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イニシエからの絆  作者: 炎の剣製
60/71

060話 『夏の始まり…それぞれの日常(前編)』

夏の始まりです。



…六月が終わり、梅雨はもとより初夏も過ぎて本格的に夏に入ろうとしていた。

そんな中、真紅達一同は…



7/6(火)



A.M.5:00の事、



雫、輝羽、久刻、睦月の四人はある依頼を受けて小規模の賞金首の根城を襲撃し、壊滅させ依頼人に連絡を入れ、任務は終了し夜のうちに星林町に戻ってきていた。

その帰り道…


「…ですが雫お姉さんが十二支の力に目覚めてからすごい活躍ですね」


睦月がそう話を切り出す。


「そんな…そんなことはないわよ。それにもっとあたしに力があったらニーグさんも…」

「雫さん…」

「…やめましょう、雫先輩。ニーグさんのことは残念でしたが雫先輩が気に病むことではありませんよ」

「そうですよ。ニーグおじさんも精一杯戦って散っていったんですからその分雫お姉さんは、いえ俺達もですがニーグおじさんの分も頑張って生きていかなければいけないんですよ!」

「睦月くん…うん、そうね。ありがと二人とも」

「いえ…当然のことですよ」

「はい」

「さ、雫さん。元気を出して帰りましょう!」

「そうね、輝羽さん!」


そして一同はそれぞれ別れて帰路についた。



【速水邸】


雫が帰ってくるとリアが出迎えてくれていた。


「お帰りなさいませ、雫お嬢様、輝羽様」


裏口の門の前ではリアが雫のことを待っていたらしい。雫は笑顔で、


「ただいま、リア!」

「戻りました」

「それで雫お嬢様、本日のご予定はどういたしますか?」

「…そうね。少し仮眠をとるわ。」

「そうでございますか」

「えぇ。…ところでまだ起きてはいないと思うけど縁はどうしているのかしら…?」

「はい。まだぐっすりと眠っておられます」

「そう。それじゃ輝羽さん、いつも通りお願いね?」

「はい。スピネスとして縁さんのところに戻っています。だから雫さんはゆっくり疲れをとってください」

「ありがと。それじゃ後はよろしくねリア」

「かしこまりました」


そうして雫は自分の部屋に戻り眠りについた。



【奈義邸】



「…ふぅ。さて、では学園に通うまでの時間は修業に励むとするかね。…出でよ、未だ我が力に為り得ていない者達よ…」


久刻はそう呟くと久刻は疑似虚数空間に送られ、そこには二体の具現化している獣、十二神将の残り二体、

赤く輝く翼を羽撃かせている『朱雀』、

いかにも頑丈そうな甲羅を持っている『玄武』が姿を現していた。


『『我らの力を欲するか…?』』

「えぇ。そのために本日も参られた次第ですよ」

『ならば我が業火なる炎を…』

『我が堅固たる硬い守りを…』

『『見事突破し力をしめせ!』』

「いいでしょう。そろそろ私もすべての力をものにしなければ近い将来不吉なことが起きるとお爺さまに予言されてしまいましたのでね…いきますよ!」


そして久刻は二体に向かって今日も勝負を挑むのだった…。



【星崎家】



「(まだ5時過ぎだから…母さんは起きていないよな?ゆっくりと入らないとな?)」


睦月はゆっくりと、かつ誰にも気付かれないような迅速な動きで裏口の扉を開けようとした時、


「…むーくん、おかえり…」

「!?」


後ろから突然気配もなく声をかけられとっさに脇のホルダーに隠してある銃を引き抜こうと、した。

が…こんな震えるような小さい言葉をかけてくるのは一人しかいないと思い、馬鹿らしいと思い至って後ろを振り向くとそこには案の定幼なじみの彩夜が立っていた。

「…なんだ彩夜か。母さんかと思ってびっくりしたよ…」



彼女は、『闇堂(あんどう)彩夜(さよ)』。

生まれた月は9/22の乙女座である。

髪は首くらいまでの長さでショートのストレート。髪色は薄い水色である。

『聖梁中学』に通う14歳の中学二年生の女の子だ。

睦月の昔からの幼なじみで気が弱いためいつも睦月に寄り添っているイメージがある。



「…うん。むーくん、また夜のお仕事…?」


睦月は、母の『菖蒲(あやめ)』には自分のしている事は内緒だが、彩夜にはすぐに気付かれてしまったためにしかたなく年を偽ってバイトをしているということになっている。


「うん。それよりどうしたんだ。こんな早い時間に…?」

「…うん。この時間にむーくんが帰ってくるって昨日占いしてたら出たから待ってたの…」

「そうか。(…う~ん。しかしこう毎回帰ってくる時間に彩夜がただの占いでここまで正確に待っているのは偶然なのか? それとも…でも今は、)」

「…むーくん?」

「ごめん彩夜。悪いんだけど少し仮眠とらせて…待ち合わせ時間には間に合わせるから」

「…うん、わかった。それじゃまたね、むーくん…」


そして彩夜は隣の自分の家へと駆けていった。それを見送った睦月は、


「ふぁ~…よし、それじゃ早く仮眠をとるとしよう」


そうして睦月は学校の登校時間まで眠りについた。



◆◇―――――――――◇◆



…ほぼ同時刻、他のものも色々とやっていた。



雲隠家の中庭。

そこでは宗治が審判をし、秦と瑪瑙、衛巳とラビがそれぞれ竹刀を握りお互い打ち合っていた。


「はあぁーーっ!!」

「やあぁーーっ!!」


バシーンッ!


「二人は日に日に本気で打ち合う時間が増えていっているな…」

「はい。秦兄さんと瑪瑙ちゃん、最近メキメキと力をつけてきてます」

「すごいですね! 私も早く力をつけたいですよ!」

「それじゃもうすぐ夏休みですから私もその時には付き合います」

「ありがとうございます! 早く私…姉さんの形見のこの『トス・スラッシャー改』を使いこなせるようにしたいんです」

「わかりました。ラビさん頑張りましょう!」

「はい!」

「…ところで静はどうしたんだい?」

「あ、静姉さんなら翔兄さんと海斗さんのところにいると思います」



言われた三人は今は山林の中だった。


「でやぁっ!」

「…っ!」


こちらでは静が審判をし、海斗と翔が森の中を駆け巡りながら模擬戦闘を行っていた。


「おりゃっ! 帝釈斬!」


ズドンッ!


「くっ! 水の針! やっ! たっ!」

「甘いぜ!」


キンキンキンキンッ!


「どうした海斗!? いつにもまして攻撃にキレがないぜ!」

「そんなことは…! 美薙流針術! 凪!」

「だからぁ…力がこもってないぜ! やる気があるのか!?」


ガキンッ!


翔は凪をもいとも簡単に弾いてしまった。


「こんなんじゃ修業になんねぇぜ! ふっ!!」


翔は次の瞬間、海斗の目の前まで近寄り、


「しまっ…!美薙流…!」

「遅い!どりゃっ!」


ガンッ!


「うあっ!?」


ドサッ!


ピーーーッ!


そこで静が笛を鳴らした。


「二人ともそこまでよ!」


「………」

海斗は勝負に負けて地面に無言で座っていると、翔が海斗の首もとに双極幻滅星を持ってきた。


「…おい、海斗。この間おまえと仮面の女との間になにがあったのかは知らねぇが…いつまでも落ち込んでんじゃねぇ!」

「!!」


翔は海斗に檄を飛ばした。


「前に真紅の時も言ったがおまえらしくない方が逆に迷惑だ! 少しは俺たちのことを頼りやがれ!」

「翔くん…」

「その…なんだ? お前にとってはとても言葉じゃ言い表わせねぇことがあったかもしんねぇが、何も話してもらわなきゃ俺たちもどう接すればいいか困る…だからそこんとこ頼むぜ?」


翔は言い終えると頭をかきながら少し頬が赤くなっていた。


「はい、翔くん。ありがとうございます…なんだか胸のもやもやがどこかにいってしまったようですよ」

「そ、そうか。ならよかったぜ」

「……と、いうわけで」

「…?」

「今度は本気で挑ませてもらいますよ! 出でよ! 水龍!!」


カッ!


海斗は薙刀を出現させた。


「なっ!? おい海斗! おまえそんな武器を隠し持ってたのか!? しかもそんなわけってどんなわけだ! おい!!」

「それじゃ静さん! お願いします!」

「は~い!わかったわ海斗くん!」

「わー! 待て、静姉!!」

「始め!!」

「いきますよ!」

「うぉわー!! 目が本気だぞ海斗!!」


そのやり取りを見ていた静がふと笑みを浮かべ思ったことは、


「(翔のやつ…最近は言葉はまだ雑だけど他人の心がわかるようになってきたわね。それにいい感じに言葉を選んでる…ほんと成長したわね! 姉さんもうれしいかぎりだね!)」




…そしてまた同時刻、辰宮家では、



「……―――架…鈴架、起きて?」

「…んんっ? あれぇ~、お姉ちゃん…どうしたのぉ~? えっと~…時間は…え!? まだ五時過ぎ!!」


起きたばかりでまだ眠気まなこだった鈴架は近くにあった時計を見て驚き頭は完全に機能を開始し始めた。


「しっ! 静かに…お母さんが起きちゃうでしょ?」

「う、うん…でもなんでこんな朝早く…?」

「……、…はぁ」


真紅は一度黙るとため息をついた。


「…?」

「…あのね鈴架。まだ寝呆けてるようだから教えてあげるけど昨日、鈴架から『明日から私たちも特訓しよ!』って言われたから私は起こしに来たのよ?」

「…う~ん…、あ! そうだったね! ごめんねお姉ちゃん!」

「思い出したのね…それじゃ早く着替えてね? 先に朝食とお弁当を作らなきゃいけないから」

「うん、わかった」


そして鈴架はすぐに着替えて、二人で朝食とお弁当の準備を済まして裏庭までやってきた。


「…でも鈴架?」

「ん? なに、お姉ちゃん?」

「特訓するのはいいんだけれどこんな狭い場所でどうやってやるの…?」

「ふっふ~ん♪ そこらへんは抜かりはないよ、お姉ちゃん! この間にね、ガリウスさんにこのことを相談したらね、こんなものをくれたの!」


そういって鈴架は手のひらサイズの真紅達の宝玉とはまた違った半透明の水晶玉を取り出した。


「それは…?」

「ガリウスさん曰くこの水晶で私たちの周り一帯に仮想空間が形成できるんだって!」

「それは…またすごいわね」

「でも、『中に出てくる敵はほとんど実物と変わらないから気を付けてね♪』…って言っていたから…頑張ろうね、お姉ちゃん!」

「えぇ!」

「それじゃいくよ!…あ、後この空間内ではお姉ちゃんのサラマンダの攻撃も完璧に防げるから思う存分特訓してね、だって」

「うん、わかったわ」


それを伝えると鈴架は水晶玉を空に投げた。すると次の瞬間、場所は狭い裏庭とは打って違って広大な草原が広がっていた。


「わ、わぁ~…すごい!」

「…そう、ね。…でも特訓するにはちょうどいいかもね!」


二人がじっと空の遠くを眺めている時、


ズシンッ!


「「…えっ?」」


…なにかの、足音が聞こえた。ただの足音ならすでに二人は心構えはできていた。だが…今聞こえた足音はあきらかに人間サイズのものではなかった。


「…ねぇ、お姉ちゃん?」

「な、なにかな…?」

「今の足音、なにかな…? 私…思いっきり振り返りたくないんだけど…」

「そうね。私もよ…」

「それじゃ…一緒に振り向こうよ?」

「わかったわ」

「それじゃ…せぇーの!」


バッ!


二人は同時に後ろに向いた。するとピキッという擬音が聞こえるかのように二人は固まってしまった。


「ググゥウウゥ…」

「お、おおおお姉ちゃん!?」

「な、なに…鈴架!?」


二人はすでに正気ではなかった。そこにたたずんでいた謎の足音の正体はなんと、


「ドドド、ドラコン!!?」

「グワアァァッ!!」

「す、鈴架!! なんで!? なんでドラゴンが!!」

「わからないよ! あ…、そういえばガリウスさんいってた! この仮想空間は今まで私が見たり、戦ったり、倒してきたりしてきた物がいっぱい出てくるって…」

「…冗談は聞きたくないわよ?」

「本当です…説明不足でごめんなさい」

「そう…とりあえず他にはなにもいないみたいね。

それじゃここを出るには…まずはこのドラゴンを倒さなきゃね! 仮想っていうんだから私たちの強さに合わせてくれるはずよね……たぶん」

「う、うん。そうだね! それじゃがんばろう、お姉ちゃん!」

「えぇ!」

「「解咒!!」」


そして二人は一匹のドラゴンに向かって駆け出した。


「でも図体の割りには以外に弱かったりして…? 必殺! 金剛雷撃弾!!」


ズドンッ!


「ガッ!?」

「あ! やった、かな…?」


だがドラゴンは少し痺れで動きを止めていただけですぐに動きだして怒って鈴架にむかって突撃してきた。


「いやーッ! やっぱ強いよ~!!」


全力で逃げ回る鈴架、それを怒りをあらわにして追い掛け回すドラゴン…もう鈴架は完全に修業という二文字を忘れてしまっているようだ。


「…もぅ、しょうがないわね。紅炎の宝玉よ…!」


カッ!

真紅は力を解放し額には『辰』の紋章が浮かびあがって目を赤くし構えをした。


「はぁあっ!」


ズドンッ!


真紅は頭に血が登っているドラゴンの背後にまわり覚醒状態の正拳突きを何度も浴びせた。


「グガアァアアアッ!?」

「あ、お姉ちゃん!」

「鈴架! 援護をお願い! 必殺! 魔刃炎!!」

「うん! 敵を巻き込め! 螺旋電撃!!」


ズバァーッ!


「グガアァァァッ!!」

「! 今よ! 炎舞…翔竜突き!!」


鈴架がドラゴンを雷の渦に巻き込んだと同時に真紅は炎舞翔竜突きを発動し、炎の弾丸となって突撃しドラゴンに一撃を与えた!だが…


ドゥンッ!


「きゃっ!?」


一撃は確かに食らわしたが貫くことはできず真紅は反動作用により勢い良く跳ね返されてしまった。


「…うそ」

「そんな…」

「グ、ググルウゥッ…ガアアァアアアーーーッ!!」

「「キャーーーッ!!」」


ドラゴンは焦げて黒くなった体を無理矢理動かして完全に怒りを爆発させて二人に襲い掛かってきた。

…結局二人は必死になって逃げることしかできなかった。




――to be continued.


それぞれの朝の日常を描いていきます。

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