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『槙嶋くんから話は聞いたよ。』



裕一郎様にそう言われたのは、一弥と会った次の日の夜だった。


時刻は夜の10時半。


電話をかけるには失礼にあたる時間だが、流の場合は昼間連絡したほうが仕事の邪魔になる可能性が高い。

試しにメッセージを送ってみる。


『御礼の件でお電話を差し上げたいのですが、いつがご都合よろしいでしょうか?』


携帯から軽快な音楽が流れ始める。

この音はメッセージではなく、着信だ。


「折り返しありがとうございます。平岡です。」


『あぁ、俺だ。』


相変わらず名乗る気はないらしい。


『高良田社長から聞いたか。華穂の予定を確認してから返事をすると言っていたがどうなった?』


「流様の希望される日程で大丈夫です。

正式なお返事はまた裕一郎様からあると思います。」


『わかった。』


「それで申しわけございませんが、その前に電話でよろしいので、一度打ち合わせの為にお時間いただけませんでしょうか?」


『少し待て。』


電話が保留され保留音が流れる。


『待たせたな。明日の14時にそちらに行くから時間を空けておけ。』


「え?お忙しいですし、電話で大丈夫ですが・・・・・・。」


『俺が会いたいだけだ。では、また明日。』


それだけ言って電話はぷつりと切れた。



・・・・・なんだかなぁ。

流の言葉は裏表ない本音だとわかっているから、心臓に悪い。

逆に一弥の言葉は裏しかないとわかっているから、何を言われても心に響かない。

・・・・・・足して2で割ったらちょうどいいのに。

世の中うまくいかないものだ。





「ご足労いただき申し訳ございません。」


流の到着は14時丁度だった。

華穂様はレッスン中なので私だけで出迎え、応接間で対応する。


「お前もそう華穂のそばを離れられないだろう?気にするな。

それで、打ち合わせとは何をしたらいい?」


「はい、いくつか質問に答えていただきたいのです。」


「あぁ、何を聞きたい?」


通常であれば採用の連絡もらった時に聞いたり、執事として仕える中で確認してくものなのだが、今回は5日間と期間が短い。

事前にしっかり把握しておかなければ、確認する前に最終日が来てしまう。


「まずは流様の出社時についてですが、私は会社についていったほうがよろしいですか?

それともお家の方の仕事をしていたほうがよろしいでしょうか?」


基本的に執事は家を仕切る者だ。

主人の私生活をサポートする。

基本的に職場についていくことはないが、そこは主人の考え方によるので聞いてみないとわからない。


「そうだな・・・・。

俺は執事の仕事を明確に把握しているわけではない。

お前はどうしたほうがいいと思う。」


「会社についていくとすれば秘書業務のようなことをするべきだと思いますが、すでに秘書はいらっしゃるでしょうし、社外秘の書類などもあるでしょうから、許可が頂ければご自宅でのお仕事をさせていただきたいと思います。」


「では、そうしてくれ。」


「次は・・・・」


現在の住まいの家族構成やお手伝いさんがいるかどうか、起床時間や、朝食の好み、夕食は外食と自宅どちらがいいかなど細かく聞いていく。


「あとは・・・・住み込みと通い、どちらがよろしいですか?」


流がキョトンとした表情をする。


「住み込みがあるのか?」


「ご迷惑でなければお願いしたいのですが。」


執事の仕事はおはようからおやすみまで。

主人より早く起き主人が眠ってからも仕事をする。

合鍵を預けてもらって通いで朝自分で鍵を開け、夜閉めて帰るのでもいいのだが、流の場合は『送る』などと言い始めて流の仕事を増やすことになりかねない。

横暴な俺様だが、紳士の立ち居振る舞いは身についているという貴重生物なのだ。


「ゲストルームがあるからそこを使え。」


「ありがとうございます。」



そこからまだまだ聞かなければならないことを聞いていく。

様々な質問が終わったころには1時間が過ぎていた。


「・・・・・・なんというか、執事というのは大変だな。」


さすがの流も質問攻めで疲れたようだった。


「申し訳ございません。なにぶん、期間が短いのでどうしても質問が増えてしまいまして。

もし、流様が執事を雇い入れる時にはこちらのメモを清書してお渡ししますので、質問攻めは回避できるかと思います。」


紙には我ながらよく聞いたなと思うくらいずらずらと質問とその回答が書いてある。


「執事は皆、それだけの事柄を把握しているのか?」


「そうですね・・・・。

個人差はあると思いますが、これくらいは把握していると思います。


優秀な執事でしたら1つの質問で10を理解します。

もしくは質問せずとも主人のそばにいるうちに自ずと必要なことを理解します。


私たちは主人の思考の先を読み、必要な時に必要なことができる必要がありますので、場合によっては本人より主人本人のことを理解していなければならないのです。」


「相手を理解し、先を読む・・・か。

お前はいいビジネスマンになりそうだな。」


「一流経営者に認められるなんて光栄です。」


「お前が執事を辞めたらうちの社で雇ってやる。」


「執事を辞める気はないので、雇い主が途切れないよう頑張らないといけませんね。」



そんな会話をしながらのんびりとした午後は過ぎた。

すみません、最近忙しく昨日は更新できまでんでした・・・・。

今日も未完成品投稿(・・;)

ちょっとしばらく更新不安定になりそうです。

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