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イニシエからの絆  作者: 炎の剣製
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067話 『韓籠国への誘い』

雲隠兄弟が主役の話です。



秦、瑪瑙、翔、衛巳は転移神という邪神の力により名の通り転移させられてしまい気がついたらそこには他の者は誰もおらずしょうがなく一見立っている小屋になにか情報を得るために向かっていった。



―――フォースピア・森の謎の小屋。



コンコンッ…


「すみません。誰かいますでしょうか…?」


秦は扉を叩いて中に誰かいないか試みてみたが返事はいくらたっても返ってこなかった。


「…ねぇ秦兄さん、やっぱり誰もいないんじゃないですか…?」

「確かにそうだな。こんな辺境そうな場所に立っている小屋には誰もいないだろうな…」

「だからといって誰もいないとは限らないだろ? 開けて見ようぜ!」

「あ、おい翔!」


ガラッ!


翔は秦の言う事を聞かず扉を開けてしまった。直後、


「…ん?」

「どうした翔? 誰かいたのか?」

「いや、誰がいるってわけじゃねぇんだけどよ…なにか光ってねぇか?」

「…?」

「なにが光っているんだ…?」


小屋のなかには誰もいなくて、なにもなかったが翔だけはなにかが光っているという…

そこに翔は歩いていくと光っている場所には紫色をした指輪が置かれていた。


「指輪、ですか?」

「そうみてぇだな…」

「しかしなぜ翔だけにそれがあることがわかったんだ?」

「しらねぇよ? ただ…懐かしいって気分になっただけだ」


その時、


バタンッ!


「「「!?」」」

「おまえ達ここでなにをしている!? ここは我らが韓籠軍(かんろうぐん)の歴代の皇にして長きにわたる戦を勝利した闘珍(とうちん)前陛下の住んでいたとされる小屋なるぞ!」


その一声を発した人物は身に鎧を着ていて、その者の後ろにも何人もの鎧を着た兵士が構えていた。


「む!? やばいぞ! 瑪瑙、早く起きろ!」

「に、兄さん…」

「こんな状況じゃしょうがねぇ! 解咒! 出でよ双極幻滅星!!」


カシッ!


翔は二人の前に立ち武器を構えた。


「むにゃ…あ、秦さま?」

「瑪瑙、寝呆けていないでいくぞ! 緊急事態だ!!」

「は、はいです!」

「私もいきます!」

「「解咒!!」」


カッ!


「衝覇武神刀・影紫!!」

「金剛戦塵斧・蛇伸!!」

「遅いぜ!」

「すまない!」

「いきます!」


三人は構えた。


「金剛戦塵斧!…衝覇武神刀!…そして、双極幻滅星だと!?」


だがその武器の名を聞いた途端、韓籠兵達は慌てだした。


「な、なんだ奴ら?」

「だが、今がチャンスだ! 扉の隙間から抜け出すぞ!」

「はい!」


ダッ!


「あ! 待ておまえ達!!」


三人は俊敏の速さで小屋から抜け出したが、待ち構えていた兵達に取り囲まれてしまった。


「くっ! しまった…取り囲まれたぞ!」

「こうなりゃやけだぜ! 早く真紅達と合流しなきゃいけねぇんだからな! 行かせてもらうぜ!!」

「待て君たち! 一つ聞きたいことがある!」

「「「?」」」

「君たちはもしかして彼の有名な無幻慈将軍、岩蛇将軍、鳥翔将軍のゆかりのある者達か?」

「「「えっ!?」」」

「なぜ、無幻慈殿達のことを…?」

「やはりか…皆の者、武器を収めろ!」

「「「「「「はっ!」」」」」」


すると兵達は全員武器を鞘に収めた。


「なに!? どーいうことだ!」

「説明していただけませんか…?」

「あなた達があの三将軍のゆかりのある者達とはつゆ知らず…私たちのご無礼をお許しください…」

「ど、どうなっているんですか?」

「わからん…だがここは俺たちも武器をしまった方がよさそうだな。戻れ瑪瑙」

『はいです!』


カッ!


瑪瑙は人の姿に戻り、二人も武器を宝玉にしまった。


「『澄星(すぼし)』隊長! 大変です!」

「どうした?」


呼ばれて返事をしたのは先程秦達に代表して謝罪した人物だった。


「そ、それが小屋に納められていた『紫の闘将石』がついている指輪がなくなっておられます!」

「な、なんだって!? あそこには結界が張ってあったはず…!」

「あのー…すみませんがもしかしてこのことっすか?」


翔が澄星にそれを見せる。


「む? おー! そうだよ! しかし結界が張ってあった場所によく入れたな?」

「…結界? んなもんなんてなかったぜ? な、秦兄?」

「いや、あったのかもしれない…俺たちにはなにもないように見えたというのにおまえはそれが光っていたというのだろう…?」

「あ、確かにそうだな」

「ではつまりあなただけが結界の力が干渉せずにそれを見つけられたと言うわけだな?」

「ま、そうなるわな?」

「…そうですか。ますますあなた達が何者なのか知りたくなったよ」

「何者って…なぁ?」

「どういったものか…」

「迷いますね…あ! そうです! 兄さん、私たちの宝玉を近付けてみましょう!」

「む、そうだな。あれなら信用してもらえるかもしれないな」

「なんの話だ…?」

「まぁ見ててくれよ。きっと驚くからな」


そして三人は『灰無の宝玉』と『地鋼の宝玉』と『紫重極の宝玉』をそれぞれ近寄らせた瞬間、宝玉から光が照射され無幻慈、鳥翔、岩蛇の姿が映し出された。


「「「「「「おー!!」」」」」」

「こ、これは…!まさしく書物に残された肖像画と同じ御方達! ではあなたたちは…!」

「まぁここまで見せちゃしょうがねぇよな?」

「あ、あはは…そうですね翔兄さん」

「はい。俺、いや私たちはこの御方達の生まれ変わりです」

「それは誠のことか!?」

「まぁそーいうことになるな」

「すばらしい…! では早速ですが我が宮廷においでください! せっかくこうして英雄達の生まれ変わりに会えたと申すのに礼もなしではこちらがつらい…」

「はぁ…しかし我らは今ある仲間を助けるために急ぎフェニキアという森に向かわなければなりません」

「フェニキア…?そこはここから四日もすれば付く場所にあるが…」

「四日!? じゃこうしちゃいられないぜ!!」

「に、兄さん落ち着いて!」

「すみません澄星さん。残念ですが…」


秦が申し訳なく謝る。


「そうか…ならば今日一日だけでも泊まっていってくれないか? 見たところ荷物も軽そうだしそれにかなり疲れているとみた。

だから今日はゆっくり休んでくれ。食料などは明日少しだが分けてやってもいい。ダメか?」

「…、少しいいですか?」

「いいだろう。早くな」


四人は話し合いをはじめた。


「(…で、どうするよ? 確かに疲れてるけどよ、メシならまだなんとかなるんじゃねぇか、秦兄?)」

「(むぅ…確かにそうだがせっかくのご恩を断るわけにはいかないしな…)」

「(さすが秦さま真面目です!)」

「(だが俺たちがここでたった一日だけだとしてもくつろいでいる間にも鈴架の死は刻一刻と迫ってるんだぜ?)」

「(そうかもしれませんけど…)」

「(翔の言う通りだがな、やはり準備は万端にしておいた方が得策だと思うぞ)」

「(だけどよっ!)」

「(まぁ聞け。確かに今ある分の食料なら節約していけばぎりぎり平気だろう。

だが…そのぎりぎり平気だと思ってしまい、いざ無くなってしまったらという心配の種があるからこそ備えはしっかりとしておいたほうがいい)」

「(そうか…ちっ! しかたがねぇ! 確かにフェニキアの正確な位置とかも教えてもらってねえからな…)」

「(そういうことなら私も賛成です)」

「(はいです)」

「(わかった。では澄星さんに話をつけてくるから待っててくれ)」


四人は話を終了させて澄星に話しかける。


「もういいか?」

「はい。ではお言葉に甘えさせてもらいます」

「わかった。よし! では皆の者、本日の見回りは終了して帰るぞ!」


そして雲隠一行は澄星と韓籠兵達に連れられて宮廷へと向かっていった。



◆◇―――――――――◇◆



―――フォースピア・韓籠軍宮廷。



四人は連れてこられた早々に玉座の間へと連れてかれていった。


「うへぇ~、やっぱし城の中はすげぇな」

「当たり前だ。長年の間、歴代の皇達が守ってこられた国だからな。だからといって城だけではなく当然民達にも不自由な思いはさせていない」

「すごいですね」

「それが私たちの義務ですから。民を上から見下ろさず平等の立場で、というのが歴代からの理念です」

「(…というより…タイムスリップした気分なんだよな。話に聞いていたとはいえ…)」

「(そうですね)」



―――フォースピア・韓籠軍宮廷、玉座の間。



「ではここで待っていてくれ」

「はい」


そして澄星は入ってきたときと違う扉の奥へと消えていった。


それから少したって、


「…そなたたちが歴代の英雄達の生まれ変わりと申すもの達か?」


玉座に座ったその人物は一見澄星と瓜二つであったがどことなく雰囲気が違って見えた。


「え? 澄星さん…?」

「いや、私はここにいるぞ?」


すると後から澄星が姿を見せた。


「するとあなた方お二人は…」

「そう。この方は私の双子の姉君にしてこの韓籠の国を治める『清星(きよぼし)』皇帝陛下であらせられる御方だ」

「澄星…今はただの姉としてでいいわ。余計なもの達は今は取り払いましたから」

「はい姉上。して、まだ君たちの名前を聞いていなかったな。教えてはくれまいか?」

「そうですね。では自分はこの弟の翔、妹の衛巳の兄の雲隠秦です。そしてこの子は…」

「衝覇武神刀に宿る意志で、名は影紫瑪瑙です! そして秦さまは私のご主人さまです!」

「そなたはこの世で数少ない武器の精なのですか?」

「はいです!」

「驚きました…。あ、そうですね。澄星? 例のやつを」

「はい姉上。翔殿であったな。もしやあなたは三将軍の一人、鳥翔将軍の生まれ変わりなのか…?」

「まぁそうだが? もしかしてさっきの指輪のことでなんか変なことになっちまったのか?」

「いえ、そんなことはございません。むしろ喜ばしきことです。わたくし達はあなた様達が来てくださるのを心待ちにしておられたんです」

「それはどういう…?」

「はるか昔、かつてこの韓籠国を平和に導いたわたくし達のご先祖様…つまり闘珍前陛下が鳥翔将軍に残された手紙がありますわ。これは闘珍前陛下がお亡くなりになられるほんの以前に書かれた手紙だそうです」

「今から私めが読ませてもらいます」





-闘珍の手紙-


《…隊長、私はあなたや無幻慈将軍、岩蛇将軍、そして死んでいった私達の仲間…関戒(へいかい)袁我(えんが)麟狼(りんろう)の志を継いでついに螺豪軍(らごうぐん)に勝利をし他の国とも和平を築き上げ平和な世を勝ち取りました。

…ですがいつか私達二人で誓い合った『いずれまた会おう』という約束は果たせそうにございません。

ですからいつかまた隊長がこの国に戻ってきてくださる時には私の孫達を助けてあげてください。私もあなたにこの『紫の闘将石』を想いとともに託します。


…私達はいつまでも、いや永遠に隊長についていきます。永遠の誓いとともに…》


清星が手紙を読み終わると静寂が室内に流れ込んできた。


「「「「……」」」」

「うっ…ぐっ…」


澄星はそれで涙を流していた。


「ほら澄星…泣かないで。ですから翔殿、この指輪はあなたに託します。きっと闘珍様もこのことを望んでくれていることでしょう…」

「だが…確かに鳥翔さんから力や想いは受け継いだが…俺なんかが受け取っていいものなのか…? なんつうか…重いぜ…」

「それは翔殿が鳥翔将軍のお気持ちを理解しているからだからだよ。気持ちはわかる…だから明日旅立つ時までに受け取るか否かを考えといてくれないか?」

「…わかったぜ」

「翔…」

「翔兄さん…」

「大丈夫だ秦兄、衛巳…いつまでも悩むほど俺は馬鹿じゃねぇからよ」

「そうか…」


だがその時、町の方から爆発音が聞こえ一同は驚いて外を見た。

するとそこには大きな鷲のような化け物が上空にいて周りには人の形をした黒い物体、今まで何度も襲ってきた“影”がうじゃうじゃといて兵達を次々と殺していった!


「なっ!? あれは影!!」

「どうしてこの世界に…!」

「あの巨鳥と異行の者共はここ何年か前に突如として出現し何度も町を襲い私達は撃退してきたんです! 姉上! 私もいってまいります!」

「気を付けるのよ澄星…!」

「はい!」

「俺たちもいくぜ!」

「しかしこれは…」

「奴らは俺たちにとっても共通の敵です! ですから協力させてもらいます!」

「そうか、わかった! しかし死ぬなよ!」

「「「はい! 解咒!!」」」


影達はどんどん宮廷へと近づいてきて兵達も次々と後退せざるえなかった…しかしそこに、


「いくぞ! 翔、衛巳!」

「はい!」

「おう! なんでてめぇらがこの世界にいるかは知らねぇが俺たちが来たからには一匹たりともここを通さねぇぜ! 秦兄、いっちょ頼むぜ!」

「任せろ!いくぞ瑪瑙!」

『はいです!』

「斬鉄光魔剣!大回転破斬!!」


秦は一部の影達の中心へと走ると斬鉄光魔剣をできる限り伸ばし次々と敵を切り裂いていった。

だが何体かがそれを避け空にジャンプしたが、


「逃がさないぞ! 瑪瑙!」

『はいです!!』


カッ!


「鼇斬月光! 鼇斬日光! はああぁああーーーッ!!」


ズズズズズバッ!!


空中の影はすべて鼇斬月光と鼇斬日光により飛躍的にスピードが上昇した秦に切り裂かれた。


「おー!!」


澄星はその秦の強さに驚嘆していた。


「俺もいくぜ! たぁっ!」


翔は遥か空へとジャンプし、そして両手に重力をためて真下にいる敵に向かって、


「豪覇重点撃!! おらおらおらおらおらっ!!」


ズドドドドドドッ!!


「ギャアァァッ!!」


翔の攻撃により真下にいた影は一掃した。


「あ、あれが翔殿と秦殿の力…!」


澄星はもとより他の兵士達も二人の戦いに見とれていたその時!


「澄星さん! 危ないです!」

「はっ!?」


澄星の間近には影が迫っていた。そこを衛巳は、


「Ver.01、グランスピア!!」


ズドンッ!

ドシュッ!


「ギャッ!?」


バシュンッ!


影は澄星を切り裂こうとした瞬間、グランスピアを放ち影が消えた後、澄星達の前に立った。


「大丈夫ですか澄星さん!」

「あ、あぁ。助かったよ衛巳殿」

「よかったです。それでは少し皆さんを下がらせてください」


澄星は衛巳に言われてとっさに兵達を下がらせた。

そして衛巳は、


「大地の精霊よ、力をかしてください…必殺! 地裂蒼破!!」


衛巳が軽く叩くように両手を地面に押しあてた瞬間、地面の中を伝うように光が影達の下まで走りついた途端、影すべての地面が爆発した。


「やった!」

「君たちは、本当に一体何者なんだい…?」

「私達は確かに岩蛇さん達の生まれ変わりです。ですがこの力は岩蛇さん達が精霊になってから私達に転生したからなんです!」

「精霊に!?」

「はい。岩蛇さん達は精霊になった後、私達に転生するまでずっとこの国を見守っていたとある方から聞きました! だから私達もその想いを継いで今この国を守ります!!」

「君たち…ありがとう」


そして三人の勢いのもとに次々と韓籠の兵達は影達を退治していった。




――to be continued.


次回、決着。

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