065話 『再びのイビル。異世界への旅立ち』
イビルはしつこいです。
闇の底でなにかが蠢いていて一つの形に纏まろうとしていた。
「…くけけ…期は、熟した。我、復活せり!!」
完全にイビルは生前、(つまり氷月に吸収される前に持っていた力のこと)の力を取り戻した。
「…力がやつのせいで半減していたとはいえやられた屈辱は忘れはしないぞ祓い師! かならずあの娘の魂、貰い受けるぞ…我の真の力でな! けけけ…」
イビルの醜悪をおびた笑い声はとどまる事を知らなかった…。
◆◇―――――――――◇◆
7/19(月)
―――**市、**海岸線付近。
真紅、鈴架…そしてその母親の琴美は車で遠出して、ある急なカーブとその先は崖になっていることが特徴の道の近くに置かれている小さなお墓がある場所に来ていた。
真紅、鈴架は暗い面持ちをして琴美は二人以上に悲痛な気持ちになっていたがそれでも頑張って無理矢理笑顔を作り一言…、
「今年も、来ました。…あなた、そして白銀さん…」
「「……」」
…そう、このお墓は琴美の夫、『辰宮斗真』。
それと一緒に乗っていた斗真の友人の白銀親子、父『白銀八雲』とその子供の『白銀五樹』のものである。
今年で12回忌目のお墓参りである。
死因はカーブを曲がるときに反対斜線の大型トラックがスリップを起こし、こちら側の斜線に入り込んできて避けようとしてそのままガードレールを突き破り崖下に落ちてしまったことが原因だった。
「…お父さん達が亡くなってから今年でもう12年なんだね、お母さん…」
「私、まだ物心がついていなかったからあんまりお父さんの顔…覚えていないんだけどきっと優しかったんだよね…」
「そ、そうね…」
「う、うん。優しかったわよ…」
琴美と真紅はどうにも歯切れの悪い返事を返してきたものだから鈴架は、
「どうしたの? お姉ちゃんもお母さんも…?」
「…なんでもないわ。さ! それより真紅、鈴架、お花をそれぞれのお墓に活けましょう」
「はい」
「うん」
真紅達がお墓参りをしている一方で近くの森の中から海斗が三人を監視をしていた。
「こちら海斗です。現在鈴架さん達にはなにも近寄ってきていません」
『そうですか。天空はどうです?』
久刻の言葉に空を飛んでいる天空は、
「はっ!ご主人、上空からも敵の気配はしません…むっ? ご主人!」
ズバッ!
「ガッ!!」
『天空!?』
奈義邸でそれを中継していた久刻は突然の天空の通信途絶に、
「どうした天空!?」
シュウゥゥゥ…
「むっ?」
突如天空との通信用に使っていた符が天空へと変わった。
「くっ…油断しました! イビルは気配を消していたらしく突然俺の後ろに現れました…ご主人、鈴架殿が危険ですぞ!」
「わかっている! 海斗、聞こえたか? 鈴架くんに危険が迫っている! 気を付けるんだ!」
『わかりました久刻さん!』
そして海斗との通信が終わった後、久刻は早急に皆のもとへ天空を飛ばした。
…そして場所は戻り、
「小娘、見つけたぞ…ひひひ! 邪魔者は消した、がまだ他にもいるようだな…そうだな。奴から授かった術を試してみるか…! 時空閉鎖広域結界、発動!」
ズンッ!
「「「!?」」」
時空閉鎖広域結界が発動したと同時に琴美は時が止まりその付近にいた三人を包み込んだ。
「…ひひ、使えるなぁこれ…さぁ、行くぜぇ!」
海斗はすぐに真紅と鈴架と合流を果たした。
「真紅さん! 鈴架さん!」
「海斗くん!? どうしてここに!?」
「話は後にしましょう! それよりイビルが来ます!」
「「!」」
「戦えるかはわかりませんが解咒して応戦しましょう! 解咒!!」
「「「はい!解咒!!」」」
三人は解咒しそして海斗は水龍を、鈴架は虎鉄拳を出して三人は構えをした。
「(悪意がどんどん迫ってきている…!)」
「(ど、どこにいるの!?)」
「(…こ、恐いよ…)」
三人がどんどん迫ってくる悪意に警戒心をどんどん高めていく中…突如として悪意が消えた。いや、消滅したといっても過言ではない…
「なっ…悪意が、消えた…?」
「ど、どうして…?」
「なんで…、…え…?」
「どうしたの鈴架…?」
「お父さんとおじさん達のお墓の前に誰か、いる…」
「「えっ!?」」
二人はとっさにお墓のほうに目をやるとそこにはまだ十歳くらいの少年が立っていた。
その少年の髪の色は黄色で目は透き通った琥珀色をして…まるで鈴架と同じであった。
「………」
「そんな…どうして…?」
その少年を見て真紅は体を震わせていた…
「真紅さん!?」
「どうしたの!? あの子がどうかしたの!?」
「…五樹…お兄さん…!」
「え…五樹さんて、交通事故で…亡くなったんじゃ?」
《…真紅ちゃん…》
「!、やっぱり五樹お兄さん、なの…?」
《…そうだよ真紅ちゃん》
「!!…でも、そんな!」
五樹は動揺して動けないでいる真紅に一度目をやった後、今度は鈴架の方に振り向いた。
《…鈴架…大きくなったね…》
「!? なんで私のこと知ってるのよ! あなたは…あなたは私のなんなの!?」
《…そうか。覚えていないんだね…きみは――…》
「だめ! 五樹お兄さん! そのことを知ったら鈴架…どうにかなっちゃうわ!」
「!?」
「…えっ?」
《きみは…》
「駄目えぇーーーっ!!」
真紅は思わず五樹にむかって走りだしたが時遅く…
《僕、白銀五樹の実の妹…“白銀鈴架”…》
「!?」
「あぁあああっ…」
真紅は五樹の言葉を全部言わせてしまったことでその場で膝をつく。
「…え? う、そ…私が? わた、しは辰宮鈴架だよ? 琴美お母さんの…娘で真紅お姉ちゃん、の妹…、あれ?」
そこで鈴架の頭の中では昔の記憶が走馬灯のように流れだした。
……………
…………
………
―――走馬灯、車の中。
『くっ! やばいぞ! 避けきれない!! ぶつかる!!』
ガシャーンッ!!
車はトラックにぶつからなかったがガードレールを突き抜け崖の下に落ちていった…
『鈴架…!お前だけでも守る…!!』
五樹は地面に激突する寸前に鈴架を海に放り投げた!
『お父さん! おじさん! お兄ちゃーーーんっ!!』
ドガアァァァーーーンッ!!
「あ、あぁ…」
―――走馬灯、■■病院
『…診断した結果、言いにくいことですが白銀鈴架さんはひどいショック症状を起こして事故以前の記憶がなくなってしまっています…』
『そんな! そんなことって…』
『…残念です』
鈴架はその話を放心状態ながらも聞いていた…
「(…そんな。お母さんもお姉ちゃんも私が記憶喪失なんて一度も…!)…あ、あぁあああーーーっ!!」
「鈴架!!」
鈴架は走馬灯の連続で精神が壊れだしていた。
「私はお母さんの子じゃ…お姉ちゃんの妹じゃ、ない…! そして私だけが…生き残ってしまった!!」
《そうだよ鈴架…でも大丈夫。僕は恨んでいない…さ、それより一緒にいこう…》
その言葉が口に出された瞬間、鈴架の心は、想いは砕けてしまった…そして、
「…うん…お兄ちゃん…」
「鈴架ぁっ!!」
真紅は叫んだ!だがもう鈴架の耳には届かず五樹のもとへと歩いていった…
「貴様!! それでも鈴架さんの兄か!!」
《そうだ、がが…》
「ん? なんだ突然…!?」
突然五樹は震えだしわずかに雰囲気が変わってまたしゃべりだした…
《…ごめん、ね…真紅ちゃん…》
「五樹お兄さん…?」
《こんなこと、したくなかったのに…言いたくなかった、のに!…ごめ…》
ビキッ!
《うっ!?》
突如五樹の体にひひが入った。
ブワッ!
「「!?」」
そして一瞬で砕けたと思ったら中からイビルが姿を現した。
「けけけ…!」
「なっ!?」
「そ、んな…!」
「くっ…貴様! まさか鈴架さんのお兄さんを…!」
「そうさ…取り込んでいたのさ! 深層意識を探れば容易く先程の言葉はいいだせる。最後にはこの五樹とかいうガキも意識を取り戻し抵抗しようとしたらしいがもう手遅れだ…くくく!」
「貴様という奴は!!」
「五樹お兄さんまで利用するなんて…許さない! 鈴架を返しなさい!!」
「もう遅い…じき小娘の魂は我のものに―――…」
「そんなことはさせんぞイビル!!」
シュガガガガガガガッ!!
「!?ぎゃああぁっ!!」
声がした直後イビルに大量の大裳の光が降り注いだ。
「久刻さん!!」
「みんな!!」
久刻を筆頭に全員がすぐに駆けつけてきた。
「遅れてすまなかったな…イビル、もうお前の存在は許しはしない! こ奴の魂ごと焼き払え! 縢鉈!!」
ズバアァッ!
「くっ! はっ!!」
イビルは縢鉈の炎を浴びる寸前に避けて、鎌を振り鈴架の魂を抜き取り撤退しようとした。
「させはしないわ!! 魂宝玉封印!!」
すかさずガリウスが鈴架の宝玉をかざした。
すると吸い込まれるように鈴架の魂は宝玉に吸い込まれていった。
「なんだとっ!?」
「どこを向いている…? 貴様の相手は…わたくしだろう! 切り裂け! 青龍!!」
「手を貸すぞ久刻!」
『裁きの光!』
「『天浄真光閃!!』」
ザンッ!ズバッ!
「ギャアアァ…!!!」
「滅殺!!」
久刻は青龍が変化した刀でイビルを切り裂き、そこに追い打ちをかけるように秦の天浄真光閃が直撃して完全にイビルは祓われ消滅した。
だが…もうイビルを倒してもどうしようもならない事を一同は、認めざるえなかった…
「鈴架! 鈴架!! いやあぁぁぁっ!!!」
『………』
一同は魂が抜き取られ体が冷たくなってしまった鈴架の体を抱き締めてただひたすらに泣き叫ぶ真紅にたいして何も言えなかった。
ただ歯を食い縛ることしか、できなかった…だがガリウスだけは違った。
「…雫さん、車を真紅さん達の家まで、久刻くんは気絶している琴美さんの記憶を操作できる? 一週間鈴架さんは友達とみんなで旅行に行ったということで…」
「わ、わかりました。ですが…」
「鈴架は…もう!」
「わかっています!でも…まだ鈴架さんは生きています」
『!!』
「ほんとですか!? まだ鈴架は死んでいないんですか!?」
真紅は泣きながらもガリウスにそう聞いた。
「正確には生き返らせるチャンスはあるということです。鈴架さんの魂はこの宝玉に納まっています。そして魂と肉体はまだつながっています」
「そうか…! まだ幽体離脱の状態ということですか! ならば!」
「はい。ですが体に戻すことができない…多分戻ることを拒絶しているのでしょう。
ですが時間がありません! 私の術でかろうじて今の状態を維持していますが、もって七日…つまり一週間が立ってしまえば完全に魂と肉体は離れてしまいます…」
「ど、どうすれば!」
「そうだぜ!」
一同は口々からどうすればいいかガリウスに聞いてきた。
「確実ではありませんが方法はあります。そのためにはここより違う次元、異世界“フォースピア”にいかなければなりません!」
「フォースピア!」
「わたくし達の世界ですか!」
瑪瑙と輝羽が反応する。
「そう…手がかりはきっとそこにあります」
「ガリウスさん…行かせてください!」
真紅が連れてってくださいと懇願する。
「だめです! とっても危険な旅になるのよ!? それは私の役目だから…みなさんは…」
「ガリウスさん! 今更そんなこといっても真紅と同じで俺たちの決意は固いぜ!」
「翔くん…」
翔が続く。
「そうですわ、ガリウスさん。鈴架ちゃんを助けたいという気持ちは…想いはここにいるもの誰もが強い意志を放ちながら持っていますわ!」
「確かに…私も鈴架先輩を助けたいと強く思っている!」
「楓ちゃんの言う通りですよ、ガリウスさん!」
「僕もです! 目の前で唯一動けたかもしれないのに…できなかったことがほんとうに悔しいです。
ですから鈴架さんはかならず僕達の手で救わなければいけないんです!」
クリスが、楓が、衛巳が海斗がそう続く。
「しかし、あちらの世界はこちらの世界と比べますと全然違うのですよ? いつ敵に…いえ野生の者達に襲われるかどうかも…」
「覚悟の上ですよ! ならば蹴散らしてやればいいんですから…」
「はいです!さすが秦さま、言うことが大胆です!」
「確かにね。でもそれが妥当なんだから気にしないわよ?」
「あちらの世界はわたくしたちも詳しいですから大丈夫です!」
「ふっ…いざとなればわたくしが全員を守って差し上げますよ!」
「(あぁ…奈義会長、素敵ですわ…)」
秦が、瑪瑙が、雫が、輝羽が、久刻がそう続く。
最後のクリスはスルーの方向で。
「………」
ガリウスは皆の意志は嘘ではないと…鈴架を助けたいという気持ちでいっぱいであることを…はじめからわかっている。だがやはり踏ん切りがつけず黙り込んでいる…そこに真紅が話し掛けた。
「ガリウスさん…お願いします。たとえ鈴架と血がつながっていない赤の他人だとしても…今まで一緒に泣いたり笑ったりしてきた私の、かけがえのないたった一人の妹なんです!!」
「真紅さん…」
「だから連れていってください! そして絶対に鈴架を…鈴架を助けましょう! 一緒に!!」
そういって真紅はガリウスの手を強く握り締めた。まだ涙が残っている瞳の奥にはすさまじいほどの炎が宿っているように見えた…
《僕からもお願いします…》
『!?』
そこにはイビルに取り込まれていた五樹の姿があった。
きっとイビルが倒れたことで魂が解放されたのだろう…
「五樹お兄さん…」
「意識を乗っ取られていたとはいえ…僕は鈴架にひどいことをしてしまった。もう成仏もできないと思う。だけど鈴架が助かるなら…お願いします!」
スウゥ…
すると五樹の身体がどんどん薄くなってきた…
「五樹兄さん…!?」
「大丈夫だ真紅さん…これは成仏する直前の出来事なのだからな」
《そんな…僕だけ先にいくことになるなんて…》
「大丈夫です五樹お兄さん! 必ず鈴架は救ってみせます! だから…お願いしますガリウスさん!」
そしてガリウスはついに諦めた、否自身の決意も固めた。
「わかりました。
皆さんがそこまで仰られるなら私はもう止めは致しません。
ですがいくつか約束をしてください。絶対に行方を暗まさないでください。
一度あの世界で遭難すれば二度とこちらの世界には帰ってこれません…。
そしてあちらの世界は先程もいいましたが容赦というものを知らない無法の地が多い場所ですから絶対に死なないでください! 最後に…かならず鈴架さんを救ってこの世界に帰ってきましょう!」
『はい!!』
《妹を…お願いします…》
カッ…
そして五樹は成仏し姿を消した…
「必ず…救い出してみます。見ていてください、五樹お兄さん…」
◆◇―――――――――◇◆
その後、ガリウスと一同はさっそく行動を開始した。
鈴架の体はガリウスが大事に水晶に封印して保管してくれた…そしてそれぞれ旅の挨拶を親たちにし、翌日指定された場所に一同は集まった。
「…では皆さん。よろしいですね?」
『………』
一同は真剣な顔立ちでこくりと首を縦にふった。
「ではまいりましょう。…我、ガリウスが命ずる。異世界へと続くゲートよ…開け! そして我らを導いて!」
ピシッ!
直後、空間に大きな亀裂が入った。
「(むっ…?)」
「(なんでしょう?この光景…見たことがありますわ)」
「(デジャブ、か…?)」
「…なぁガリウスさん、一つ聞くがその空間の亀裂をこれからどうしようと…?」
翔はおそらく気付いているのだろう…みんなの代表でおそるおそる聞いてみた…
「前に見せたと思いますが…あ! では行きます!」
「…海斗、皆はなにを言っているのだ?」
「うんうん!」
「…ま、まぁ見ていてください。今から非常識なものが見れますから…」
「そう。それは見物ね…」
「ガリウスさんはなにをするのか…?楽しみだな…」
久刻と雫の二人が物珍しそうにガリウスを見ていた直後、ガリウスがけたたましい叫びをあげながらその空間の亀裂めがけて強烈な拳を放った!
そして亀裂は粉々に砕け時空の穴が開かれた!
「やっぱり力技かよ!!」
翔は思わず叫んだ。
「あー…確かにすごいわね…うん」
「…ひ、非常識だ…ありえない…」
そしてそれを初めて目の当たりにした久刻と雫は茫然として久刻にいたってはぶつぶつとなにかを呟いていた…
「(雫さんは…まぁ大丈夫だとして問題はやっぱり久刻さんだな。相当ショックを受けている。キャラまで変わっているし…)」
それを気にせずガリウスは、
「さぁ、行きましょう!」
一同は初めて異空間へと続くゲートを通るため多少不安だったが鈴架を助けるために意を決して異空間へと入っていった…。
入った先は上も下もなくただ広い空間が永遠に広がっているだけの虚空の空間…。
ただ、ガリウスの後をついていかなければ地面がない空間に自由を奪われどこか知らない時空の世界へと飛ばされてしまう恐ろしい場…。
「ちゃんとついてきてくださいね、皆さん? 入る前に伝えたとおり気を付けないと存在すら消滅する危険性がありますからね?」
『………』
一同は何も言わず頷いていた。それもそう、いつもそつなくこなすガリウスの言葉なのだから当たり前だ。
そしてしばらくすると光の穴らしきものが見え、それを潜り抜けた瞬間広大な大地が見渡すかぎり広がっていた。
…そう、ここが輝羽達が暮らしていた精霊界『ラガスティア』にもっとも近いとされる人間界『フォースピア』。
「…ここが、フォースピアですか?」
「そうよ。逆にみなさんの世界は時空を渡れるものの間ではあてつけの名で『アース』と呼ばれているわね?」
「たしかにわかりやすいですね」
「そんなことはどうだっていいだろ! ガリウスさん、早く鈴架を助ける方法を教えてくれ!」
「翔、落ち着け…」
「そうですよ翔兄さん…」
「落ち着いていられるかよ! こうしている間にも後残りは六日しかないんだぜ!?」
翔が焦りの色を見せる。
「そうよね…」
「僕も賛成です。早く教えてくださいガリウスさん!」
「…わかったわ。ではまずある人達を見つけなければなりません」
「その方達はどういう人たちなのですか?」
「それは………、…!? みなさん私の後ろに下がってください!」
ガリウスは突然一同を後ろに下がらせた後、ロンギヌスを構えた。
「ガ、ガリウスさん…?」
「さっそくお出ましよ! この世界で暴れている魔物の群れの一部が…!」
『!!』
ガリウスが言った直後、大きな黒い体に翼を生やした鳥類らしき魔物の群れがやってきた。
「な、なんだ! あの馬鹿でけえカラス!?」
「…カラスではありませんです」
「あれはドラゴンの理性を失い変わり果てた姿のなれの果て…ポイズドラゴンです!」
「皆さんはさがってください! まだ皆さんはあのような敵と戦えるレベルではありませんからここは私が…!」
―――その必要は、ない…。
シャーッ!
『!?』
「(この声は…!)」
突如、謎の声が辺り一帯に謎の金属が走るような音とともに響いたと思ったら空に飛んでいるポイズドラゴン達が次々と叫びをあげ、
「天照! 鋼糸爆熱!!」
ズガガガガガガンッ!!
直後、一匹も残さず次々と爆発していった。
そして一同の前には緑色にたなびく綺麗な長い髪を中心に尖っている耳、男性のよく着るような服を着ているが顔が中性的なエルフの女性らしき人物が歩いてきた。
「…久しぶりだ、ガイウス…」
「っ!? 私の本名を…! ではやはりあなたは…!」
「………」
ガリウスの言葉にそのエルフの人は無言だったが、
「キシャーーッ!」
突如まだ残っていたポイズドラゴンが上空から謎の人物を襲おうと飛来してきた。
『危ない!』
「……、…ふん!」
だが、彼(彼女?)は右手を軽くひねった瞬間、先程と同じくドラゴンは空中で動きを止め、直後爆散し消滅した…。
「…なにか、見えましたか?」
「な、なにも…」
「あたしの目でもなにが起こったのか捉えきることができなかったわ…」
「なにをしたのでしょう…?」
一同がなにが起こったのか騒いでいる中、ガリウスはその人物に話し掛けた。
「その鋼糸…やはりあなたは“ランカ”! “雲雀ランカ”ね!」
「…やっと思い出したね、ガイウス…」
…ガリウスの真の名を知る雲雀ランカとは一体何者なのか?
なぜ助けてくれたのか、など…謎は多い。
だがそんなことは気にしていられる状況なのだろうか…?
鈴架の魂が完全に身体より離れてしまう時間は刻一刻と迫っている。
…タイムリミットは、後…六日間。
真紅達の短い旅はまだ始まったばかりだ…。
――to be continued.
鈴架は真紅の実の妹ではありませんでした。
そして鈴架を救うために異世界へと旅立つ真紅達。




