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「ところで空太、今日仕事は?」


「あー、今日はたまたま休みだったんだよ」


空太の目が明らかに泳いでいる。


「空太には今日、華穂が遊びに来るって伝えておいたから、わざわざお休み貰って会いに来たんだよねぇ。」


「ちょっ・・・・山中先生!!」


山中先生の暴露にまたもや空太真っ赤だ。


「ちっ、違うからな!たまには店長が日曜も休みとれっていうから、たまたま取っただけで、別にお前に会いに来たわけじゃ・・・・」


「ふーん、そうなんだ。いい店長さんだね。たまたまでも空太に会えてよかった。」


あ、華穂様の笑顔に空太が撃沈した。

赤い顔のまま突っ伏して『おまえ本当にわかってねぇ・・・』とかぶつぶつつぶやいている。

『仲がよろしいですね』と言いたいところだが、これ以上追い打ちをかけたら可哀想だろうか。


空太はもともと華穂様のことが好きだという設定だ。

好感度も他の対象者より最初から若干高い。

ただ残念なことに、華穂様にはまったく意識されていない。

好感度が上がるとだんだん華穂様の意識が変わってくるというストーリーだった。

・・・・・・・・・先は長そうだ。頑張れ空太。



「華穂さん、空太が仕事してるお店ってすっごく美味しいんだよ。」


「そうなんですか。華穂様はよく行かれるんですか?」


「ん〜、ちょっと高めだからしょっちゅうは行けないけど、お財布に余裕があるときは。

あと、山中先生におごってもらったりとか。」


「俺がおごるからいいって言ってるのに、おまえそういうとこ律儀だよなぁ。」


いつの間にか復活していた空太が会話に加わってくる。


「食べた分はちゃんと払わないと。

お店の他の人にも申し訳ないし、空太の腕はタダじゃないでしょう?

それにあった支払いをしなきゃ。」


「山中先生には奢らせるのに?」


「それはいーの。」


「私は一人で食事をするより誰かと一緒に食べるほうが好きなので、空太の店に行くときは休みのスタッフを誘って行くんですよ。

もちろん誘った私の奢りで。」


2人の会話を眺めながら、山中先生が補足を入れてくれる。


「唯さんも今度一緒に食べに行こうよ。

ふわとろのオムライスがすっごく美味しいの!」


「オムライス、いいですね。

もう何年も食べてないので食べたくなってきました。」


「何年も?」


「はい。海外にはオムライスはありませんので。」


「えっ、そうなの??」


そこから4人でオムライスの起源やどんなオムライスが好きか、海外で食べた面白い料理について話に花を咲かせた。









帰りの車中で華穂様は終始ご機嫌だった。


「楽しかったですか?」


「うん!連れてきてくれてありがとう!!

まだ施設を出て10日だけど、やっぱり毎日みんなに会ってたから、すごく久しぶりな感じがして会えてうれしかった。

空太に会うのも1ヶ月ぶりくらいだったし。」


空太は高校卒業後、今の店に就職し、店の近くのアパートで一人暮らしをしている。

施設にはよく遊びに(おそらくは華穂様に会いに)きているようだが、最近は忙しくてなかなか来れなかったそうだ。

やっと時間ができて会いに来てみれば、肝心の人物は出て行ったという状態で連絡も何もない。

まあ開口一番怒鳴られるのも仕方ないだろう。


「空太のお店に行くときはお父さんも一緒に行けないかなぁ。お父さん、いつが空いてるかな?」


華穂様、初っ端からお父さんイベントは空太が可哀想なので、やめておいてあげてください。


「そうですね。

予定は確認してみますが、なにぶん忙しい方ですので予定を合わせていたらだいぶ先になってしまうかもしれません。

あまり先になってしまうと空太様にも失礼になってしまうので、今回は2人でいきましょう。」


「そっか。それじゃあ仕方ないよね。」


「機会はまたありますので。

山中先生をお誘いしてもよろしいかと。

今まではパーティまで時間がなかったので毎日勉強でしたが、明日からは毎週土日はお休みの予定になっています。

施設に遊びに来てもいいですし、祐一郎様からお出かけのお誘いがあるかもしれません。

週末は好きにお過ごしください。

お出かけでしたら事前におっしゃっていただければ準備をしておきますので」


「いいの?何しようかなぁ♪」


屋敷に着くまで、華穂様はずっと様々なやりたいことを話してくれた。


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