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「今日は楽しかったねー!」



邸に戻っても華穂様は上機嫌だった。



あの後、想像通り『早く結婚しろ』『流に決められたくない!』と喧嘩し始めた2人は宗純の『こんな所で騒ぐなど、貴方たちは猿ですか』というブリザードに当てられて一気に沈静化した。

空太はそれを見て、宗純を敵に回してはいけないと学んだようだった。


観覧を終えた後は宗純を含めた5人で流オススメの大変美味しい中華を食べに行った。

食事の席でも会話は弾み、随分打ち解けられたと思う。

展覧会の感想や、宗純先生からの私と華穂様の腕前についての所感など。

華穂様は夏の展示会目指して頑張ろうということになった。

(私は問題外なので触れられなかった)

それ以外にも流が先日行った絵画展が素晴らしかったとか最近華穂様が学んだ音楽史についてだとか、芸術系の話題中心に進んでいった。

空太が取り残されてないだろうかと若干心配になったが、



「空太も宗純先生も、自分が作り出したもので人に感動を与えられるっていいよね。」



という、絶妙なタイミングの一言で孤立化は回避された。


そこから流が空太の料理がいかに素晴らしいかを宗純に語り、今度全員で空太の店に食べにいく約束まで取り付けられたので今日の目的を考えれば首尾は上々だろう。

・・・・・・・・その後、私の家庭料理を流に絶賛されたのは余計なことだったが。

本職の空太の後に絶賛されるなんて恥ずかしすぎる。その場から逃げ出したくなった。

無表情の宗純の目が微かに生温かく見えたのは気のせいではないと思う。




色々と心臓に悪い時間だったが、全体的に見れば楽しかったと思う。

華穂様も喜んでくださったし。



華穂様にお休みの挨拶をして自室に戻る。



これで宗純はOK。

もう少し親睦を深めたい所だが、とりあえず何かあった場合に今までよりも頼りやすくなっただろう。


後は一弥と隼人・・・・・・。

・・・・・・・・どうしよう、このふたり。

空太との接点が全く見つからない。

シーズン終わったから試合もあってないし、ライブもこの時期やってない。


そもそも隼人と空太を会わせていいのだろうか?


目の前で、フラれたとはいえ好きな相手が他の男と仲良くしているのはかなり酷なのではないだろうか。

面倒見のいい空太と素直で優しい隼人は性格は気が合うと思う。

華穂様を挟まなければ。

隼人の性格上、流や一弥のようにバチバチと威嚇しあったりはしないだろうが笑顔の裏でひっそり傷ついていそうで偲びない。


隼人は諦めて一弥だけにする?

いや、でもどうやって??


隼人を誘えば用事がない限り華穂様は来てくださるだろうが、一弥ひとりならまた妙な気を遣って私と一弥ふたりにしようとなさるだろう。

2人の状態で空太に会いにいく・・・・・・・・無いな。

空太に会うときは華穂様も一緒にいていただかなければならない。

ふたりが一緒にいれば何かあった時にも『空太を助けることが華穂様を助けることになる』という印象をつけることにもなる。

うーん、解決策が思いつかない。



私が考えあぐねていると、解決策は向こうからやって来た。




「相談したいこと・・・・ですか?」


『はい。唯さんが忙しいのは十分わかってるんですけど、どうしても相談したいことがあって・・・・・・・・』



隼人から電話がかかってきたのは、空太たちと5人で食事をした3日後のことだった。

隼人から直接私に連絡が来るのは珍しい。

華穂様、隼人、一弥、私の4人でグループメッセージをしているが1対1のやり取りは華穂様⇄隼人、一弥⇄私の組み合わせが基本になっている。

そんな特別親密でもない私に相談事とは余程のことなのだろう。



「わかりました。近いうちに時間を作りますので、こちらから連絡いたします。」


『ありがとうございます!』



電話の向こうの声が少し明るくなったことにほっとする。

隼人と会うのは週刊誌の報道騒ぎ以来だ。

どんな相談かはわからないが、迷惑もかけたし頼ってくれると言うのなら全力で力になろう。


作中の『週刊誌の報道騒ぎ』は小話に載せている『はやとくんのすきゃんだる』という話のことです。

ちょっとその時のことが出てきますが、たぶん読まなくても大筋はわかると思います。

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