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華穂視点。

視界があっという間にぼやけてよく見えなくなる。

ぼたぼたと水が紙に当たる音がする。



「おっおい、何突然泣いてんだよ。」



空太の慌てた声が聞こえるけど、ぼたぼたという音は止まらない。



「だって・・・・だってえぇぇぇぇ」



バッグの中には空太の10年が詰まってた。

空太の言葉を聞いて、今までを思い返してみて、わかってたけど、目に見えるものになるとぐっと心に突き刺さった。



「あー、もう。ほら泣き止め。俺今ハンカチとか持ってねーんだから。」



空太が袖でわたしの顔を拭ってくれる。



「あのっ・・・あのっ・・・あのねっ・・・・」



喉がヒクヒクいってうまく喋れない。


でも、言わなきゃ。

わたし、空太のくれたものにこたえなきゃ。



「わっ・・・わたしも・・・ある・・・のっ、渡したい・・・ものっ。」


「わかった。ちゃんと受け取るから落ち着け。」


「うっ・・・うん。」



自分でも目元を拭ってからバッグから頑張ってラッピングした袋を取り出す。



「メリークリスマス。」



空太はちょっと目を見開いた後、ほんのり笑って受け取ってくれた。



「さんきゅ。開けていいか?」


「うん。」



緊張する。

わたしと同じように慎重にリボンを解いていく手をじっと見つめる。



「これ・・・・・」



空太が取り出したのは深紅の塊だった。

袋を手に持ったままそれを広げる。



「マフラーか?・・・・・手編み??」


「・・・・・うん。」



隼人くんの家で自分の気持ちに気づいてから、隼人くんのお母さんに習ってひとつひとつ想いを込めて編んだ。

まだまだ上手とは言えないけど、隼人くんのお母さんにも及第点はもらったし、いい毛糸を使ったから使い心地は悪くないはず。



「ありがとう。すっげー嬉しい。」



すぐに空太はそれを自分の首に巻いた。



「あったかいな。・・・・・・宝物にする。」



マフラーに半分顔を埋めて頬ずりするように笑う空太に胸がキュンとする。

・・・・・・・・わたしの大切な人。





「・・・・好き。」




気づけば言葉が口から滑り出ていた。

直前まであった緊張も何もない。

ただ自分の心が溢れて止まらない。



「空太が・・・・好きっ」



大きく目を見開いた空太の手から握っていた袋が滑り落ちカシャンと音を立てた。

スノーボールを詰めた瓶が地面に当たった音。

それを聞いたのと同時に強い衝撃と視界がグレー一色になった。


空太の着てるジャンパーの色。



「もう一回言ってくれ。」


「空太が好き。」


「もう一回。」



震える声で懇願する空太に何度も伝える。



「空太が・・・・大好きだよっ」


「本当に・・・・夢じゃねぇよな・・・・・。」


「夢じゃないよ。・・・・・頑張って伝えてるんだから夢にしないで。」



空太の背中に手を回して現実だと伝える。

わたしを抱きしめる力がぎゅっと強くなる。

ちょっと苦しいけど、その強さが嬉しい。


どのくらいそうしてただろう。

どちらからともなく腕を緩めてお互いの顔を見つめ合う。

空太の瞳は濡れていて頬には涙の跡があった。

その顔にクスッと笑う。


「なんで泣いてるの?」


「・・・・いいだろ、別に。お前だって泣いてんじゃねーか。」


「だって泣くほど嬉しかったんだもん。」



空太もそう思って泣いてくれてるんだよね。



「長かったな・・・・・。」


「ずっとそばにいてくれてありがとう。

今度は、わたしがずっとそばにいる。

離れてって言われてもずっとくっついて行くから。」


「言わねーよ。

言質はとったからな。もう絶対離さねぇ。」


「うん。

ずっと・・・ずーっと一緒にいようね。」



これからは毎年クリスマスプレゼントを渡そう。

もっと上手になって来年はセーターを作ろう。

クリスマスだけじゃなくてバレンタインも誕生日もずっとふたりで過ごしていく。

そんな楽しい未来がはっきり見えた気がした。

66の告白から長かったねぇ、空太(ほろり

まあ、長くなったのは私の文才の無さ故デスガ。



【庭の片隅】

壁]TT)ジーっ


唯「華穂様・・・よかった。よかったですねぇぇ(グスグス」


作(当人達より泣いてるなぁ)


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