しても仕方ない。
「話の途中で申し訳ございません、隼人様。
まだ一弥と一緒にいます。
今、連絡が取れなかった間のことのついて話をしていたところでした。」
『一弥さん、すっごく心配してたんでこうやってゆっくり話せるようになって良かったです。
毎日探し回ってるみたいだったし、俺の方にも何度も何度も『唯さんたちから連絡はないか?』って電話きてたんスよ。』
「隼人、余計なことは言わなくていい。」
『すっ、すいません!!』
無表情で返される平坦な声に、隼人が怯えている。
・・・・・・・・・・・・。
呑んだくれていた様子からもわかってはいたが、一弥が余裕のない姿を他人にさらすのは珍しい。
隼人には気を許しているというのはあるだろうが、やはりなりふり構っていられないくらい精神的に追い詰められていたのだろう。
『あのっ・・・・えっと・・・・大丈夫なら、でいいんですけど、俺にもなんで連絡できなかったのか教えてもらっていいですか?』
「はい、もちろんです。
むしろ、こちらからお願いして聞いていただかなくてはならないことがあります。」
一弥にしたのと同じ説明を隼人にもする。
『華穂さんと桜井さんが・・・・。そんな・・・・っ』
「私は華穂様を助け出して、空太様と再会させたいと思っています。隼人様も協力していただけませんか?」
『もちろんです!
っっと、すいません、監督に呼ばれて・・・・っ。
あの・・・・・・・・、大事な話があるんです。
1時間後に電話掛け直してもいいですか?』
「はい、大丈夫です。
お忙しいところ申し訳ございません。」
『じゃあっ、一旦失礼しまっす!』
通話をオフにしてふっと息をつく。
連絡が取れて良かった。
ドイツにいる隼人にどうやって協力してもらうかまだ考えていないが、やはり連絡が取れているのと取れていないのとでは安心感が違う。
源一郎様に悟られずに一ノ瀬社長にアプローチしてもらうこともできるし、裕一郎様が隼人に紹介したという医師経由で情報を集められるかもしれない。
よし、隼人から電話がかかってくる前に隼人にやってもらえそうなことを整理しておこう。
「今日はありがとう。
連絡も取れるようになったし、帰るわ。
何か気になることがあったら連絡して。」
立ち上がろうとしたら、肩を抑えられる。
「ダーメ。
隼人から電話かかってくるんでしょう?
俺も聞きたいからここに居て。」
「・・・・・・・・私にかかってくるんだから、一弥が聞く必要ないでしょう?」
「そうとは限らないよ?
さっきの電話、隼人は俺が聞いてるのもわかって話してたでしょ。
1時間後の電話も俺と唯ちゃんのふたり宛てでかけてくるのかもよ?
大事な話、なんでしょ?」
・・・・・・・・・・・・はぁ。仕方ない。
「わかった。じゃあ、ここで電話を待つ。」
流からの連絡はない。
今日も帰ってこないだろうから、食事の準備は必要ない。
遅くなってもかまわないだろう。
随分心配をかけたみたいだし、少しくらい一弥のわがままに付き合うことにした。
「で、どうやって華穂ちゃんを救出するつもり?」
「まだなんとも・・・・。
空太様を探し出すのが先だとは思うんだけど、あまり時間をかけると、華穂様と秀介様の婚約が発表されてしまうし・・・・。」
今後のことや気をつけておかなければならない点を話していると1時間はあっという間だった。
1時間を少し過ぎてかかって来た隼人からの電話を、先ほどと同じようにスピーカーホンにしてオンにする。
『やあ唯くん!久しぶりだね。元気だったかな?』
聞こえて来た声は隼人ではなかった。
次回更新はたぶん拍手お礼交換です。
たぶんというのはお化け屋敷の作りを悩んでるからです。
謎解きとかお化け屋敷のコンセプトどうしようかなーとか。
そればっかり考えてて本編が進まない本末転倒・・・・。
うまく思いつけば拍手お礼、やっぱり熟考する場合は本編更新になります。




