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「それで空太様はなんと?」
あぁ、話はやっぱりそこに戻ってくるんだね!?
もうあの時のことを思い出すだけで火が吹けるくらい全身がかぁーっと熱くなる。
「えっと・・・・そのっ・・・。」
うぅ、恥ずかしい・・・・。
でも、唯さんも真剣に相談に乗ってくれてるんだから言わなきゃっ。
「家族みたいじゃなくてひとりの男として想われたい・・・・本当の家族になりたいって。
これからわたしに男として意識させてやるって・・・・・。」
もう自分の顔が鏡で見れない。
熱すぎて顔溶けちゃうかも。
唯さんが真顔で聞いてくれるのがいたたまれない。
「そこまで気持ちを伝えてくださっているなら、今度は華穂様から告白する番ですね。」
え"!?
「ちゃんと意識するようになって、好きになったと気持ちを伝えてあげてください。」
「えええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「まさかこのまま空太様を放置されるおつもりですか?
このまま待っていても2度目の告白があるかどうかわかりませんよ?
もしかしたら、空太様も華穂様からのお返事を待っていらっしゃるかもしれませんし。」
な、なんにも考えてなかった・・・・・。
こここくこくこく・・・・・無理!!!
もうこれ以上この話題無理!!!ななななな何か別の話を!!!
そ、そうだ!!!
「ゆゆゆゆ唯さんこそ、どうしたのっ!?」
「どうしたとは?」
「告白!!!流と付き合ってるんでしょう!?」
「・・・なんの話ですか?」
え?なにその怪訝そうな顔??
宗純先生が笑った衝撃ですっかり忘れてたけど、キスしてたよね??
「・・・・・・・わたし、唯さんと流は付き合ってるんだと思ってたんだけど・・・・・・・。」
そんでもって一弥はそんな唯さんに片思いしてるんだと思ってた。
「その根拠は?」
こ、根拠!?
言っていいのかな?いや、聞かれてるし言わないとだよね。
「そ・・・そのね、たまたま、たまたまだよ!?
華穂さんと流が・・・その・・・キス・・・してるの見ちゃったの。」
・・・・・・・え、なんでその顔?
怪訝な顔がさらに怪訝そうになったよ??
「いつですか?まったく心当たりがありませんが・・・」
仕方なく展覧会のホテルの部屋で見てしまったことを話す。
「あぁ、それでしたら華穂様に叩かれて腫れてきた流様の頬を冷やしていただけですよ。」
「は?」
「流様が自分で濡れタオルを持ってくださらなかったので、私がタオルを持って冷やしていたんです。」
「ごごごごごごごめんなさいっ。」
え!?わたしの勘違い!!??
じゃああれは!?!?
「この間のお泊まりは!?わたしてっきり凹んだ唯さんを流が慰めてるんだと・・・・」
「???
確かに流様には励ましていただきましたが、それの何に問題が?」
「も、問題っていうか・・・その・・・泊まりだったでしょう?」
なんか自分で言ってて赤くなっちゃう。
なんてこと聞いてるんだ。
「はい。
ちょっと泣きすぎて酷い顔になってしまったので『女をそんな顔で帰すなど俺のプライドが許さない』と言われまして、顔が元に戻るまで一晩ひとりでホテルに泊まりました。」
えぇぇぇぇぇぇぇぇ。なにそれ。
「じゃ、じゃあ、今度の流のところでの住み込み5日間は!?」
「???
先日もご説明した通り、流様に執事体験していただくだけですが。」
・・・・・・・わたしてっきり、仕事に真面目な唯さんと多忙な流が少しでも会う時間を作るために、流が考えた策かと思ってた。
昼は仕事だけど夜はふたりっきりのプライベートな時間とか。
唯さんは自分の都合で休んだりしない性格だから、気を使わせない為の方便かと思ってたのに。
「本当に流とは何もないの!?」
「ありません。
流様はまだ華穂様と結婚する気でいますのでうまく断らないといけませんね。
簡単には納得してくださらなさそうですが。」
断言してる・・・・・。
付き合ってるはわたしの勘違いだったとしても、流は唯さんのこと好きだと思うんだけどなぁ。
わたしの気のせい?
「それじゃあ一弥は?」
テレビで断言してたし、これは勘違いじゃないはず!
唯さんがものすごく遠い目になった。
「あれはどうしたらいいんでしょうね・・・・・・」
ど、どういうこと??
「友達だと何度も言ってるんですが、聞く耳を持たなくて・・・。
流様を説得する以上に大変な作業になりそうです・・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・。
今日1日でわたしは学んだ。
恋はする方もされる方も両思いも片思いも大変だってこと。
表面上真剣そうに聞いていますが、唯の脳内は萌え死ぬ寸前です。
『乙女な華穂様可愛い!』『空太の告白シーン見たかった!』『華穂様の告白シーンはなんとしても見ねば!!』という3つがぐるぐるしてます。
拍手御礼今日中に入れ替えます。
それと同時に、先日撤去した空太の御礼話を小噺にUPします。
UP時に活動報告で報告します。




