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後半華穂視点

RRRRR・・・・RRRRR・・・・



スピーカーホン状態にした電話機を華穂様に渡す。



『もしもし?』


「おはようございます。華穂です。昨日はご迷惑をおかけし、申し訳ございません。」


『あぁ、華穂さん!声を聞けて安心しました。

すみません、私の方こそ華穂さんの気持ちを考えてから慎重に話すべきでした。

お加減はいかがですか?』


「進一様のお話を聞く前から父と連絡が取れないことを心配していましたので、逆に状況がわかって落ち着きました。

それで・・・・父について何か連絡は?」


『今のところはまだ何も・・・・。

何か連絡があり次第連絡します。

華穂さんもおひとりで不安でしょうから、何かあったらすぐにこちらに電話をください。』


「お気遣いありがとうございます。

進一様に頼ってばかりで申し訳ないのですが、どうか父のことをよろしくお願いします。」


『私にとっても裕一郎様は尊敬できる方ですから、全力を尽くします。それではまた後ほど。』



通話の切れた電話機を受け取る。



「俺、裕一郎さんが戻ってくるまでここにいる。」



芳しい結果を聞くことができず、重苦しい空気に包まれそうな中発言したのは空太だった。



「え?」


「店には事情話して休みをもらう。さすがに海外まで探しには行けねぇけど、なにかと人手があったほうが便利だろ。」


「だっダメだよ!

空太にそんな迷惑かけられないよ!!」


「俺から言ってるんだから迷惑なわけねぇだろ。」


「わたしなら唯さんもいるから大丈夫だから!」


「俺が・・・・・・・・」



押し問答10分。

結局、『寝泊まりは高良田邸で行い仕事には行く』という双方妥協案で決着した後、空太は遅刻ギリギリで仕事に向かった。




「迷惑・・・・かけてるよね。」



空太を見送った後、華穂様がポツリと呟く。


通常、空太の家から店までは徒歩5分の距離だ。

それが高良田邸からだと車で40分、ラッシュ時にはおそらく1時間を超える。

おまけに空太はシフト制で朝早い出勤もあれば真夜中に仕事が終わることもある。

通勤時間の負担は大きいだろう。

それでも・・・・・・・・



「負担にはなりますが、空太様もおっしゃっていたっとおり迷惑ではないと思います。

負担が増えても、それでも華穂様のお側にいたいんです。

私も空太様も華穂様に頼ってもらえないことが一番辛い。

そのことを覚えていてください。」



空太が言っていたことをもう一度私から。

華穂様が頼ってくださるなら、何度だって言おう。



「ありがとう。」







とりあえず今やるべきことはこの後どうするかだ。

華穂様と相談して、



・使用人達には裕一郎様は出張が長引いてしばらく帰ってこないということにする


・華穂様は可能な限りいつも通りに過ごす



ということに決まった。

休むことを提案したが『みんなに何も知らせないなら、いつも通りに過ごした方が変に思われない』という華穂様の主張に渋々頷いた。







「こんにちは、華穂さん。」



昼過ぎにまた進一様がやってきた。



「こんにちは。今日はどうされたのですか?」


「やはり電話では心配で顔が見たかったのと、少し華穂さんとふたりきりで話したいことがあって。」



進一様は裕一郎様の件を私が知らないと思っている。

よってここでは華穂様も進一様もそのことを言い出さない。



「それでは私は昨日のように廊下に控えておりますので、何かありましたらお声がけください。」



・・・・・・・・早めに盗聴器を入手しよう。

そんなことを考えながら私は廊下に立った。




---------------------------



唯さんが部屋から出ると進一様はなぜかまたわたしの隣に座った。



「今日は顔色はいいみたいですね。

昨日は心臓が止まるかと思いました。」


「昨日は本当に失礼しました。

父と連絡が取れなくて心配で体調不良だったところで、あの話だったものですから・・・・。」


「たったひとりのお父様が行方不明だと聞けばショックを受けて気を失うのも仕方ありません。

さぞ、心細いことでしょう。」



膝の上に置いていた手を持ち上げられて、ぎゅっと両手で握られる。



「裕一郎様の捜索も高良田家の親族としての仕事も私がしっかりサポートしますから、華穂さんは邸でゆっくり過ごしてください。

また倒れては大変ですから。」


「はっ、はい!あっありがとうございます!!

そっ、それで何か父についてわかったことが!!??」



手を握られたまま真剣な目で近づかれて焦っっちゃう。

ななななんでこんな状態に!?



「昨日、説明できなかった捜索状況を説明しようと思いまして。」



そういうと進一様はカバンから紙を取り出した。

手が解放されてホッとする。


広げられたのは外国の地図だった。



「ここが裕一郎様が滞在されていたホテルです。

ここから・・・・」



進一様の説明にわたしは真剣に耳を傾けた。



話が進まない・・・

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