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「・・・・・・・・槙嶋の件はお前の言い分も筋は通っておるな。

しかし、わしに渡さずにどうする。

まさかわしの代わりにお前が最高責任者にでもなるつもりか?

一切経営に関わったことのないお前に何ができる?」



小馬鹿にしたような表情で口角をあげるお祖父様。



「お父様を探します。」


「お前が探しに行けるとでも?」


「お父様を返していただけるよう、お祖父様を説得します。


そもそも高良田グループはお父様がお祖父様から事業を引き継いでからも順調に業績を伸ばしています。

お父様でしたらぶつかり合う形ではなく槙嶋様の良いところを活かして、協力して事業を成長させられます。

お祖父様はお父様の何が気に入らないのですか?

お父様はきちんとした実績を残されています。」



お祖父様はブスッとした表情になって何も言わない。



「お父様がお祖父様の言うことを聞かないからですか?

お祖父様を閉じ込めたからですか?

それともおじ様たちと上手くいっていないからですか?」


「あやつはなんのためにグループを大きくする必要があるのかわかっておらん。」


「・・・・・・・・どういうことですか?」


「我が高良田グループは親族経営の会社だ。

会社を発展させるのは、一族を繁栄させるのためだ。

それなのにあやつは一族外の者ばかり重用しよって、わしが閉じ込められている間に追い出された者もおると聞いておる。

一族を率いる次期当主として不適格であるとしか思えん。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・。」



ため息をつきたいのをぐっと堪える。

お祖父様とわたしやお父様の考えが根本的に違いすぎる。

お祖父様の説く、一族繁栄の重要性がまったくわかんない。

わたしにとっては一回しか会ったことない、それもかーなーり性格悪そうな親戚なんかより毎日会う使用人のみんなや血は繋がってないけど家族同然園のみんなの方がよっぽど大事。



「お父様は出自を気にする方ではありません。

一族の者でも一族外の者でもその役職にふさわしいと思う方を重用なさっているはずです。

現に副社長はお父様からみて従兄弟である一臣様です。

お祖父様はなぜ一族にこだわられるのですか?」


「それが祖先から代々引き継いできたものだからだ。

グループもこの邸もわしはただご先祖様が起こし広げ引き継いできたものを預かっているに過ぎん。

それを次代へ正しい形で引き継いで行くことがわしの責務だ。」



・・・・・・・・お祖父様の考えも間違ってない。

さっきまでさっぱりわからなかった一族への固執も、祖先を敬うって考えたら、なんとなくわかる気がする。

ご先祖様が大切にしてきたものをお父様によって終わらせられるわけにはいかない。

わかるけど、それでも・・・・・・・・。



「もしお祖父様がすべてこのまま進めるとおっしゃるならば、お祖父様の直系は途絶えます。

それでもいいのですか?

そちらの方がよほどご先祖様に顔向けできないのではありませんか?」


「なに?」


「このまま無理矢理秀介さまと結婚させられても、わたくしは子供を産む気はありません。

わたくしの代で高良田家は終わりです。」



わたしが使える武器は教養とこの身体だけ。

使えるものはなんでも使う。



「それができると思うておるのか?」


「はい。

秀介さまはそういうことを強要なさる方ではありません。

お祖父様の指示で仕方なくそういうことになって子供ができたとしても、その子が無事産まれてくるかどうかはわたくし次第・・・・。

わたくしは愛する人の子供しか授かる気も産む気もありません。

もし強要されるなら・・・・どうなるか・・・・。」


「わしを脅すか。」



くすりと笑う。

脅しで誇張しているところはある。

けど、全部が全部嘘なわけじゃない。

自殺願望はないけど、もしこのままお祖父様に従って生きていたらきっと生きていくのが嫌になる。

秀介さんが嫌いなわけじゃない。

でも、空太以外に触られるなんて想像しただけで絶望的な気分になる。



「わたくし、お父様に似て一途なんです。あとはお祖父様譲りで頑固でもあります。」



“この意志は絶対に変わらない”



そう言外に含めてニッコリ笑った。

なんだか唐突に宗純×唯でのif話を思いつきました。

本編停滞中だからですかね・・・・。

次回更新は拍手御礼話にしたいと思います。

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