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アカトキヴァンシュ-GUN OPERATOR GIRL-  作者: 久マサル
五章.デザートイーグルと梟
18/30

16話

「2人とも降りろ! 請負人なのか? 」

ビスマルクの請負人が梓と玲香に銃口を突き付ける。

「宮之城さん… 」

「大丈夫。私に合わしてくれれば良いから。」

玲香は表情が強ばっている梓を宥める。

「はい、護衛の依頼を受けております。」

「私も同じく。」

2人は登録証をビスマルクの請負人の1人に渡す。

「最近、増えているんだよな請負人ごっこをする若者… 」

「どうした… ?! 」

登録証を確認したもう1人の請負人は驚きを隠せない。

「宮之城民間警備ホールディングスの社長令嬢とオカサトミヤの請負人だと… ?! 」

パパシュ! ドサッ…

玲香は一瞬の隙にレッグホルスターからサイレンサー付きの【HK USP】を引き抜き、請負人2人の脳幹を撃ち抜く。

「え、え? 」

一瞬の出来事に驚きを隠せない梓を横目に、玲香は請負人だった物が握っている2枚の登録証を奪い返す。

「な、なにも殺すことはなかったんじゃないの… 」

梓は目の前の惨状に声が震えながらも玲香を非難する。

「護衛の依頼が嘘だとバレた場合、今回の件を疑われかねないから撃ったのよ。それに… あなた、まだ心が揺らいでいるのかしら? 」

「え、まだって? 」

「ああ、あなたに協力を仰いだ際に、朝霧さんから連絡があったのよ。」

「ユリカさんから? 」

梓は玲香の口からユリカの名前が出てきたことに驚く。

「ええ、8月中旬の襲撃された話を聞いたのよ。その時に、あなたのことで念を押されたの。」

「えっ? 」

「朝霧さんからの伝言よ。『あの時、クリスから聞いた言葉を思い出して。』とのことよ。」

「… うん、ありがとう。」

「そう… 」

梓がユリカからの伝言をすんなりと受け入れたことを意外に思う玲香。

「繋がらないわ… 電波障害みたいね。」

「茅花ちゃん、大丈夫かな? 」


ーーーーーー


「お嬢さん、何の用だ? 」

ビスマルクの請負人の1人が京橋を覗き込むようにして尋ねる。

「そうね、ギフトはどこにあるのかしら? 」

京橋は覗き込んでくる請負人に鋭い視線を返す。

「あぁ? ギフト? なんだそれ。」

「ごめんなさい、聞き方を間違えたわ。」

感情が全く込もってない謝罪をする。

「あなた達が最近流している薬物を渡して貰えるかしら?」

「悪いけど、街の仲買人から買ってくれ。」

「私、買うとは一言も言ってないわよ。」

京橋はさらに強気に出る。

「あぁん、どういうつもりだ。」

「こういうことよ… 」

京橋はジャケットを捲り、リボルバー【S&W M686】を取り出す。

「?! 」

バァン!

顔面が抉れた請負人は仰け反り、後ろに倒れる。

「テメェ! なにしてんだ! 」

怒号を挙げた請負人達は銃口を京橋に突き付ける。

「もう一度だけ聞くわ。薬物はどこ? 」

京橋は自身に向けられた複数の銃に動じることなく問い直す。

「ふざけんじゃねえ! 」

パン!

1人の請負人が京橋に向けて、9ミリパラベラム弾を放つ。

バチン!

直後、弾丸は厚い大気の層にぶつかり、弾速が落ちていく。

断熱圧縮された弾丸周辺の大気は赤くなり、弾丸自身も赤熱化していく。

そして、赤く溶けた弾丸は京橋の眼前で止まり浮遊している。

「… … … 」

目の前の非現実的な出来事に請負人達は言葉を失う。

「… な、バリアだと… 」

「そうね、その言葉が1番近いかしら… ? 」

ハンヴィーが西側のガレージから京橋に向かって突っ込んでくる。

ドォォン!

京橋に被さっている半円のバリアにぶつかったハンヴィーは逆立ちして、ガソリンの臭いを漂わせている。

「うぉお! 」

ババ! バァン!

機関銃【MK46 Mod 0】を持つ請負人が

京橋に向けて連射する。

チュイーン、チュイン…

バリアに衝突した7.62mm弾は四方に跳弾する。

スッ!

「?! 」

瞬間的に機関銃を持つ請負人の背後に移動する京橋。

バァン!

リボルバーによって頭を撃ち抜かれた請負人が手放し、落ちていく機関銃をキャッチする京橋。

ババ! バァン!

京橋は奪った機関銃で周囲の請負人を一掃していく。


ーーーーーー


「なに、あれ… 」

茅花はコンテナ越しに見える現実に理解が追いつかない。

「おい、お前もあいつの仲間か? 」

「?! 」

パシュ! ドサッ…

請負人を制圧した茅花は玲香と連絡を取ろうとするが…

「繋がらない? どうして… 」

ガシャン!

物音が聞こえた方向に茅花が振り向くと、請負人の1人が東の方向に走り去っていく。

「待て! 」

茅花は請負人の足の速さが尋常ではないことを見抜き、全速力で追いかける。

「ハァ、ハァ…どんだけ速いの… 」

施設内をジグザグに走り回る請負人と茅花の距離は縮まるどころか離れていく。

ザッ!

請負人は両サイドにコンテナが高く積み上げられた場所で急に止まる。

「ハァ… ゆっくりとこっちに向きなさい! 」

追いついた茅花が銃口を突きつける。

クル! ザッ!

請負人はナイフを取り出すと急に踵を返し、茅花に急接近してくる。

「はやっ! 」

ジャキン!

茅花は接近戦になることを判断し、伸縮性の警棒を伸ばす。

キーン!

ナイフと警棒が交わり拮抗する。

「へぇ〜 」

「くっ 」

茅花は後ろに跳び、請負人と間合いを取る。

「あはは、素早いねお嬢ちゃん。」

「無駄口を叩くつもりはない。」

請負人の一撃を避けた茅花は警棒で請負人のナイフを叩き落とす。

スッ!

「(もらった! )」

茅花は怯んでいる請負人の背後に回り、後頭部に狙いを定め警棒を振りかざす。

パシィ!

茅花の一撃を急反転した請負人が受け止める。

「?! 」

「残念♪ 」

茅花が罠に引っ掛かりにやける請負人。

ドン!

「うっ… 」

腹部を殴られた茅花は後方に吹き飛ぶが空中で体勢を立て直し、着地する。

「な…なに、この威力。」

プレートキャリアが吸収しきれなかった、ダメージに茅花は焦りを隠せない。

カラン、カラン。

請負人は茅花から奪った警棒を手放す。

「更に一発! 」

請負人は痛みに蹲っている茅花に蹴りを加える。

「くっ… 」

請負人の胸部への攻撃に対して茅花は両腕でガードする。

ドン!

「んぁ! 」

茅花はコンテナに激突し、前のめりに倒れる。

「もう、終わり? 」

不気味な笑みを浮かべながら請負人が茅花に歩み寄る。

「ハァ、ハァ… 」

茅花はふらふらとしながら立ち上がると、 発煙弾を使い姿を消す。

「ザッ… 茅花ザッ…聞こえる。」

インカムから聞こえる玲香の声は酷く聞こえづらい。

「玲香ちゃ…証拠は手に入らなかった… 」

「私達も…襲撃されているわ… 援護出来ない… ザッ… 」

またしても、無線が途絶えてしまう。

コンテナにもたれながら茅花は現状を打開する策を練る。

「みぃ〜つけた♪ 」

パシュ! パシュ!

近づいてくる請負人に向けて茅花は連射するが全弾避けられてしまう。

カチッ!

「弾切れ… ?! 」

マガジンを交換しようとするが恐怖からもたついている茅花を請負人が蹴り飛ばす。

茅花は【ワルサーP99】を手放してしまう。

「お嬢ちゃん、見かけによらずタフだね。」

まだ、立ち上がる茅花の姿を見て請負人は驚く。

「ハァ… 」

茅花は相変わらず応えない。

「へぇ、もう一丁持っていたんだ。」

茅花はスカートのポケットから小型拳銃(ポケットピストル)【P380 Black Rose 】を取りだし銃口を請負人に向ける。

パン! パパン!

「どこを狙って撃ってるの?」

請負人は全く避ける素振りを見せない。

パサァ…

「? これは小麦粉か。」

請負人の周りを埃のように小麦粉が舞っている。

「ねぇ、粉塵爆発って知ってる? 」

茅花は不安と恐怖が入り交じった表情を見せながら、トリガーを引く。

パン! ボッ… ドォォン!

爆風で茅花は吹き飛ばされ、周囲には轟音と焦げくさい臭いが広がる。

「コホ、コホ… なんとか倒せたみたいね。」

顔を上げた茅花の前には真っ黒になった請負人が転がっている。

「いてて、それにしてもこいつはなんだったの? あと、京橋も訳が分からない… 」

呟きながら、次弾を欲している【ワルサーP99】を拾い装填する茅花。

「ふ〜ん、まだ試行錯誤が必要なみたいね。」

緊張感の残滓(ざんし)が残る空間に不釣り合いな明るい声が聞こえる。

「誰?! 」

茅花が声が聞こえた方向に銃を向けると、黒いロングワンピースを着た若い女性が焦げた請負人を眺めている。

「ビスマルクの人間なのか? 」

「でも、請負人をここまで追い詰めたという事実は途中経過としては、上出来じゃない。」

妖艶な雰囲気を放つ若い女性は、まるで茅花の姿が見えていないかのように振る舞う。

「止まれ! 撃つわよ! 」

銃を持つ手が震える茅花。

サッ… カチャ!

「?! 」

茅花の目の前で消えた若い女性が、次の瞬間には茅花の背後に立ち、黒い【デザートイーグル】を突き付けている。

「あなたのことは、見逃してあげるから感謝しなさい。」

バチィ!

強い電流が走った茅花は気を失い、その場で倒れる。

茅花が気絶したことを確認した、ワンピースの女性は一瞬にして姿を消す。



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