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っと、雛ちゃんの勢いに飲まれてついそちらを注視してしまっていた。

今日のメインは空太と隼人だ。

他のことに気を取られている暇はない。

隼人は困ったような笑顔で雛ちゃんをみており、空太は一弥から話しかけられたものの返事をする前に、雛ちゃんが一弥の注目を奪ってしまったため『こっからどうしよう?』という顔をしていた。

・・・・・・・・うん、雛ちゃんをなんとかしないと話が先に進まない。



「雛ちゃん、雛ちゃん。」


「なぁに?唯お姉ちゃん。」


「さっき雛ちゃんすっごくエビフライ美味しかったっていってたよね。

一弥とお兄ちゃんにも食べさせてあげたら?」



先程からキラキラしていた顔がさらに光り輝く。



「うん!

あのね、このコックさんが作ったエビフライとっても美味しいんだよ!!

いっぱい食べていいんだって!

また作ってくれるって!!」



雛ちゃんが空太を指差していい感じに空太に注目が集まる。



「そっか。雛はエビフライ大好きだもんな。」


「うん、雛がお兄ちゃんと一弥にとってあげるね!」



雛ちゃんがお皿を取りに離れると少しだけ場が静かになった。



「さっきは挨拶の途中でごめんね。

改めまして皇一弥です。

唯ちゃんの恋人としてこれから会うことも増えるとおもうし、よろしくねぇ〜。」



初っ端から嘘をつくな。



「んで、こっちがぁ・・・・」


「ははははは初めましてっ!!

若宮隼人ですっ!!!

きょっ、今日は俺のためにこんなにたくさん美味しい料理を作ってくれてありがとうございます!」



お母さんとおんなじことを言っている。さすが親子。



「初めまして。桜井空太です。

若宮選手、この度は海外移籍おめでとうございます。

向こうでも頑張ってください。」


「あああああありがとうございますっ」



『なんでこんな有名人紹介されてんの?』という顔が一瞬覗いたが、そこは大人で常識人。

しっかりと挨拶を返す。



「空太様、私の恋人うんぬんは嘘ですのでお気になさらず。

空太様はもちろん一弥もとてもサッカーに詳しくてその関係で華穂様も含めて4人で話すことも多いのです。

それに隼人様とは家族ぐるみでのお付き合いをしていますのでこれからもお会いする機会があるかと。」


「うん、雛ちゃん可愛かったでしょ?

お母さんはニット作家さんで、いろいろ教えてもらいにご実家に遊びに行ったりするんだ。

空太へのクリスマスプレゼントも隼人くんのお母さんに教えてもらって作ったんだよ。」


「へぇぇ。あれすっげぇ綺麗にできてたもんな。」



空太と話す華穂様を隼人が眩しそうに笑いながら見ている。

言葉にしなくても雰囲気は伝わる。

そのやりとりだけで隼人には華穂様と空太の絆が伝わったのかもしれない。



・・・・・・・・強いな。



以前にも思ったが隼人は本当に強い。

ものすごく恥ずかしがり屋でパニック症なところもあるけれど、きっと人としてなにより大切なことをわかっている。

自分の気持ちに向き合って、伝えて、断られても折れることなく相手の幸せを願うことのできる強さ。

幸せそうな華穂様も空太も眩しいけれど、今の私には隼人の強さが一番眩しかった。



「うわっ!?」



急に左肩に乗った重みによろけて声を上げる。

なぜだか一弥の顎が肩の上に乗っていた。



「突然なに?」


「んー?心ここに在らずって感じだったから戻ってこないかなーと思って。」


「はいはい。戻ってきたからどいて。」


「んー・・・・」



どいてと言ったにも関わらず、なぜか一弥は頬をすり寄せ、後ろから抱きしめるように腕を回してくる。



「ちょっと、一弥・・・・・・・・」



引きはがそうと体を捻ると、まわりから三者三様の視線が注がれてることに気がついた。

華穂様は相変わらずニヤニヤしているし、空太はびっくりした顔でこちらを見ている。

隼人は真っ赤な顔をしながら困ったようにこちらを見て笑っている。


・・・・・・・・恥ずかしい。

早く引き剝がさねば。



「あぁ、みんな揃っていたね。ちょうどよかった。」



背後から聞こえて来た裕一郎様の声に私はびくりと固まった。

ついに200話・・・・。

100話の頃何書いてたかなーとか読み返したら、その時も隼人の話でしたね。

あの頃はこんなに長くなるなんて思ってもみなかった・・・・。


先日バレンタインインタビューを小話にUPしてます。

あといろいろなミスで以前の拍手御礼がUPされてしまいました。

サブタイトル(仮)のままで・・・・orz

もしかしたら後でこっそりタイトルだけ変わってるかもです。

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