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華穂視点。

キリがいいのでちょっと短め。

うーん・・・・



秀介さんへのアプローチは失敗した。

あのまま何か聞き出せれば突破口になったかもしれないのに。

部屋を出ていく秀介さんの背中は『これ以上聞かないで』と語っていた。

しつこくしつこくしつこーく聞けば、もしかしたらちょびっとくらい話してくれるかもしれないけど、繊細な秀介さんにこれ以上負担をかけるのも・・・・。


やつれてた秀介さんの姿を思い出す。

あれはお祖父ちゃんとわたしたちの板挟みで悩んでたんだ。

悩んでた背中をわたしはどんな結果になるか知らなかったとはいえ押しちゃった。

今度のことはわたしにも責任が・・・・・・・・とはさすがに思わないけど、ここで秀介さんの口を割らせてまた悩ませるのも違う気がする。


うーん・・・・・・・・・・・・。



「うん、やっぱりお祖父ちゃんに会いにいこう。」



秀介さんに聞けないならお祖父ちゃんに聞くしかない。

そもそもお祖父ちゃんがやってることなんだし。

問題を解決するにはまずは根本から!

嫌われてたって何言われたってやらなきゃ何も変わらない。

最悪でもみんながクビになるくらいだし。

全部解決したらまた戻ってきて貰えばいい。

その時はお父さんと唯さんとみんなでお出迎えするんだから!!




身支度を整えてお手伝いさんにお祖父ちゃんへの取り次ぎを頼んでもらう。

断られるかなと思ったけど、案外あっさり許可が貰えた。

お祖父様の部屋へ案内してくれるお手伝いさんがわたしの方を心配そうに見る。



「華穂様、本当に大旦那様にお会いになるんですか?」


「うん。色々聞かなきゃいけないことがあるから。

大丈夫だよ。

もう結構色々言われたから、多分何言われても平気平気!!」



お手伝いさんの心配を吹き飛ばすように、にぱっと笑う。



緊張で震えそうになる手のひらをぎゅっと握りしめる。

本当は平気なんて嘘。

お祖父ちゃんに会うのはとっても怖い。

けど、このままお父さんや空太や唯さんに会えなくなる方がもっと怖い。

だから、どんなに怖くてもわたしは行かなきゃいけない。

お祖父ちゃんが求めてるのは家柄に相応しい淑女。

大丈夫。わたしには唯さんや宗純先生をはじめとしたたくさんの先生方が授けてくれた教養ぶきがある。

これで必ずお祖父ちゃんから大事なことを聞き出してみせる!!




コンコンッ



「大旦那様、華穂様をお連れしました。」


「うむ、入れ。」


声を聞いただけで自然と背筋が伸びる。

ドアが開いてお祖父ちゃんの姿が見える。

書斎机に座ったお祖父ちゃんは書類を読んでるみたいだった。

書類を置いたお祖父ちゃんの視線がこちらにきた途端体がこわばる。

眼鏡をかけたお祖父ちゃんは、なんだかこの間より視線の鋭さが増してる気がする。

おもわず怯みそうになるわたしに、お祖父ちゃんの声が響く。



「何の用だ?」



大丈夫大丈夫・・・・。

きちんと教わったことをやるだけ・・・・。



「お忙しい中、お時間をくださりありがとうございます。

今日はお祖父様の孫娘として、お祖父様の今後の方針をお伺いしたいとおもい参りました。」


「方針?」


「はい。・・・・・・・・まずは先日、秀介様からわたしは秀介様と結婚する予定だと伺いました。

それは本当でしょうか?」


「あぁ、そのつもりだ。」



お祖父ちゃんの肯定に、苦いものが広がる。

秀介さんの言葉を疑ってたわけじゃない。

でも、改めて言われるとズシンとくるものがある。



「それでは、今後わたくしは医師の妻としての勉強をした方がよろしいのでしょうか?」


「・・・・・・・・ふむ、少しは賢明になったようだな。リビングに茶を。話が長くなりそうだからの。」



お祖父ちゃんの声にお手伝いさんがお茶を取りに出ていく。

わたしは話をするために、お祖父ちゃんの後をついていった。

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