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ぎゅるるるる……!
浴室にプラ製の椅子を置き、健はそこに座っている。風呂場なので、当然裸だ。その健の体を、マナがスポンジでこすってくる。
ここでも健の考え事は続いていた。
(落ち着きすぎてるのかな……僕は)
ぎゅるるる……!
「痒いところはございませんか?」
「特に無いよ」
マナが擦りつけてくるスポンジは一つだけではない。数カ所に同時にあてがわれる。それらのスポンジは、触手の先端に装着されたものだった。
マナの付属品らしい。スポンジは円筒形をしていて、中心には芯が入っていた。それが触手一本いっぽんに取り付けられ、回転しながら健を洗っている。
マナはというと、脱衣所に服を着て正座している。触手だけが浴室に入ってきている。マナによれば、これも性能評価の試験のうちらしい。
それにしても、回転するスポンジで洗われるのは奇妙な心地がする。
(ガソリンスタンドでよく見る、自動車を洗う機械みたいだ)
健はマナにされるがまま、中空を仰いだ。
ぎゅるるる……!
マナの触手から漏れてくるモーターの駆動音が、浴室に響いた。
四本目に続く




