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呼称などは実情がわからなかったので勝手なイメージでつけました。

「唯さん、この道って・・・・・・」


「あら、もう気づかれてしまいましたか。10日間、屋敷にほぼ屋敷に籠りきりでしたので、息抜きをと思いまして。」


私はちょっといたずらっぽく笑う。

午後、私は行き先を告げずに華穂様ともに外出していた。

目的地は、華穂様が過ごした児童養護施設だ。




「華穂せんせーーーーい!」


施設の扉を開けると、待っていたのかたくさんの子供達が駆け寄ってきた。


「みんな、ただいま。」


子供達に抱きつかれた華穂様とても嬉しそうだ。

華穂様が子供達と喜びの再会をしている間に、それを微笑ましく見ていた施設長に挨拶をする。

施設長は60代半ばの優しそうな男性だ。


「先日は電話での挨拶、失礼いたしました。

改めまして、私、華穂様の執事をしております平岡と申します。

これからもちょくちょくお邪魔することになると思いますので、どうぞよろしくお願い致します。」


挨拶をしてからお土産に大量のお菓子と流からもらったバラの花束をひとつ渡す。


「これはこれはご丁寧に。施設長の山中です。華穂がいつもお世話になっています。

よろしければ後で、そちらでの華穂の様子を教えてください。」


その言葉と表情には華穂様への愛情が溢れていて、彼もまた華穂様の父親なのだと感じた。


「せっかくお菓子を頂いたことですし、少し早いですがおやつにしましょう。

ほら、みんなおやつを食べるから食堂に行きなさい。

華穂はお茶の準備を。」


「「「「「「「「「「「「はーい!!!!!」」」」」」」」」」


子供達と一緒に食堂に向かう華穂様は生き生きとしている。これが本来の姿なのだろう。



華穂様にお茶を入れてもらうのは恐れ多いと手伝おうとしたが、施設長に止められたため大人しく席につく。

郷にいっては郷に従え。

お茶が全員に配られ、高良田邸自慢の料理人お手製シュークリームをひとくち齧った頃にそれはやってきた。



「華穂っ!!!!!!!」


バーンッという音とともに勢いよく食堂の扉が開かれる。

そこにいたのは息を切らした背の高い男性だった。



ミディアムソフトモヒカンの黒髪に男らしい太めの眉。

怒っているのか目元はややつり上がっている。

広い肩幅にしっかりついた筋肉、がっしりした体型はとても強そうだ。



桜井空太さくらいそらた

料理人見習い。23歳。

華穂様と同じ養護施設で育った幼馴染。

ちょっとぶっきら棒なところはあるが根は優しく真面目で、仲間も多い。

見習いにしては腕も良く、勤めている店でも信頼されておいる。

彼の調理中の姿が見えるカウンター席はいつも女性客で賑わっており、店の集客に一役買っている。



「あれ?空太、仕事は??」


「あれ?っじゃねーよ!!この間来たら、お前突然いなくなってるし!!

山中先生に聞いたら『親御さんが迎えに来た』ってなんだよそれ!!

俺、なんにも聞いてねーし!!」


「あー、ごめんね。

ほんとに突然で、わたしもずっとバタバタしてたから連絡するの忘れてた。」


『てへっ』っと笑って誤魔化しに入る華穂様。

それを見てさらに空太のボルテージが上がる。


「お前なぁ〜〜〜〜〜!!最初っから最後まで全部説明してもらうからな!!!」


頃合いだと思ったのか、山中先生が間に入った。


「ほらほら空太、落ち着いて。

ちょうど今からその話をするところだから、座りなさい。

おいしいシュークリームもあるよ。」


山中先生に促されて、空太も周りを見る余裕ができたのか、部外者である私の存在に気づいた。


「はじめまして。私、華穂様の執事の平岡ともうします。」


「・・・・・・・・執事?」


空太の困惑顔は、初めて私と出会った時の華穂様とそっくりだった。





お互い自己紹介を終え、華穂様が施設を出てからのことを施設長と空太に説明するる。


「はぁ〜、お前がお嬢様ねぇ・・・・」


空太が華穂様をしげしげと見る。


「そんな言われなくても、わたしだって柄じゃないのはわかってるよ。

でも、お父さんがそうなんだから仕方ないじゃない。」


ぷっくり頬を膨らませて不満を表す華穂様。


「華穂様もパーティーでしっかりおもてなしされていましたよ。」


空太に私の携帯を見せる。

液晶には昨日のパーティーで着飾った姿の華穂様が映し出されていた。

空太の顔がみるみる赤くなる。


「ま、馬子にも衣装だなっ!!」


さらに頬を膨らませて『失礼なっ!』と怒る華穂様たち2人のじゃれ合いを、心の中でにやにやしながら眺めていた。


4/17午前、12の最後に入れ忘れていた内容を少し追加しました。

大した内容ではありませんが、若干この後の話に出てくるかもしれませんので(予定は未定)お目通しいただけると幸いです。

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