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リビングのソファーにもたれかかって流はクラシックを聴いていた。

目を瞑って聴き入っているようだ。

流れてくる曲は以前華穂様も一緒に聴いた『新世界より』だ。


「お寛ぎのところ申し訳ございません。

キッチンの片付けは終わりました。

他に仕事はございませんか?」


流はゆっくりと目を開けると音楽を止めてこちらを見た。


「終わったか。ご苦労だったな。

今必要な仕事は特にない。」


「ありがとうございます。

それでは私はそろそろお暇したいと思いますが・・・・」


時刻は午後10時過ぎ。

きっかり約束の5日間が過ぎた。


「あぁ、5日間お前のおかげで快適に過ごすことができた。

感謝する。」


「そう言っていただけて光栄です。

それで・・・・もし執事を雇われるご予定でしたら知人を紹介したいのですが。」


流はいい主人だ。

こういう主人は友人の執事に紹介したいし、流には良い執事を雇って欲しい。


「いや、執事を雇うつもりはなくなった。

だから、その必要はない。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・。

つまり、執事がいて快適に過ごすことはできたが、雇うほどでは無かったということか。

いないよりはマシ、くらいな。

執事は安い職業ではない。

給料に見合うほどの快適さを私は流に提供できなかったのだ。

まだまだ私の力不足を感じて情けなくなる。


「かしこまりました。

差し出たことを申しまして申し訳ございません。」


喜んでもらえていたと思っていただけに地味にショックが大きい。

帰ったら反省会をしよう。


「お前でなければ意味がないということがわかった。」


・・・・・・・・・ん?


「他の執事では意味がない。お前だからこそ俺はこの5日間快適に過ごすことができた。」


これは・・・・・・褒められている?


「お言葉、ありがたく頂戴いたします。ですが私は華穂様の執事ですので・・・・・。」


“お前だからこそ”という言葉は嬉しいが、それで華穂様のもとを辞めて流のところに行く訳にはいかない。


「わかっている。別に華穂のところを辞めて俺のところで仕事をしろと言うつもりはない。

以前、はっきり断られたしな。」


そうだ。私は以前流の冗談交じりの勧誘を断っている。

じゃあ一体何が言いたいんだ??


「・・・・・・・・俺はお前がこの家で料理を作って笑顔で出迎えてくれるだけでいい。」


「・・・・・・・・・料理人になる腕もつもりもないのですが。」


流はそんなに私の料理が気に入ったのか。ありがたいがやはり叶えてあげられない。


・・・・・・・・なんだろう、ものすごく残念な子を見るような目で見られている。


「・・・・・・・お前は意外と馬鹿なんだな。」


流にそんなことを言われる日が来ようとは心外である。


「すみません、馬鹿な私にもわかるようにご用件は簡潔にお願いいたします。」


ちょっとムッとして言い返してしまう。


「わかった。子供にもわかるように言ってやる。・・・・・・・・俺と結婚しろ。」


・・・・・・・・・・・・・・は?


突然の爆弾発言に固まってしまう。


「これでもわからないのか。・・・・俺はお前が俺の隣で笑っている姿が見たい。だから俺のそばにいろ。」


聞き間違いだと思いたい脳を否定するように、流がどんどん畳み掛けてくる。


「この5日間、俺はとても楽しかった。それがお前がそばにいたからだというのならば、確実なものにしたい。」


固まっている私にソファーから立ち上がった流が近づいてくる。

昼間のように抱きしめられ、髪を梳かれる。


「お前とこうしていると落ち着く。それと同時にもっとと思ってしまう。だから俺と結婚しろ、。」


初めて呼ばれた名前に背筋が震える。それで我に返った。


「ちょちょちょちょちょっと待ってください!

流様は華穂様と結婚なさりたかったのでは!?」


慌てて流の胸を押し返し距離をとる。


「華穂には悪いが、華穂とは結婚できないと詫びを入れなければならんな。高良田グループとの提携は惜しいが・・・・・お前の方が大事だ。」


いや、華穂様は喜んで了承されると・・・・・じゃなくて!!


「華穂様のことがお好きだったのではないのですか?ご一緒にいらっしゃってずいぶん楽しそうでしたが・・・・・。」


「あいつもまあ面白い人間だから楽しいが好きかと言われると違うな。」


「しかし、とても生き生きされていましたよ?」


「お前も一緒にいただろう。」


・・・・・・・そうでした。


「ですが、華穂様と」


尚も言い募ろうとする私に流が言葉を重ねてくる。






「なぜお前は俺が華穂のことを好きだということにしたいんだ。









俺が好きなのはお前だ、唯。」









や、やっとたどり着いた執事体験編山場・・・・・・!!

本当はこれと同時に拍手お礼話入れ替えたかったんですが、まだ書き終わってません・・・・・。

で、できれば今日明日中に入れ替えたいなぁ;;


入れ替えたときは活動報告で報告します。

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