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「ただいまっ!!」


「おかえりなさいませ。」



帰ってきた華穂様たちを玄関前で出迎える。



「寒いですから、早く中に。」



ふたりを中に入れ、空太から荷物を受け取る。

荷物は大量でほとんどがお土産のようだった。



「水族館は楽しかったですか?」


「うん!イルカってあんなに大きいってはじめてしった!

クラゲもキラキラして綺麗だったし、アシカもペンギンもかわいくってね、カワウソもいたんだよ。」



キラキラした目で 興奮気味に話してくださる姿がとても可愛い。

今日一日、とても楽しかったようだ。



「いろいろなお話が聞けそうですね。

また明日、たくさんお聞かせください。

お茶の方はお部屋で準備しておりますので、空太様も」



ガチャッ



突然のドアの開く音に3人で一斉にそちらを見る。

・・・・・・・・・・・・そして固まった。



「あれ?流、今日は来れないんじゃなかった??」



華穂様の呑気な声に男はニヤリと笑う。



「昼間はな。

俺がやろうと決めて出来ないことなどない。

夜はお前のためにと仕事は終わらせてきた。

行くぞ、唯。」



ドアが開く前に警備からの事前連絡なかったんだけど、いつの間にこの人顔パスになったんだろう。

そういえば一弥の時もドア開けたら外にいたなー・・・・


突然の事態に現実逃避を始めた脳はどうでもいいことを考えている。


スッと腕の中が軽くなる。


受け取ったはずの荷物は再び空太の手に戻っていた。



「唯さん、お茶の準備ありがとう。

あとは自分で大丈夫だから、唯さんはいってらっしゃい。

あ、その格好じゃダメだよ?

ちゃんとクリスマスに貰った服着ていってね。」



にこっと笑って手を振る華穂様の笑顔が今は悲しい。

またドナドナされている。



「流は応接室で待ってて。

お手伝いさんにお茶持っていってもらうから。

女の子は準備に時間かかるんだから、急に来て連れていったりしちゃダメだからね。」



さくさくその場を仕切る華穂様に意見できるような雰囲気ではない。

結局、言われるがままに着替えるために部屋に戻った。





色とりどりの服を広げながらため息をつく。


お菓子の包みを見て流も何かあるのかもと身構えたが、この時間まで何もなかったからてっきり来ないと思ってたのに。

不意打ちだ。


あー、どれ着よう。

流から貰った服で地味で目立たない組み合わせは・・・・・・・・。



コンコン



ノックの音に返事をする。

待てなくなった流がお手伝いさんに催促でもしたのだろうか?



「お菓子のお届けに参りましたー!!」



ドアを開けると華穂様がお菓子を胸に抱いたままニコニコしていた。

あぁ・・・・そういえば、残ったもうひとつは華穂様の書斎に置いたままだった。



「唯さんまだ着替えてないの?

あっ!着るもの悩んでるならわたし選ぶね!

あとはせっかくだしちょっと気合い入れて結おうか。」


「えっ、いやっ、あのっ空太様は!?」



ズンズンと部屋に入ってくる華穂様に気圧されて、下がる。



「空太は待たせても大丈夫。

まだ時間はたっぷりあるし。

服は・・・・・・・・あっ、これとこれで組みわせたら可愛いんじゃない?

このコーディネートだと髪は・・・・。」



並べられていた服を手に取り、華穂様は手際よく服を決めていく。

・・・・・・・・昨日、空太とのデート服を決めるのに1時間も悩んだとは思えない手際だ。



「はい、じゃあこれね!」



手渡された服に着替える。



「でーっきた!!」



毛足の長いもふもふのセーターにハイウェストで着るダークグリーンのミニフレアスカート。

黒のタイツと黒いカーディガンで甘さを抑え、首には大粒のコットンパールの金のネックレス。

髪はサイドを三つ編みに編み込まれ左肩からくるくると下ろされている。



・・・・・・・・自分で言うのもあれだが、可愛い。



実は華穂様の天職はスタイリストなのではなかろうか。



「完璧!!唯さんは何着ても似合うけど、これでより流好みに仕上がったでしょ!

流の反応が楽しみだね!」



ご機嫌な華穂様を前の私は渇いた笑いをするしかなかった。

昨日拍手御礼話を交換しておりますので、よろしければご覧ください。

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