054話 『謎の欠片、目覚めだす意志』
今回はキーキャラ達が登場します。
一同が話をしている時だった。
だがその時、
ブー、ブー、ブー、ブー!
『!!』
突然警報がなりだしてリアから通信が入った。
『雫お嬢様! 大変でございます! 大量の影の群れが領地内に侵入した模様です!』
「なんですって!? 久刻くん!」
「任せてください! あらかじめ天空に貴人を配置させておきました! 発動させます! 結界を張れ…貴人!!」
ズゥンッ!
すると屋敷内に侵入するルートはすべて貴人の結界により封鎖された。
「さすがね久刻くん! それじゃリア、後は屋敷のみんなに気付かれないように窓すべてを封鎖して! 特に縁の部屋のは厳重に頼むわ! 恐がらせる訳にはいかないから!」
『わかりましたわ!』
ピッ!
そして雫は通信を終了すると皆のほうを向いて、
「それじゃみんな! いくわよ!」
「はい、雫さん!」
「はい!」
「承知しました!」
「わかりました!」
「俺っちももう大丈夫なんだな! 加勢するぞ!」
「そうですか。なるべく無茶はしないでくださいね?」
「任せるんだな!」
そして一同は結界を抜け外に飛び出して影の群れと対峙した!
「やっぱり…うじゃうじゃいますね!」
「きっとどこかに本体がいるはずです! すべて蹴散らしますよ!」
「了解! 吼狼襲! 気弾装填!」
睦月は愛用の銃『吼狼襲』に自らの気を注いだ。
ちなみに睦月は基本スタイルは銃使いだが他に拳法使いのスキルを持っており『気』を自在に操ることができる天賦の才能を持っている。
だからほぼ玉いらずである。
「ならば私もこいつの初陣を果たすとしよう。我が武器となれ…青龍! そして我が足となれ…六合!」
キィンッ!
するとお札が剣へと変化した。
そして足に風を纏った。
「久刻さん、ついに手に入れたんですね!」
「うむ。まだ後二体『朱雀』と『玄武』が残っているがな」
「すごいな! 俺っちも負けてられないんだな!」
「僕もですよ! それでは…解咒!」
カッ!
ジャラッ!
そして水の針を出現させた!
「みんな準備はできたわね? それじゃいくわよ! 散!!」
雫の言葉で全員は散開した。
「旋光の輪舞! Eモード!」
ズドドドドドドドッ!!
「ギャッ!」
「ゲッ!」
「グギャッ!」
睦月は気弾を連続で放ち次々と影を消滅させていった。
だが自らの気を消耗する技だというのに少しも疲れている気がしない。すごい潜在能力だ。
そして雫は睦月に続く形でお得意のスピード戦で影を撹乱させながらスピネスとともに影を蹴り倒し、海斗と久刻は連携して遠距離、近距離とで敵を薙払っていった。
「みんなすごいんだな。前以上に力が上がっているんだな! 負けてられないな、必殺…!!」
するとニーグの拳が振動しはじめた。同時にまわりの地面が揺れだして次の瞬間、ニーグの雄叫びとともにまわりにいるすべての影へと、
「ソニック・パーーーンチッ!!」
ズガーーーンッ!
「グギェアギャバギャッ!」
それはまさにマグニチュードを引き起こすほどの強烈な一撃。そんなものをまともに受けてしまえば一溜まりもない…影達はものの見事にチリも残さず消滅してしまった。
「さすがです! 震動拳法はまだまだ健在ですね!」
「当たり前なんだな! まだまだいくんだな!」
「はい!」
そして影達は一同の活躍によりすぐにいなくなった。
「第一陣は退けましたね。皆さん少しお下がりを…大裳の符、大量設置!」
バッ!
久刻は次なる敵のために迎撃の準備を施した。
「これで迎撃態勢は万全です。いざとなればいつでも発射できるようにしておきましたよ」
「さっすが! 抜かりはないわね久刻くん!」
「当然ですよ。来ます!」
久刻が言った瞬間、影の第二陣が出現した。今度は爆影、瞬影なども中に含まれている。
「思ったとおりですね! 殲滅せよ…大裳!!」
キィイイイイ…!
ズガンズガンズガンッ!
久刻はすべての符から大裳の光の光線を放射しそれは影の第二陣に直撃した。
「第二陣殲滅完了です」
「…しかしまさかあの水晶の欠片がここまでの災いを招くなんて…一体なんなんだな? あれは?」
「でもとりあえず次の陣は来ないようですね…」
「そうね」
「お疲れさまです、皆さん」
「………」
しかし海斗だけは緊張を緩ますことなく前方をただ睨み付けていた。
「海斗くん…?」
「どうした海斗…?」
「…悪寒を感じます。たぶん、これは十二支として覚醒しているからこそ感じるものだと思います」
『………』
それで無言で構えをする一同。
「来ます!」
ズンッ!
『!?』
すごい震動とともに結界が張られているはずの扉が勢い良く開かれた。
するとそこには漆黒の風がたたずんでいた。
「………」
「漆黒の…風!?」
「誰なの!?」
「何度か助けてもらったことがある謎の人物です。ですが…今回は助けにきたといった感じではないですね!」
「力の質からして只者ではないな!」
「悪意、憎悪、怒りといった念が彼のまわりを渦巻いていますね!」
「人間…なのか?」
「あの方が持っている武器はもしや闇の武器なのですか?」
「えぇ、たぶんですが…」
そんな中、漆黒の風が静かにしゃべりだした。
「…別に戦うつもりはない。おまえ達が持っているクリスタルを渡してくれれば危害は加えないと約束しよう…」
『!?』
「あなたもあれを狙っているんですか!?」
「狙っている? 勘違いするな、あれはもともと…」
ドクンッ!
「くっ…どうした漆鱗月!」
突如漆鱗月、いや黒の水晶の欠片がなにかと共鳴しだした。そして漆黒の風はそれを押さえ込む事ができず水晶は漆鱗月から抜け出した。
すると黒の水晶は姿を変え小さい少女の姿へと変化した。
「な!?あれは“舞架”さん!!」
「しかし、幼くはありませんか?」
「しかしあの顔つきは間違いありません…ですがどこか違う」
輝羽はどこか違う雰囲気の少女に疑問顔になる。
「「…水晶をよこせ…」」
男と女の二重音声の声を少女は発した。
「そ、そんなことは…あのしゃべり方は! 皆さん、あれは舞架さんであって舞架さんではありません!」
「どういうことなの輝羽さん!」
「あれは舞架さんの多重人格の一人であった…名を『凶』!」
「凶…?」
「「…すまぬな。漆黒の風、我らのために…すぐにもう一人を連れて帰ってくる…」」
シュッ!
すると凶は姿を消した…
「はっ! まさかもしかしてあの青い水晶は…!」
「舞架さんの人格の一つというわけだな?」
「漆黒の風! あなたはどうして凶とともにいるんだ!?」
「…、わからない」
「え…?」
「もしかして、あなたは…?」
輝羽はなにかに気づいたのか話しかけようとするが、
「…俺の過去に干渉するな。頭痛が走る…!」
…そして消えた凶は青い水晶の前に立っていた。
「「…迎えに来た。さぁいくぞ…『紅葉』…」」
すると青い水晶が光りだして凶と同じく少女の姿へと変わった。
「……うん……」
場所は戻って一同は漆黒の風と無言で対峙していた。
すると凶と一緒に紅葉が姿を現した。
「「待たせたな…」」
「………」
輝羽「あの無表情と氷の気の質は紅葉さん…どうして?」
「「では戻るぞ紅葉…」」
「……うん」
シュワァァッ!
キンッ!
二人はもとの水晶に戻ると漆鱗月のくぼみに納まった。
『………』
一同は突然起きた色々な出来事にただただ唖然としていることしか出来なかった。そして漆黒の風はまた無言で立ち去ろうとした時、
「待ってください!」
「………」
漆黒の風は海斗の呼び掛けに足を止めて海斗を睨むかのように威圧した。
それはさながら蛇神に睨まれているような感じであった。
「あなたは…あなたは一体何者なんですか!?」
「…知らん。俺はどこで生まれ育ち、どんな名だったのかすらも覚えていない…。
ただ、漆鱗月が俺に『漆黒の風』という名をくれ使命を与えてくれた…俺はその使命を果たす。それだけだ!」
バッ!
そして漆黒の風は姿を消した。
『………』
一同はなにも喋らなかった。いや、喋ることができなかった。
…その後、
「…俺っちはもういくんだな」
「もういってしまうんですか…?」
「安心するんだな。連絡してくれればいつでも駆け付けるんだな」
「わかったわ。ありがとうニーグさん」
「またいつか…」
「頑張ってください」
「あぁ!」
そしてニーグはまた旅に出ていってしまった。
「さて、では僕はこれからいくところがありますのでこれで」
「ガリウスさんのところか…?」
「はい。色々と伝えなければいけないことが増えましたから。では」
それから一同は解散していった。
しかし漆黒の風は一体何者なのか…なぜ凶達は水晶化していたのか…謎が謎を呼ぶばかりであった。
――to be continued.
いきなり多重人格だった(過去形)…という設定を出しましたがこういうものだと納得してくれたら幸いです。




