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「それでは若宮隼人選手のこれからの活躍を祈って乾杯の音頭をとらせていただきます。
乾杯!!」
「「「「「「「「「カンパーイ!!!!」」」」」」」」」
壇上に立つ隼人に向かってシャンパングラスが掲げられる。
隼人は真っ赤な顔で、それでも嬉しそうにそれを受けていた。
隼人の壮行会は海外移籍の発表当日に高良田邸で行われた。
すでに移籍のスケジュールについて聞いていたので、それに合わせて準備しておいたのだ。
最初は華穂様、空太、一弥、私にさらに裕一郎様を加えてこぢんまりと行うつもりだったが、裕一郎様に話を持っていったらどんどん大きくなり、最終的に隼人の家族やウィンズのチーム関係者、友人、フェリシテ関係者等を含む100人規模のパーティーになった。
予想外ではあるが、手伝いという名目で空太を引っ張り出すことができるのでよかったかもしれない。
全員いい大人なので大丈夫だとは思うが、やはり気まずいことになるのは避けたい。
これだけ人数がいれば空太に仕事を振るなり隼人を別のお客様のところに行かせるなりで、いくらでもフォローできるだろう。
それにうまく行けば一ノ瀬社長と空太を繋げるかもしれない。
顔は広いに越したことはない。
そんなこんなで始まったパーティはなごやかに進んでいった。
華穂様は久々に雛ちゃんに会えて嬉しそうだし、裕一郎様は隼人母や一ノ瀬社長と話が弾んでいる。
隼人はいろんな人に声をかけられて祝われているし、一弥はサインを貰いに来たウィンズの選手に囲まれてサッカー談義をしていて楽しそうだ。
空太はまだ厨房で仕事中。
料理長には話をつけておいたからそろそろ解放されるだろう。
「お母さん!このエビすっごくプリプリしてて美味しい!!」
「ほんとねぇ。どの料理もすっごく美味しくって・・・・、あらあら大和ぉ、あんまり食べすぎちゃダメよぉ。」
「だってこれマジうめぇ!!
華穂姉ちゃん、毎日こんなん食ってるとかずるくねぇ!?」
「うふふふ。美味しいよね。
うちの料理人さんの腕は天下一品だから、いつでも食べにおいで!」
「「ヤッタァ!!」」
きゃっきゃと喜ぶ子供たちの声に癒されていたら、所在なさげにうちの料理人さんの1人がやってきた。
「なぁ、華穂。料理長が会場に行けっていうからきたけど、なんか俺の仕事あるのか?」
ほとんどがスーツを着ている中、真っ白なコックコートの空太は非常に目立つ。
居心地が悪そう大きな肩をすくめている。
「うわぁ、コックさんだ!!このお料理、コックさんが作ったの?」
「ん?お、おぉっ。」
「ひなね、こんなに美味しいエビフライ初めて食べたよ!」
「そうか。そりゃよかった。
なくなったらまた揚げてきてやるからたくさん食べろよ。」
「うん!」
「ほんとぉににうちの子のためにこんなにたくさんの美味しいお料理ありがとうございますぅ。」
「い、いえ。俺は自分の仕事をしただけなんで。」
あっという間に打ち解けてしまった。
これなら隼人ともきっとうまく行くだろう。
ちらりと一弥の方に視線を向けると『心得た』と言わんばかりのウィンクが返ってきた。
・・・・・・・・以心伝心すぎて怖い。
やはり以心伝心は勘違いではなかったらしく、しばらくすると隼人を連れて一弥がこちらにやってきた。
「こんにちわー!先日はご挨拶もせずに失礼しました。」
へらりと笑って一弥が空太に手を振る。
さすがに芸能人相手では空太も緊張するのか、ひなちゃんと笑いあっていた顔が強張る。
そんな空太に気づかず大喜びなのはひなちゃんだ。
「一弥だー!!!」
隣にいる兄には目もくれず一弥に突進していく。
「すごいすごい!!本物!?なんでこんなところにいるの!!??」
「こらっ、雛!やめなさい!!」
大コーフンで一弥の前でぴょんぴょん飛び跳ねる雛ちゃんを一弥は優しく抱き上げる。
「いーよ、隼人。
こんにちは、お姫様。
俺はお兄ちゃんと友達なんだ。だから、今日はお兄ちゃんが海外でも頑張れるように応援に来たんだよ。」
「お兄ちゃんと友達なの!?
一弥とお友達なんてお兄ちゃんすごーい!!
ね、ね!!ひなともお友達になって!!」
幼くても女の子。
すっかりひなちゃんの目はハートだ。
そんな雛ちゃんを一弥は暖かい目で見ている。
・・・・・・・・・・・あんな顔もできるんだ。
その目は以前一弥の部屋で泣いた時に慰めてくれた時と似ていて、どこか複雑な気持ちになった。
大変久しぶりの更新でございます。お待たせして申し訳ありません。
2/10に拍手御礼話交換してますので、よろしければお目通しください。
本編更新してないのに拍手話を読むために拍手下さった皆様、ありがとうございます!
待ってて貰えてるんだーととても嬉しくなりました。
まだまだ亀ですが、これからもよろしくお願いします。




