表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/252

閑話:理由

秀介を見送り、華穂様が授業に入ったのを確認して自室に戻る。



アプローチのシュチュエーションを考えるために華穂様が秀介に聞いた相手に女性は聞けば聞くほど華穂様だとしか思えなかった。



・明るくて優しくて元気な二十代前半の女性。

・同じ病院の同僚ではないが、仕事の関係で知り合った。

・彼女といるととても癒される。



それだけなら当てはまる女性は華穂様以外にもいるだろうが、年末までの秀介の憔悴した様子を見る限り、定期的にそういった対象に会っていたとは思えない。


イベントは全く起こっていないが、好感度としては上がっていたということだろうか。

しかし、だとすると秀介の明るい様子が気にかかる。

ゲーム通りならばこの時期、秀介はある問題により憔悴してそれを見た華穂様が心配で寄り添って・・・・・・・・。

という展開のはずだ。

両思いになって華穂様に悩みを打ち明けたわけでもないのに明るくなる理由がわからない。


それに“もうすぐ大きな仕事が終わる”と言っていた。

秀介は医師だ。

普通の会社員のような大きなプロジェクトがあるわけではない。

難しい手術という可能性もあるが、まだ本番が残っているのに準備段階で気を抜くことなどないだろう。

もっと別のこと・・・・恐らくあの人関係の。

探りを入れたいところだが、下手に動けば潰される可能性が高い。

情報収集能力も権力も資金力もゾウとアリ程に違う。



・・・・・・・・私の存在はイレギュラーだ。



華穂様に出会った頃は自分が発言すらないモブなのかゲームにいないはずの人間なのかわからなかったが、一弥と流にあれほど影響を与えてしまった以上、ゲームに組み込まれていた人間だとは考えられない。

・・・・今までも慎重に行動してきたつもりだ。

だが、結果は芳しくない。

華穂様は恋も令嬢修行もうまくいっている。

問題はそれ以外だ。

正直、概ねゲーム通りに進んだのは隼人くらいだ。

流と一弥は大幅に道を逸れたし、空太はゲームの時より出現頻度が高すぎる。

宗純はおそらく途中で攻略ストップしたのだろうが、キャラがゲームと変わっているし、秀介に至っては進んでいるのか止まっているのかキャラがそもそもゲームと一緒なのかもわからない。



最後のイベントの時、私はどう動けばいいのだろう。



動くことで良くなるのか、悪くなるのか。

エンディングを迎えるまでそれがわかることはない。

華穂様の相手が空太だというのも心配だった。

空太が悪いとは思わない。

十年に渡る華穂様への一途な想いは誰より強いだろう。

ただ、圧倒的にどの攻略対象よりも力が足りない。

華穂様をあの人から救う力が。

財力・権力・コネクション。空太には何もない。

おそらく腕っ節も私の方が上だろう。

ゲーム通りでいけばそんな非力な空太でも

華穂様を救うことができるのだが、正直これだけゲームから逸れてしまってはその展開は望み薄だ。



・・・・・・・・もしかして、私はその為に存在するのだろうか?

華穂様ではなく、華穂様の相手である空太を補助するため・・・・。

このゲームに似た世界に神がいるとしたら。

華穂様が選ぶ相手が空太だとわかっていてその補助として私をつくった・・・・?

いや、空太だとは限らないのかもしれない。

隼人も一弥も・・・・宗純や流であってもあの人は簡単に太刀打ちできる相手ではない。

華穂様は立派なレディになられた。

もう私ができることはほとんどないだろう。

というか、むしろ一弥や流のことで迷惑をかけっぱなしというか・・・・・・・・。


最終イベントまであと少し。

空太の力になるように動こう。

それが華穂様のためになるのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ