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「さぁ、みんな何を選んだのか、華穂さんに見せましょうねぇ。」


「「「はーい」」」


「まずは雛からね♡」


「雛はこれ!」


雛ちゃんがジャーンと取り出したのは、雛ちゃんとお揃いだと言っていた手袋と、毛足の長いモコモコの毛糸で作った薄ピンクのマフラーだった。


「これ、スリスリするとすっごく気持ちいいのー。」


「ありがとう、雛ちゃん。」


雛ちゃんが差し出した2点を華穂様が笑顔で受け取る。


「次は唯さんねぇ。」


「私はこちらを。」


私が選んだのはオフショルダーのオフホワイトのニットワンピースだ。

アクセントで全面に二本、スウェード紐で×印の編み込みが縦に入っているのが可愛らしい。


「さすが執事さんねぇ。華穂さんの魅力がよぉく出る服だと思うわぁ。」


「ありがとうございます。」


「唯さん、ありがとう!私が唯さんに選んだのはこれ!!」


華穂様が私に広げて見せてくれたのは紺のタートルネックのロングニットだった。

前から見るとシンプルだが、サイドにクロスのような模様が編んであり、腕を動かすとチラ見えして可愛い。

裾の方もサイドに向けて円形に整えられいてちょっと他では見ないデザインだ。


「ありがとうございます。若宮様、お供の私にまでこのような素敵なものをくださりありがとうございます。」


「いいのよぉ〜。唯さんにもとってもお世話になってるって隼人から聞いてるからぁ。ぜひ着てやって!

じゃあ、次はわたし。

私からはこぉれ。」


隼人母が出してきたのは、上部は籐で編まれたニットと籠の複合バッグだった。

黒っぽい色の籐に、下の部分はキャラメル色の毛糸で編まれていて、ブラウンのリボンで飾りが着いている。


「可愛いでしょぉ。唯ちゃんが選んでた服にも合うと思うわぁ。

じゃ、最後に隼人ね。」


「ははははははいっ!!!」


隼人の緊張感が半端ない。なんだかこちらも手に汗握りそうだ。


「ここここここここっこれを!!」


隼人が差し出したのはトラ柄の猫の編みぐるみだった。

綺麗におすわりした態勢で、にゃぁと声が聞こえてきそうな表情をしている。


「わぁ!かわいい!!ありがとう、隼人くん!!」


「い、いえ・・・・・」


顔を赤くしたまま、俯いてぽりぽり後頭部を掻く隼人はかわいい。

かわいいの・・・・・・・だが。


「ちょっとは成長したと思ったんだけどぉ・・・・。やっぱりカエルの子はカエルかしらぁ。」


隼人母の呆れたようなつぶやきが聞こえる。


これだけ恵まれた状況でなぜ編みぐるみ!!??

もっと萌えるようなかわいい服がいっぱいあったじゃないですか!!!!

自分が選んだものを着て欲しいという願望がないのか!!!


私と隼人母の心の叫びを余所に、隼人と華穂様の周りにはのほほんとした空気が漂っている。

・・・・・・まぁ、本人たちが幸せそうならいいか。


「華穂さんも唯さんも、自分で見た中で欲しいのは無かったぁ?気に入ったのがあったら持って行っていいからねぇ。」


「いえ、わたしはみんなが選んでくれたもので十分です。どれも素敵な品で、とっても嬉しいです。

唯さんは?」


「わたしもこんな素敵なセーターがいただけたのでとても心がいっぱいになりました。大切にします。ありがとうございます。」


「いえいえ。ここに置いててもかわいそぉなだけだもの。素敵なお嬢さんたちのところに行けた方がその子たちも喜ぶわぁ。

じゃあ、またお部屋に戻っておちゃにしましょぉ。」


そこからは5人で談笑をする。

雛ちゃんにはもちろん、隼人も癒し系なのでこのメンバーでお喋りするのは本当に和む。

しばらく楽しく話していたのだが、そのうち隼人がそわそわしているのに気がついた。

話の合間にチラチラ華穂様を見ている。

その様子を見ていたら、私の方を隼人母が見ていることに気がついた。

視線が合うとバッチンと可愛らしくウィンクされる。


「そうだわぁ。わたし、ちょぉっと高いところのものを取って欲しいものがあったのぉ。

唯さん、手伝ってくれるぅ?」


「はぁ?母さん、お客さんになに言ってんの!?後から俺がやるから。」


「隼人じゃダメよぉ〜。女の子の秘密だものぉ。ね、唯さん。お願い。」


「わかりました。背が高いのは私の数少ない取り柄ですから、お役に立てるなら嬉しいです。」


「ありがとぉ。華穂さんはここで待っててねぇ。隼人、ちゃぁんと華穂さんをおもてなしするのよぉ。」


そう言って、スタスタと襖を開けて歩いていく。

わたしはその後を追っていく。


「ちょっ、母さん!!」


隼人の追いすがるような声を無視して、ふすまは無情にも閉められた。





雛ちゃんを台所のテーブルに座らせてお菓子を食べさせる。

雛ちゃんにそこでおとなしくしているように言い含めると、隼人母はふすま前までそっと戻ってきてピタッとふすまに張り付いた。


「若宮様・・・・」


つい、呆れたようなつぶやきが出てしまう。

この人、天然だけど実は結構図太いのかもしれない。


「しっ!こうでもしないとあの子は進展しないんだから、唯さんも協力してねっ」


・・・・・・・・・私も気になるといえば気になる。

私も気配を消してそっと襖に張り付いた。


ナンバリング100話、ここまで来れたのも皆様のおかげです!

これを記念に拍手話を入れ替えようと思ってたんですが、ちょっと間に合わず・・・・。

ぽぽぽぽポケモン捕まえに行ってたわけじゃないですよ!?(ごにょごにょ

ということで、近日中に拍手話は交換予定です。

交換時に活動報告とあとがきで報告します。

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