片桐 彩斗 視点Ⅱ
片桐 彩斗 視点Ⅱ
なんでー!?
俺そんな、、、辞めるみたいな話し滉から聞いたことない!
俺は、土屋さんの両腕を掴んで「本当ですか!?」と怒鳴り付けていた。
何で辞めるなんてっ!少し目に涙が浮かんできた。
土屋さんを無意識の内、グラグラと揺すっていた。
「うわ〜、止めろ〜。」と言う声が返ってきた。
うわわ、「すみません!」
忙しなく、頭を下げた。
「いや、いいけどさ、そっか、お前、なんも知らなかったんだな、、、。」
そう言って、沈んだような、考えこんだような顔をした。
「おい!お前らいつまでおしゃべりしてんだ!」
と、部署の人に怒鳴られてしまった。
「あ、はい!「「すみません!!」」
2人一緒に謝罪した。
「それと、お前。自分の部署から、電話かかってきてるぞ。」
うわ〜!ヤバイ!部長かも!早く出なければ!
「はい!お電話変わりました!片桐です!」
「お前、、。」
ぎゃーーーー!!!小石部長だぁー!!お、お怒りモードになってる〜!!
絶対っ今、目据わってるよーー!!怖い!恐い!こわすぐるー!!
「すみません!!申し訳ありません!ごめんなさーい!!!今、急いで戻りますー!!!!」
ッガチャ。
俺は、思い当たる全ての謝罪をして、勢いよく電話を切った。
あ、あ、ああ、あああああー!!!
やっちゃったよ、、、。
電話先に切ってしまったーー!!
つい、興奮して言い逃げみないな感じになってしまったー!!
どうしよう、どうしよう、、、
、、、もう、駄目だ。俺の人生もここまでか。
終わってしまった、潰えてしまった。
今の俺は正しく、真っ白になってリングの上で座っている、あの人のような状態になっていた。
「立つんだ!○"ョーーー!!」
という声が今にも頭の中で響きそうだった。
絶望していた俺に今度は、違う人が話し掛けてくれた。
「大丈夫。大丈夫。小石部長怒ってなかったよー。」
ぽんぽんと肩を叩いてくれた。
え?それ、本当?俺怒られない?
水の入ったバケツを頭に乗せて、廊下で正座してろ!とか、言われない?
先程とは、うって変わって、みるみる内に顔が緩んで来た。
なーんだ、なーんだ!
怒ってないか〜〜。
って!それでも、急いで戻ると言ってしまったからには、急いで帰らなければ!
そう思い。振り返り、
「お騒がせして申し訳ありません!
ありがとうございます!失礼します!」
そう滉の部署の人たちに頭を下げて、急いで自分の部署へ戻った。
自分の部署へ帰ってみると、、、
小石部長は居なく、皆が心配していたようで、駆け寄ってきてくれた。
「大丈夫!?」「何かあった?」「もしかして、具合悪いの?」「事件?」
と、一斉に話しかけられしまって、
「俺は、聖徳太子じゃないんで〜!そんなに皆さん一斉に質問されても困ります〜!」
もみくちゃにされながらそう言ったら、皆さん少し離れてくれた。
はあ〜助かった。
皆さん今日の俺が少し変な事に気付いてくれていたらしく、心配していたそうだ。
小石部長まで、気にしていたと言う。
俺としては、そんな事を聞いてしまうと、涙が出そうになる。
そこは、男として堪えたが、目は完璧涙目であろう。
皆さんがこんなにも俺の事を想って下さってたなんて、、、!
うう、、。駄目だ!堪えろ!男だろ!仮にも立派なもんぶら下げてんだ!俺は、立派なもんぶら下げてんだ!!
大事な事なので2回言いました。
って!違う!俺のナニの話しをしたいんじゃない!
滉の事だ。
う〜んう〜ん。
、、、、、考えてても仕方がないか。
気になることがあるなら、やっぱり直接本人に聞いた方がいいよね!
よし!決めた!!
仕事が終わったら、直行で滉の所へ行こう!!
そう決意したその後の俺は、猛烈にヤル気に満ちていた。
あっと言う間に昼休憩。
今日は、久しぶりの1人。1人でのご飯程悲しいものはないと思う。
食堂で1人カレーうどんを食べていた俺の前に、よく知る者が座った。
定番であるA定食。手ごねハンバーグと、手作りデミグラスソースが何とも言えない一品。
カタンと音をたててテーブルへ置いた。
「よー。今日は、お前ぼっち飯かよ。」
「あ、大狩、、、(お前もだろ)。そーなんだよ。滉今日体調悪くて休んでるんだ。」
見るからにしょぼ〜んとしていた俺。
「止めろよ。飯の時にそーゆー空気出すの。飯が不味くなる。」
げェーーと苦虫を噛んだような顔をして、
シッシッと手を払って、その場の空気を払っているようだった。
むーー!大狩は、意地悪だ!
「このー!鬼畜で、どS!!」
はいはい。と笑いながら流された。
むーーー!!、、、滉が居ればなー。
「そうだな。滝島は、なんだかんだ言っても、憎たらしい感じには、ならないもんな。」
あ、最後の言葉は声に出ていたらしい。
けど、珍しい。大狩がこんなこと言うなんて。
もしかして、大狩も熱とかあるんじゃないの?
なんて、失礼な事を考えていた俺を見透かしたかのように、
「お前は、正真正銘の馬鹿だしな〜。」
と鼻で笑って言って来た。
むむむ!なんですとー!俺は、ほっぺへ空気を入れてムクレタ顔をした。
そのムカつきを食べる事で柔らげた。
大狩も食を進めながら言った。
「俺、滝島の事気に入ってるんだよね。誰にも触らせたくないし、見せたくない。
そんくらいにね。」
!!!?
最後の言葉は、俺に向かって笑顔で言った。
なに、?何を言ってるの?
「なんで、、。そんな事俺に言うの。」
大狩は、一瞬キョトンとした顔をした後に、深い、意味あり気な笑みを浮かべていた。
「だってお前、好きなんだろ。滝島の事。」
フォークを突き付けられて言われた。
、、、、、。
確かに、俺は滉の事が好きだ。
けれどそれが、友人関係としてなのか、はたまた恋愛感情としてなのかは、自分自身でも良く分からない。
けれど、それが、後者寄りなのも否めない。
気の合う友達。趣味の合う友達。一緒に居て楽しい。
ここまで合う人間にそうそう出会えないのを、俺は知っている。
気付いていた。そう言う気持ちを持っていた事。
けど、気付かないようにしていた。
知らないフリをしていた。
そんな俺の気持ちを知られてしまった。
食事をとる手を休めた。
「俺、滉の事好きだよ。大狩が言うくらい。
いや、実際もっともっと好きだよ。」
照れもせず、普通に告げた。
ガシャンッ
!?
大狩がフォークをトレーへ叩きつけた。
「へぇー。言ってくれんじゃん。なら、賭けようぜ。
俺と、お前、どっちが先に滝島を落とせるか。」
!?
何それ!?「滉の意思は!?」
「は?馬鹿か。んなもん、最終的には滝島の意思で、落とした方につくんだから、関係ねーだろ。」
、、、、、。
「賭けをして何になるの?得がある?」
にたぁ〜っと笑い、んーと考えて言った。
「落として勝った方は、そのまま。
負けた方は、今後一切口出し無用。滝島とは、その場で縁を切ってもらう。
これでどうだ?」
な!?なんて提案をするんだ!?
俺は、大狩を睨みつけた。
大狩は、フンッと鼻で笑って「なんだ、お前自分が負けること前提で物事考えてんのか?」
と人を挑発している。
「分かった。その賭に乗ってやるよ。」
俺は、まんまと大狩の挑発に乗せられていた。
そーこなくっちゃ!と満面の笑顔で言い。
なら、ルールを決めなくちゃな!と提案した。
ルール?顔に、はてなマークを貼り付けていた俺を見て
「 一、滝島が嫌がる事はしない。
二、どちらにもアプローチする機会を設ける事。
三、アプローチ中は邪魔をしない。
四、抜け駆けはしない。必ず報告する事。
以上!」
ん、、、。何か自分の行動を制限された気がするが、そーして貰った方が有難い気もする。
「分かった。それでいいよ。」頷いた。
また、大狩は不敵な笑みを浮かべたが、
その場を立って、もう食事を済まされたトレーを返しに行っていた。
やば!俺も早く食べないと!
すると、大狩が少し離れた所から大声で、
「絶対だからなー!約束守れよー!!」
と叫んだ。
俺は、手でオッケーサインを出した。
それを確認して大狩は去っていった。
ふうーー。
大狩と話すと少し肩に力が入る気がする。
俺は、残っているカレーうどんのカレー部分を飲みほした。
まだ休憩時間はあったが急いで片付けて、
仕事場へ行った。
山のように積み上げられていた仕事を、滝の如く終わらせ、怒涛のような1日が終わった。
速攻で寮へ、滉の居る部屋へ向かおうとしていた。
会社を出る前に携帯で時間を確認していたら、メッセージが来てたのに気がついた。
あ!滉からだ!嬉しさが湧き上がる!
メッセージ 1件 ♡滉魅♡\(^o^)/
なになに?
「寝でだ。かなり眠い。でが、また寝る。じゃzzノ」
えええ!?寝でだ。って何?でがって何!?
何か異様に点多くない?
どーしたの!?打ち間違いなの?
最後の絵文字はどう言う意味?
そんなにヤバイ状態なの!?
それとも、もう打ってる最中に寝てたのーー!?
居ても立ってもいられず、会社の人達に挨拶をすませ、走って寮へ向かった。
既に、寮のいくつかの部屋には、灯りがついていた。
だが、滉の部屋には灯りがついていない。
もしかして、出掛けてる?
そう思い、寮の隣にある専用駐車場を覗いた。
滉の愛車が304号室の所へ止まっていた。
あ、ちゃんと居る。
居る事を確認して寮の扉のカードキーを解除して、階段を駆け上った。
階段をドタドタと大きい音を立てて上がってしまったので、怒られるかもしれないと思ったが、今の俺には、気にしていられない。
後少し!後少し!!
と思うと、足取りが軽くなっていた。
たった1日会っていないだけで、こんなにも会えるのが待ち遠しいだなんてっ!
会いたい。会いたい。早く滉に会いたい!
ハァ、ハァ、ハァ、、
滉の部屋の扉の前で、荒くなっている呼吸を整える。
大きく深呼吸をして、心と体を落ち着かせ、扉を2回規則正しくノックした。
、、、、、。
?あれ?、、、無反応。
?もう一度先程と変わらないノックをする。
、、、、、。
あれーーーー!?
ど、どうしよう。
今度は、少し大きめにノックをした。
、、、ガタン。
!?中で音がした。
もしかして、今の音滉が倒れた音!?
俺は、耳を扉へ押し付けた。
?何も聞こえない!
、、、
うそ!うそ!うそーーー!?
だやだや、どーしよう!
ドン!ドン!
力いっぱい扉を叩いた。
そしたら、ガチャッと扉の鍵が開く音がした。
今だ!!力いっぱい扉を引いた。
ビューと扉が風を切る音と共に、滉の姿が現れた。
目は朦朧として、足取りもおぼそかでフラついている。
俺は、心配とやっと会えたという事で声が震えて、滉に話しかけた。
すると、滉が急に倒れそうになった。
つかさず、滉をし支えたが重くて一緒に倒れてしまった。
うえーーーん!どーしよおー!
「滉!?しっかりして!!おーーい!!」
と呼びかけたが返事が無い。
このままじゃダメだ!!滉を安全な所へ運ばないと!ベッド!ベッド!カモンベッド!
呼びかけても来る筈も無く、俺より少し背の高い滉を担ぎ、ベッドへ寝かせる。
おお、。こ、腰にくる。
20歳にも関わらずもう既に年老りのような事をいっていた。
んー。看病ってどうしたらいいんだ?
てか、この部屋寒くない!?
病人はあったかくしなきゃいけないんだよね!?
ヤバイって!エアコン!設定温度27度。
よし!これで、オッケー!
後は?何すればいいの?
あ、タオルで体を拭いてやろう!うん!
漫画でえた知恵だが、これは定番だろう!!
とキッチンへ行こうとしたが行けない。
あれ?何か引っかかってる?
見ると、!?
滉が俺の服を掴んでいて離れない。
何故!?
俺は、手を掴み離そうとする。
な!?なかなか硬い!!えい!こら!よっこいしょ!
はぁはぁはぁ、、、。、、、外れない。
、、、、、。
ま、これはこれでいっか!
しかも、なんだか気分がいいし!
数分後、、、
やばい。眠くなってきた。こんなに安らかに眠っている滉を見てたら、俺もだんだんと睡魔に襲われてきてしまう。
あ〜〜。もーいいやー。俺も一緒に寝よー。
するとこもないしー。
部屋がだんだん暖かくなっていたので、滉に掴まれている服は脱ぎ、滉のベッドの横の空いている壁際に潜りこんだ。
ふわーー。滉の匂いだ。うへへ。
笑いが出てくる。
嬉しい!滉が横で寝てる!
ん〜。うわーイッケメーン!まつ毛なが〜!鼻高ーい!
滉は自分の顔は並程度だと言うけれどそれは、謙遜である。
数少ない美形である事は、確かだ。
うん!俺が保証する!
滉の横顔にときめいていたが、睡魔に勝てず、いつしか眠っていた。
ドンドン!!
ビクっ!なに!?何か聞こえる。
隣の温もりが消えた事に気付き、手をまさぐりながら目を開ける。
あれ?滉どこ?どこにいるの?
まだ覚醒しきっていない俺の耳に声が聞こえてきた。
大狩?
側にあった鞄から携帯を持ち出し、トップ画面を見る。
時間は20時25分。
メッセージ 12件
着信アリ 8件
!?
全て大狩から!?
メッセージを見ると、「仕事終わった、今どこ?」「滝島の見舞い行こうと思うんだけど」「滝島どんなのなら食べれると思いう?」「おい!お前今どこ?」「約束守れよ?」
「破ったら、お仕置きだから」
っ!?
ヤバイ!ぎゃーーー!!
もしかして今扉の所におわすは大狩さん!!
ど、ど、どうしよう!!頭を抱えて考えを巡らせる。
って!!俺裸じゃん!?パンツ一丁で何してんの俺!?
あ!そういえば、途中熱いと思ってズボン脱いだんだった!!
ぎゃーーーー!こんな所大狩が見たら、絶対誤解する!!しかも恐ろしいお仕置きまで待ってる!
俺は急いで服を着替えた。
すると、ガタンッ!ドスドスという音が聞こえたので、俺は勢いで正座をした。
すると、思った通りの人物が現れた。
顔が引きつる。
「お前。約束破ったらどうなるか、分かってんだろうな。」
ひぃーーーー!
「こ、これには、深い訳が御座いまして、、」
こ、怖くて目を合わせられない!
「ほ〜う。ならそれは後でじっーくり聞かせて貰おうか。」
こ、こえーーー!
パタパタ。
!?
滉がひょっこり顔を出した。
あーーーきーーー!!
すっかり元気そうな滉をみて、挨拶もまだなことを思い出し。
今日の寂しさを忘れてしまったかの笑顔で
「おはよう」と言った。
今晩は。お疲れ様です。オヤコロです。
今回はかなり長かったので読むのが大変だったと思います。
有難う御座います。
期間が空いたのでかいていたのですが、
なかなか区切れず長文になってしまいました。
申し訳ない。はい。
これからも宜しくお願い致しますです。