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後半、流視点。

「グループ内の清浄化だけでも大変な仕事だが、それと並行して高良田社長はいくつも新しいプロジェクトを立ち上げている。

まだ動き始めで結果はこれからだが、かなり注目されている。

そこでの人の扱いも上手い。

会社というのは清浄であればそれだけでいいわけではない。」


「?」


「大勢の人間が集まれば、多かれ少なかれ悪いものが出てくる。

そしてそれをどんなに追い出したとしても、違うところから濁っていくものだ。

不正だけでなく、ハラスメントや意欲の低下などでそういったものは現れてくる。

高良田社長はそういった人間を見極めることが上手い社員を各部署に担当として据え、社員のメンタルヘルスに気を配り不正の発生を防いでいる。

おそらく社長に就任する前からそういった人材を育てていたのだろうな。」



人を育てるのは一朝一夕で出来る事ではない。

才能の見極めもいるし、それを伸ばしてやる必要もある。

裕一郎様がそういうことに長けているのはわかる。

だが、裕一郎様お一人で出来ることには限界がある。

だから、同じ役割を担ってくれる人間を育て上げたのだ。

なんとなくそれは夏美様と華穂様のためだという気がした。



「まだまだ改革の途中だろうが、高良田社長は清濁合わせて抱え込める大きな人間だというのがわかった。

だからこそ惜しいと思った。」


「惜しい?」


「あぁ。

高良田社長はどんどん改革を進めるだろうが、あれだけ大きなグループとなれば長い時間がかかるだろう。

もしかしたら高良田社長の代で終わらない可能性もある。

しかし、高良田社長には後継者がいない。」



・・・・・・・確かに。

華穂様というお子様はいらっしゃるが、裕一郎様が後継者についてどう考えているのかはわからない。

華穂様が継ぎたいと言われれば可能性はあるのかもしれないが、裕一郎様から積極的に華穂様を後継者にすることはないだろうというのは、普段のおふたりを見ていればわかる。



「高良田社長が社内外で優秀な人物を次の社長に抜擢する可能性はあるが、200年続いた親族経営を切り替えるのは厳しいだろう。

次の社長が高良田社長がやってきた改革を全て無にすることだって有りうる。

だから俺が華穂と結婚してその改革を引き継げばいいと思った。

俺の代まで改革すれば、次の社長は親族外からでも可能だろう。」



裕一郎様への尊敬と流らしい自信家な部分のギャップにクスリと笑ってしまう。

態度は俺様なのに流は優しくて可愛い。

きっと裕一郎様の事がだぁい好きなのだ。

だから、裕一郎様の築いたものを守っていきたい。

すなおにそういえばいいのに、はじめて華穂さまと

あったときはあーんなにしつれいな態度とって華穂様をおこらせて・・・・・。

それをおもいだすとますます楽しくなってなかなか笑いが止まらない。

あー、かわいーなぁ。






※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


クスクスと笑い続ける唯を見る。

俺はそんなに笑うような話をしただろうか。



「おい、そんなにおかしな話をしたか?」


「おかしくないよぉ〜。流、かわいーなーとおもって。」


「は?」



へらりと笑いながら言われた言葉に唖然とする。


この俺が“かわいい”だと!?

というか、こいつ今、俺の名前を・・・・。



「だってさぁ、そんけーしてる人がつくったものをまもりたいなんて普段の流からはかんがえられないから

かわいーなーって。」



明らかにいつもと様子が違う唯をじっくり見る。


頬は薔薇色に上気しており、ニコニコと細められた瞳は潤んでいる。

手元のグラスを見るが、中身はあまり減っていない。

だがこれはどう見ても・・・・・・。



「・・・・・・・・お前、酔ってるのか?」


「よってないよぉ。たのしいだけぇ♡」



酔っ払いは必ずそう言う。



「流は裕一郎様のことだぁいすきなんだねぇ。

わたしも裕一郎様のことだぁいすきだから、いっしょでうれしい♡」



自分に向けられた“大好き”ではないとわかっていっても、ドクリ心臓が音を立てる。

“大好き”と“一緒で嬉しい”という二つの言葉が頭の中で木霊する。

その間も唯はニコニコ笑いながら俺を見つめている。



「くそっ!可愛いのはお前だっ。反則だろう・・・・・!!」



どう考えても据え膳の状態なのに手が出せない。

無意識に唯の方に伸びそうになる腕を戒めるように抑える。

今触れたら止まれなくなる。

一時の欲望に負けて永遠にこいつを失うわけにはいかない。

普段は微笑むように笑うことの多いこいつが、ずっと満面の笑みを浮かべているのは心臓に悪い。

触れることもできず、かといってその魅惑的な姿から目をそらすこともできず、動けなくなってしまう。



この俺がまさかこのような状態になるとは・・・・・・。

改めてこいつの恐ろしさを知った。


今後でてこないであろうどうでもいい設定。


華穂はザル・・・・・ではなく、もはや枠のレベルでアルコールに強いです。

酒好きなわけでは有りませんが、飲み比べをするとしたら誰にも負けません。

空太が華穂の可愛い酔っ払い姿を見ることはないでしょう。

むしろ介抱されて醜態を晒すほう・・・・w

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