006話 『目覚めた力』
今回真紅が力に目覚めます。
体育館で真紅達は放課後の部活をしている時だった。
「いくよー! それっ!」
真紅は放課後も元気よく部活を行っている時だった。
一人の女子生徒が近寄ってきて、
「あ、辰宮さん」
「なんですか?」
「部室で妹さんが呼んでるよ?」
「わかりました」
真紅は部員にあいさつをした後、部室へと向かっていった。
「(でも…どうしたんだろ鈴架? いつもなら私に直接聞いてくるのに…)」
そんなことを思いながら真紅は部室へと向かった。
そこでは鈴架が不安げな表情で真紅を待っていた。
「あ、お姉ちゃん…」
「おーい鈴架! どうしたの?」
「うん……ねぇお姉ちゃん…ホームルームでお母さんに町で起きてる事件の事を聞いた…?」
「え、うん聞いたわよ? 人が何人も失踪してるって話でしょ? それがどうしたの?」
「…実は今日の朝に体育館で私とお姉ちゃん…誰かに見られていたの…!」
「えっ…? 本当なの…鈴架?」
「うん…。自意識過剰かもしれないって思うけど見られていたのは確かなの。だから今日はなにか嫌な予感がして怖いからお姉ちゃんと一緒に帰ろうと思って…」
鈴架の不安げな表情に真紅はすぐに気持ちを入れ直して、
「鈴架…うんわかったわ。今日は一緒に帰ろうね」
「あ…うん!」
そして二人は部活が終わると早めに家に帰ろうとしたのだが、鈴架が携帯を部室に忘れたというのでしかたなく部室まで戻って取ってきた為すっかり日も暮れてしまった…。
「…ごめんね、お姉ちゃん………私のせいでこんなに遅くなっちゃって…」
「いいわよ、気にしてないから。それより早く帰りましょう! その誘拐魔がほんとに出てきたら恐いしね」
「うん…」
ベチャッ…。
そんな時だった。
鈴架はなにかの泥濘に足を踏み入れてしまった。
でも田んぼとかはなく道路の真ん中であったために、
「えっ? あれお姉ちゃん…最近雨って降ってたっけ…?」
「最近…? 最近は雨なんてちっとも降ってなかったじゃない?…って鈴架!?」
「えっ、なに!?」
「その水溜まりから…腕が!!」
鈴架の踏み込んだ水たまりから突如として腕が伸び出してきて鈴架の足を掴んだ。
「うそ!? あ…きゃあーーー!!」
「鈴架ーーー!!」
そして突然水溜まりから人間らしい形の影が飛び出してきて鈴架を捕まえてしまった!
「な…なに!? この黒い人…?」
「お姉ちゃん…!」
「あ! 待ってなさい鈴架! すぐに助けてあげるから…! このっ! 鈴架を離しなさい! はっ!!」
真紅はすぐに気を取り直してその黒い影に拳を見舞ったが、その拳はグニャリとその影に沈み込んでしまった。
驚くのは当然だ。まるでそいつの体はスライムかのように柔らかいのだから。
「な、なんで!?」
「グオオォ…ガアッ!」
黒い影は真紅が動揺した隙を狙って殴りかかった。
バシッ!
「あぐっ!?」
「お姉ちゃん!」
バシッバシッバシッバシッ!
影の魔物は何度も真紅に拳を浴びせる。
「あうっ!あ…あ…うあっ!」
「グアアッ!」
ズガンッ!
「あぁっー!」
影は何回も殴り付けた後に腹に強烈な一撃をくらわして真紅を吹っ飛ばした!
ズザァッ…。
「…あぐっ!…う…うあっ…」
そして真紅は飛ばされた反動で地面を滑っていき転がって目に涙をためながら横たわっていた…。
「お姉ちゃん! お姉ちゃん! 大丈夫!?」
「…な…なんとかまだ平気…つい驚いて不覚をとっちゃったけど…鈴架、必ず助けるからね!(…でも、あいつの体はなに? おそらく軟体だけど…何か打つ手はないの!?)」
「お姉ちゃん…あ…!? いやぁっ!!」
「どうしたの、鈴架!? あっ!…あ…あの軟体………鈴架を自分の体に吸収してる…!」
「助けて…お姉ちゃん!」
「鈴架っ!」
とっさに真紅は影にむかって走りだした…だが!
バシッ!
「あうっ!?」
ズザァッ!とまた吹き飛ばされてしまう。
「お姉ちゃん! 助け…うあぁっ!!」
そして鈴架は腕以外…影に飲み込まれてしまった!
「鈴架…! や…やだ…やだよ! 誰かぁ…! 鈴架を助けて! お願い!」
真紅が懇願にも近い願いの叫びをあげたその時だった。
突如として雷が降り注いできて影に直撃した。
「ガアァーーッ!?」
「えっ?」
真紅は突然の事態にぼうけてしまっていたが背後から誰かの着地する足音が聞こえてきて振り返ると、
「もう大丈夫…あなたの妹さんはこの通り無事よ」
謎の白いフードをはおった女性が現れ、いつのまにか鈴架を影の魔の手から救出していた。
「…うっ…うん…」
「あ…鈴架! 大丈夫!?」
「気を失っているだけよ…」
「鈴架………よかったぁ…。あの…ところであなたは?」
「私は………そうね『ガリウス』よ。辰宮真紅さん」
フードの女性は少し言葉を濁した後、自分の名を言った。
でも真紅は名前より自分のことを知っていた事に驚きの声を上げて、
「どうして私の名前を…!?」
「…ずっと探していました。あなたの事を…そしてあなたを合わせた13人の仲間達の事を…」
「…仲間?…13人? いったい…なんの事ですか?」
「今はまだ話してもわからないでしょう…。だけどね…あなた達に一つだけいいものをあげます。これを…」
そしてガリウスは真紅に赤い玉を、気絶している鈴架の手の中に黄色い玉を渡した。
「これ、なんですか…?なにか光っていてきれぇ…」
「…それはあなた達のものよ。きっとこれからのあなた達の助けになってくれる筈だわ。
“あの人たち”の導きのもとに…。それでは私はもういくわね。また縁がありましたら会いましょう、真紅さん…」
そしてガリウスと名乗る女性はもう日が完全に落ちた闇のなかに溶けるようにして消えていった…。
「………結局、なんだったんだろう、あの人…でも鈴架の事を助けてくれたから悪い人ではないわよね!」
真紅がそう自己完結をしている時だった。
また影がいた場所で少し揺れるような地震が起きて、
「な、なに!? まさか…!」
「グルアァーー…!」
先程消滅したはずの影がまた姿を現した!
「そんな…はっ!(そうだ、今なら鈴架もこっちにいる! 早くここから逃げなきゃ…!)」
そして真紅はとっさに気絶している鈴架を抱えて走りだそうとした、が…。
ズキッ!
「痛ッ!? もしかしてさっきので足が…!」
「ガアァァァッ!」
そして影はどんどん近づいてきた
「もうだめ! 誰か助けて…!」
真紅が今度こそダメだと諦めかけた時、
『(大丈夫だ…)』
「え? 今度は誰…!」
カァァ…ッ!
声が聞こえた瞬間、赤の玉が光りだした!
「な…なに!?」
そして次の瞬間、真紅の頭に一瞬だったが知らない記憶が膨大に流れてきた!
「あ…あ………!」
そしてその光はすぐに消えてしまったが真紅はなにか呟きだした…。
「………今、確かに…。でも、まだわからない…。ただ、今一つだけ…わかっている事は…!」
「グルアァーッ!」
影が寸前まで迫ってきて殴り掛かろうとした次の瞬間!
「“炎”の力!!」
カッ!
真紅が叫んだ瞬間、拳に炎がまといそして、
「受けて! 瞬炎拳!!」
ズガァッ!
しかし拳が軟体の影の体にはめりこんでしまった。だがそれが真紅の狙いどおりだった!
「よし…入った! 今度こそここからいなくなりなさい! ハアァァァァッ!」
真紅は入り込んだ拳に炎の力を集めていく。そして影は真紅の拳を中心に爆発して砕け散ってしまった!
「……や…やったわ! 鈴…架…」
バタッ…。
すると真紅は影を倒した緊張が解けたのか気絶してしまった…。そしてすぐに鈴架が目を覚まして…。
「………あれ…私どうしたんだっけ? なに…この黄色い玉は…? あ! お姉ちゃん…!?」
そして鈴架はすぐに駆け寄って何回も呼びかけたが真紅は眠り続けていた…。
…そして違うところではガリウスと一人の青年が二人を見下ろしていた。
「…力に目覚めてくれましたか」
「でもまだ力は使いこなせていませんね…」
「これから少しずつ、ね………さて私はこれから本格的に動きだすけどあなたは…?」
「僕も同じですよ…ガリウスさん…。僕は彼女達を助けるためにやってきたのだから!」
謎の少年は力強きそう宣言した。
これから真紅達を中心に大きな戦いが始まろうとしている。
ガリウスは心の中で、
「(赤竜さん。あなたの意思は、繋がりましたよ…。見守っていてくださいね…)」
――to be continued.
二人を見下ろすガリウス。そして少年の正体とは?




