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イニシエからの絆  作者: 炎の剣製
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064話 『お祓い。出現する死神』

お祓いをします。




一同は久刻に連れられ家に入っていき、隠されているのだろう、久刻は本棚の本を一つ引き抜いた瞬間本棚が左右に開き地下へと続く階段が姿を現した。


「さぁ…着いてきてください」

「…この奥になにが?」

「そうね」

「まぁ着いてきてくださればおのずとわかりますよ。

…それより皆さん、あらかじめ力を解いておくことをお薦めしますよ。鈴架くんにとり憑いているものはもしやわたくし達の敵かもしれませんからね…」

『…! はい! 解咒!!』


一同がそれぞれ解咒し武器を出した後、


「瑪瑙!」

「はいです!」


カッ!


「衝覇武神刀・影紫!」

「輝羽さん!」

「はい!」

「「神速武装!」」


カッ!


「蒼輝鋼舞脚!!」


瑪瑙は刀に、輝羽は雫の足を纏う靴型の武具に姿を変えた。


『話には聞いてましたけど輝羽さん、完全に精霊から私と同じ武具の精になったですね!』

『はい。これでわたくしはいつでも雫さんとともに戦えます!』

「…二人とも、気持ちが嬉しいのは分かるけど今は…鈴架のことが心配だから、ね?」

『『…はい、すみません(です)』』


それから瑪瑙はまだ戦いはないということで鞘に入れられた。


「…ん、ごほんっ! 相手が物理攻撃が通用しない霊の類とはいえ用意に越したことはありません…話によれば秦は霊体に通用する術を所持すると聞く…」

「“天浄真光閃”のことだな…。しかしまだあの術は完全に扱いきれてはいない。現状では悪意ある心を晴らす程度かもしれない…」

『秦さま…』

「構わないさ。いざとなった時にはその力、我が除霊の際には存分に使って協力してくれ秦!」

「あぁ! どこまで通用するかはわからんがお前の頼みだ、任せておけ久刻!」


そういって二人は握りこぶしを“ごつん”と打ち合った。


「(…いつにも増して熱いな秦兄に会長さん…)」

「(…男同士の友情、ですね…入り込む余地ありません)」

「(うん、そうだね楓ちゃん…)」


翔、楓、衛巳がヒソヒソと話しているのだった。


「では着いてきてください」


そして久刻は一同を連れて暗い階段の下へ下へと降りていった。

その奥にはよく払い師が使う広い場所があり中心には五芒星が大きく地面に描かれている部屋があった。

そして一同が全員部屋に入り込んだと同時に暗かった部屋の松明がすべて火を付けて部屋が明るくなった。


「わっ…本格的ですね。…え? 奈義会長、いつのまに…?」


久刻は部屋に入り暗くなり松明に火が付くほんの数秒の間で普段着から陰陽師用の正装に着替えていた。


「この程度、造作もない…やるからには徹底してやるのがわたくしの主義だからな…」

「さすがいつもながらお早い着替えで…」

「(奈義会長…そのお姿も素敵ですわ…)」

「(…お? またクリスさんが旅立ってるぜ?)」

「(…しょうがないわよ。今の奈義会長、とても格好いいから)」


それぞれがそうこうしているうちに久刻はすべての準備を整え終わったらしく静かになった。


「では鈴架くんをこちらに…」

「は、はい…」

「その五芒星が描かれている中心に鈴架くんを降ろしてくれたまえ」


真紅は言われるがままに鈴架を五芒星の中心に降ろして皆がいるところまでさがった。


「では、始めるとしようか…」


久刻は特定の位置に座り十二枚の符を目の前に置いてお祓いが始まろうとしていた。


「久刻さん…始める前に一ついいですか?」

「なんだね海斗?」

「はい。ついにすべて使役できるようになったのか、と…?」

「いや、まだ後一体…長の朱雀だけは会得していないが、十分にお祓いだけなら使用は可能だ」

「そうですか」

「もういいか…?」

『………』


一同はもうないと言わんばかりに頷く。


「ならば改めて開始しよう。いざ、まいります! 臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」


久刻は言葉とともにそれぞれの印を組んだ。それに呼応するかのように悪しき空気が立ち籠めてきた。


「…うっ…!」

「悪魔降伏、怨敵具現、七難速滅、七復速生秘法…呪符変換、行け! 十二神将達よ!」


バッ!


すると地面に置かれていた十二枚の符が鈴架のまわりを取り囲んだ。


「五芒星、第一発動! 木の神将、六合! 青龍!」


カッ!カッ!


「五芒星、第二発動! 火の神将、縢蛇! 朱雀!」


カッ!カッ!


「五芒星、第三発動! 土の神将、貴人! 勾陣! 天空! 大裳!」


カッ!カッ!カッ!カッ!


「五芒星、第四発動! 金の神将、白虎! 大陰!」


カッ!カッ!


「五芒星、第五発動! 水の神将、玄武! 天后!」


カッ!カッ!


十二枚の符は次々と発動の合図と同時に光を放ちそれぞれの五芒星の位置に移動した。


「十二神将を媒体に五芒星よ! 力を! 憑依招来! この者に取り付きし怪異よ、その姿を現しなさい! オンッ!!」


バリバリッ!

「ああぁーーーっ!!」

『ぐ、ぐああぁっ!!』


呪符から赤い光の線が走り五芒星が構築され舞架の体を通過した後、舞架の叫びと重なるように謎の叫びが響いて体から黒い煙が立ち上がってきた。


『!!』

「ぐ、ぐぐぅ…! よくもしてくれたな小僧が…!!」


そして黒い煙が一つに集まり影と形状は似ているが似ても似つかない実体のない黒鎌を携えた霊体…イビルが姿を現した。


「…やはり、異形の者だったか」

「…ぐ、我は魂狩りイビル…やられる前にこの小娘だけでも…!」

「う! うぅあっ!」


するとイビルは鎌から黒いオーラを鈴架に放ち鈴架は一気に顔が赤くなり苦しみだした。時は一刻を争う事態だ。


「鈴架!? 奈義会長!!」

「わかっている。金剛招来、神将解放! 怨霊退散! 五芒神将裂光衝破!!」


すると十二神将すべての符からそれぞれ術式が展開し一気にイビルに放たれた。


「ぐああぁあああっ!!」

「滅!!」


ズドンッ!


「ぐふぉあっ!?…ふ、ふふ…はははははははっ!!」

『!?』


イビルは突如として笑い声をあげだした。


「…なにがそんなにおかしいか? 消滅するというのに…!」

「…“一度は”、な。それより、ありがとよ…これで奴から解放される!」

「やつ!?」


そこでずっと沈黙を保っていたガリウスが言葉を発した。


「やつとはもしかして…! ならあなたは氷の…!」

「さぁな?…くくく、ははははははははははっ!!!」


バシュッ!パァンッ!


そしてイビルは不気味な高笑いと意味ありげな言葉を残しその場から消滅し鈴架の苦しむ表情もなくなった。

だが一同は後味の悪さが残ったという。



◆◇―――――――――◇◆



その後、まだ眠りについている舞架に毛布をかけて寝かせておいてガリウスは先程祓ったやつが何者なのかを一同に話しだした。


「…彼は、イビルはきっと氷月による『禁呪法・凍氷魂縛り』によって『氷の囚人』にされたものよ…」

「やっぱりですか…」


瑪瑙はやっぱりと言う感じで返事を返す。


「氷の囚人とは…?」

「それを説明する前に氷月、いえ華氷は闇の王が存在し続けるかぎり何度でも蘇ってくるとお教えしましたね?」

「はい。学園でのあの時の戦いでガリウスさんの強烈な一撃を受けたにもかかわらずすぐに復活をしましたから…」

「あぁ、あの再生力は尋常じゃなかったからな」

「そう、その再生の力こそ『禁呪法・凍氷魂縛り』の真の役目。

華氷の体は以前に氷で構成されていると教えましたね。

そして『氷の囚人』こそがその再生力の要となる力…ここまでおっしゃればお分りでしょう…」

「…つまりその『禁呪法・凍氷魂縛り』という特殊な術で『氷の囚人』…つまり捕らえた魂を自らの体の一部として使用しているということですか?」

「えぇ。大体あっているわ」

「そんな!」

「いけすかない話ね。人一人を一つの部品としか見ていないなんて…」

「そして一番ひどいところは一度捕らえた魂を自らの体から引き離し自分の意のままに操れることよ。

……ですが、先程のイビルは華氷と考えが同意していたらしいですから自由に動けたのでしょうけどね」

「なるほど…だから先程、奴はやっと解放されると言っていたのか…と、なれば…、奴はまだ!」

「はい。氷の囚人としてのイビルは確かに先程消滅しました。ですがいずれ期が熟す時、イビルは本当の力を取り戻し復活してまた鈴架さんを襲いにやってくるでしょう」

「な、なんでまた鈴架なんだ!? もう祓ったはずだろ?!」

「落ち着きたまえ翔くん。確かに先程イビルは祓った…だが奴は魂狩りと名乗った。

わたくし達の世界では噂ですが魂狩りとは一度狙った獲物はかならず仕留める集団と聞く…やっかいな奴らです」

「そいつを差し向けたのもやはり華氷…許せませんね!」

「えぇ。…ですがなぜ華氷は最初に鈴架さんを狙ったのでしょうか?」

「気になるっていや気になるが…まずはイビルを倒すことが先決だぜ? いつまた鈴架が襲われるかわかったもんじゃねぇしな!」

「そうね。絶対鈴架は守りましょう!」

『はい!』



…その後、一同はそれぞれ鈴架の状態を心配しながらも解散していった。

だがガリウスと海斗は久刻にまだ用があるようなのでまだ残っていた。


「…で、お話とはなにかね? 海斗、それにガリウスさん?」

「はい。実は―――…」


それから海斗は鈴架の周辺で最近感じていたことの話をきりだした。それはガリウスも同じ理由だったから驚きである。

久刻もその話を聞き、考え込むような仕草をした。


「…陰と陽のまったく違う気をイビルから感じたということか?」

「はい」

「えぇ。イビルはまったくの陰の気の固まりにもかかわらず時にはまったくの陽の固まりになります。私の推測ですがもしかしたらイビルは…」

「“魂狩り”の力の一端というわけですか?」

「鈴架さんを狙ったのも何かわけがありそうですね…?」

「そうですね。海斗くん」

「わかっていますよ。真紅さん同様鈴架さんもかならず僕が守ります!」

「頼もしいな海斗。変わったな…」

「…犠牲が出るのは、避けたいだけです」

「そうか。ならば天空、お前にも偵察を頼む」


ボンッ!


すると天空が現れ「御意」と言い残し姿を消した。


「なにはともあれ用心が必要です。私も色々と協力させてもらいます、頑張りましょう」

「はい!」

「承知しました」



………………

……………

…………



「(イビルが倒されましたか…ふふふっ…、馬鹿なやつらめ…奴を解放してしまえば…いやそれもまた面白いことになる。せいぜいあがいてみなさい)」


氷月は暗い部屋に置かれている遠くの出来事を見ることができる水晶玉を見て不適に笑っていた…




――to be continued.


まだまだイビルの恐怖は終わらない。

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