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イニシエからの絆  作者: 炎の剣製
28/71

028話 『GW。二日目の朝の出来事』

GW、二日目です。



5/2(日)




…ゴールデンウイーク二日目の朝。時間はまだ四時になる頃、


「あーーー…あんまり眠れなかったぜ。」

「そうですねぇ…」


翔と海斗は昨晩にどうにも秦と瑪瑙が一緒に寝ている部屋では寝る気にはなれず、しょうがなく女性陣の方の部屋で一緒に寝させてもらったのだが…逆にこちらでは緊張して二人ともろくに眠れなかったそうだ…。


「それに比べて…」


そして翔はまだ寝ている女性陣を見回して、


「…ったく、こっちにはお構いなしにいい顔して寝てやがるぜ…!」

「みなさん可愛い寝顔ですね」

「おまえもよく普通にそんなこと言えるよな…」

「別に本当のことですが…?」

「そうかい…。それより…」


翔はのんきに寝ている鈴架を目にして、


「すぅー…すぅー…」

「なんか見ててむかつく…こうしてやる!」


プニッ…

翔は鈴架の頬を引っ張ったり突いたりしていた。


「…うー…」

「おりゃ! おりゃ!」


プニプニッ…

起きないことをいい事にさらに突っつきを繰り返している。


「…うー、うー…」

「ちょ、ちょっと翔くん…やめましょうよ! 起きちゃいますよ?」

「ま、そうだな。起きたら起きたでうるさそうだしな…」


そして鈴架に意地悪するのをやめた翔は、


「よし!そんじゃ修業しにでもいくか!」

「あ、そういえば翔くんは忍者修業しているんでしたよね?」

「ああ!」

「なら当然手裏剣とかもやっていますね?」

「やってるが…? 森のあちこちに的を設置してあるんだぜ!」

「それでは僕もつきあってもいいですか? いつも家の裏の狭い場所でしか鍛練していませんから久しぶりに広い場所でやってみたいんで」

「いいぜ! そんじゃちょっと待っててくれ!」

「はい」


そして二人は着替えて森へと出かけていった。

雲隠家の敷地内の森の中で、


「よし! まずは準備運動しようぜ! いつも海斗はなにをやってるんだ?」


二人は準備運動をしながら話をしていた。


「そうですね…普段はまず自分に合った重りを両手両足につけて腹筋、背筋、反復横跳び、片手腕立て伏せ左右、他にも色々……などを千回くらいしていますね…」

「せ、千回…!?」

「はい」

「海斗って意外に体の割に体力ついているんだな…?」

「いえ、仕事をしていた時の前のとある僕の仲間はこれ以上はしていましたよ?」

「…仕事?」


仕事という単語に翔は目ざとく反応する。


「あっ! い、いえ今のは聞かなかったことにしといてください!」

「いんやそれはできないなぁ~? もう聞いちまったからな! さぁ白状しやがれ!」

「うぅ~…しかたがないですね。お恥ずかしい話ですが2年くらい前ですかね…?

ガリウスさんと出会うその時までは美薙一族が壊滅させられてしまっていたので生きていくためにはお金が必要だったので掃除屋…つまりスイーパーをやっていたんですよ」

「…うわ。それってつまり裏社会の事か? すまん。結構シビアな事聞いちまったな」


それを聞いて翔は素直に謝る。


「いえ。それでその時に何人もの仲間とコンビを組んでたくさんの犯罪者の方々を捕まえていたんですよ。

一人目はお札を使って戦うことから付けられたあだ名は『神将使い』。

二人目は自慢の足と情報網を生かして戦うことから付けられたあだ名は『神速の氷笑』。

三人目はあらゆる銃を使いこなし戦うことから付けられたあだ名は『銃のエキスパート』。

四人目は自分の体をフルに駆使して戦うことから付けられたあだ名は『揺るがす衝撃』。

…みなさんはとてもいい人でした。ちなみに僕は『針術使い』とかあだ名を付けられてましたね…?」


挙げられたそれぞれの二つ名に翔は感嘆の声を出していた。


「はーー…何げに裏社会にはかなり名が通ってるんだな海斗。その話を聞く限りではそいつらもかなりの使い手だったんだろうな…?」

「はい! ですがその時年齢はみんな二十歳はいってませんでしたね。一番若くて僕の二つ年下の子がいましたよ。さっき話した銃使いの…」

「でぇっ!?…ってことは今じゃそいつはまだ衛巳と同い年ってことか!? そんなに若い奴まで…しかもあだ名が『銃のエキスパート』…世も末だな」

「はい…ですが皆さんはそれぞれやっている理由がありましたから…今でも元気に過ごしていればいいのですが…」

「ま、そんな奴らなら大丈夫だろ? それより長話しが過ぎたな! 準備運動も話ながら終わったことだし始めようぜ!」

「そうですね。それで的というのはこの森すべてに設置してあるんですか…?」

「あぁ! それがよ、どーいう仕組みか知らねぇんだが毎回やるたびに配置が変わってるんだよ! 多分じーさんが作った仕掛けだと思うけどよ」

「へ~…? それはすごいですね」

「だろ?…あ、いいこと思いついたぜ。なぁ海斗、俺と勝負しねぇか…?」

「勝負、ですか…? おもしろそうですね! それで内容は…?」

「それは開始してから十分の間お互い左右に別れてランダムに出現する的を射ぬいて当てた数を競うっう実にシンプルな勝負だ!」

「いいですね、やりましょう。ですがやるからには手加減はせず解咒をし本気でやらせてもらいますよ?」

「上等だ! この森は俺の庭みたいなもんだからな。負ける気はしねぇぜ! それじゃ十分後またこの場所で…!」

「はい! いきますよ!」

「「解咒!!」」


二人は同時に解咒をした瞬間一気に森の中を駆けていった。

…そして一分が経過して、


「…どこだ? どこにある!?」


カシャッ!


すると木の根から的が飛び出してきた。


「…! そこだ!!」


シュルルルッ!カッ!


翔は手裏剣を投げてそれは見事命中した。

「おしっ! 九的目!」



…五分経過、


「(さすが翔くんのお爺さんの仕掛けだ! だが…!)…はっ! やっ! でやっ! 美薙流針術! 轟旋!!」


シュッ! シュッ! シュッ! シュバババババッ!!

カカカカカカカカッ…!


海斗は何本か普通に放った後、体を回転させてその場の全方位に設置してある全ての的に命中させた。


「五十六的目! まだまだ僕を惑わすには甘いトラップだ!」



………………

……………

…………



そしてラスト一分を切って、



「…78…79…」

「…83…84…85…」



そしてラスト十秒。


「「…98…99…100…101…あ!?」」


そこで二人は出会ってしまい目先に一つの的が出現して、


「その的は譲りません! はっ!」

「こっちこそ! でやっ!」


二人は同時に放ち、


「「あたれぇーーー!!」」


シュウッ! ガキンッ!


「「なっ!?」」


しかし二人の放った得物はあたる前に接触して双方弾かれてしまった。


「ならもう一撃…!」


その時、


ピィーーーッ!


「「!?」」


突然後ろから笛の音が聞こえてきて二人は動きを止めてしまった。


「なっ…!? 誰だ?」

「あたしよ。それより二人ともタイムアップよ?」


そこには静が立っていた。


「え…もしかして時間をはかっていたんですか…?」

「えぇ、海斗くん」

「それよりいつからいたんだ…?」

「まぁまぁ固いことはいいっこ無しでとりあえず両者共々101だから同点ね。それにしても海斗くん、ここでやるの初めてなのに翔と引き分けまで持ち込むなんてさすがねぇ~!」

「そうだな!」

「ありがとうございます。でも本当にすごい仕掛けでしたね。あなた方のお爺さんは一体何者なんですか?」

「…そうねぇ~? 改めて考えてみるとあたしもよく知らないのよね」

「あぁ。俺に忍者の心得とか教えてくれるが他は企業秘密だとかで教えてくんねぇし…」

「神出鬼没だしね…いつ帰ってくるのか…?」

「ま、いつ帰ってくるのかわからないじーさんより今は現在のことを考えようぜ!」

「そうですね。ところで他のみなさんは今はまだ寝ているんですか、静さん?」

「いーえ、二人が出ていった後あたしも含めて全員起きて秦はいつもどうり瑪瑙ちゃんと素振りをして父さんがそれをあたしの代わりに見ていてくれているわ。

そして残りの衛巳と真紅ちゃん、鈴架ちゃん、クリスさんは朝の支度をしているわよ」

「そうですか」

「よっしゃっ! そんじゃもう帰るとすっか!」

「…待ちなさい翔」


翔が今日はもう帰ろうとした時に静が引き止めた。


「なんだよ静姉…?」

「なんかね…海斗くんと翔がいい感じに勝負をしていたからね、お姉さんも久しぶりにやってみたくなっちゃった!」

「はぁ!?」

「と、いうわけで勝負よ翔! 海斗くんは時間をお願いね!」

「あ、はい」

「静姉が相手か…本気だしていいか?」

「別に構わないわ。さぁいくわよ!」

「はぁ~…静姉とやりあって今まで勝てたことがないんだよな…」

「ほらほらグチをいう暇があったら準備しなさい!」

「わかったよ…たくっ」


それで翔はグチグチ言いながらも準備をしだす。


「でも静さん…今の翔くんが本気を出すということは…」

「あたしの腕を舐めてもらっては困るわよ! これでも翔より前からお爺さんに習ってたんだから!」

「あ…そうですか。では始めますか…?」



…そして十分後、


「ぐあー!…ギリギリのところで負けたぁ~!!」

「まだまだ甘いわね、翔!」


そこでは静に負けて大の字で地面に横になっている翔の姿があった。


「すごいですね…解咒状態の翔くんに全然引けを取っていませんでした…」

「…ったりめーだ!……はぁ、はぁ…静姉は俺も含めて秦兄、衛巳にも封咒状態じゃ普通に適わねえくらいつえぇからな…」

「そ、そうなんですか…」

「はぁーいい汗かいたわね~! それじゃもう戻りましょうか!」

「はい」

「わかったぜ」


そして三人は家へと戻ってくると、


「あ、お帰りなさい。静姉さん、翔兄さん、海斗さん」

「もう朝食の支度はできていますから早く着替えてきてくださいね」

「わかりました」


そして二人は広間へと歩いていった。だがちょっとして…、ふとクリスが、


「…あ、お二人に広間には今は真紅さんと鈴架ちゃんがいるのを言うのを忘れてしまいましたわ!」

「いけません! 兄さん達はもう向かってしまいました!」


そして二人は急いで後を追った。


…一方、翔と海斗は会話をしながら広間へと向かっていった。


「しかし本当に疲れたぜ」

「そうですね。でも久しぶりにまともな特訓ができたんでよかったです」

「そうか。ならいつでもやりに来ていいぜ? 海斗との勝負は楽しかったからな!」

「いいんですか…?」

「ああ!」

「それじゃ機会がありましたらまた勝負してくださいね」

「いいぜ。そのかわり今度は勝つかんな!」

「望むところですよ!」


ガラッ!

そして二人は広間についたので襖を開けたら、


「「えっ…?」」

「「あっ…」」


そこで二人は固まってしまった…何故かというと真紅と鈴架は今ちょうど着替えをしている最中だったからである…しかも一番タイミングが悪い下着だけの状態で…。


「「―――きゃ…」」

「「うっ…」」


真紅と鈴架は一気に顔が赤くなって涙目になりすぐに脱いでいた服で体を隠すと、


「「キャアアアーーーーーッ!!」」

「わぁーーっ! す、すみません!!」

「す、すまねぇーーっ!!」


そして着替え中だった真紅と鈴架の叫びは屋敷中に木霊した。


「遅かったみたいですね…」

「あぁ~…わたくしがちゃんとお二人に伝えていればこんなことにならずにすんだのですのに…」


…またその後、

雲隠家のダイニングルームでは、

四人は顔の赤みがとれずに昨晩の夕食時よりさらにダイニングルームには重い空気が漂っていた…そしてさらには海斗と翔の顔には平手の後がついていた。おそらく二人に叩かれたのであろう…。


…そして朝食後、


「…ご、ごめんね海斗くん。思いっきりひっぱたいちゃって…」

「い、いえもとはといえば僕達がやったことなんですから気にしないでください…」

「うん…。でも本当にごめんなさい。痛くなかった…?」

「…まぁ海斗はまだマシな方だろ? 俺なんか叩かれるだけならまだしも鈴架に雷も追加されたきつい一撃をくらって吹っ飛ばされちまったからな…」

「しょうがないでしょ! いきなり入ってこられてびっくりしちゃったんだから…!」

「だが解咒するこたぁねえだろ!?そのおかけでまだ体が痺れてんだからな!」


二人は睨み合いになってしまった!だがそこに静が仲裁に入ってきて、


「はいはい! 二人とももうお互い謝ったんだから見苦しい争いはやめてね? さもないと…」


すると静は不適な笑みをした。


「げっ!? 鈴架、もうこの話は無しにしよう! だからもう喧嘩するのはやめようぜ!?」

「ちょ、ちょっといきなり素直になってどうしたのよ翔…?」

「(いいから静姉の手に握られているものを見てみろ!)」

「(え…なにか持って…わっ!?)」


見てみるとなんと静の手には純黒に光る手裏剣が握られていた。


「ふふふふっ…♪」


静は不敵な笑みを浮かべているのだった。


「う、うんそうね! ごめんね翔!」

「わかればいいんだ! じゃさっさと後片付けしちまおうぜ!」

「うんうん…仲良きことはいいことよ」


それを気づかなかったクリスはというと、


「お二人はどうしたのでしょうか…?」

「いや、クリスくんは知らないほうがいい…」

「そうですね。姉さんを怒らしたら後が恐いですから…」

「そ、そうなんですか…?」

「はい。それより真紅さん?」

「なに、衛巳ちゃん?」

「その、今日はなにかあるんですか? お弁当を二人分は作っていたみたいですけど…?」

「それはねぇ、今日は月の始まりの第一日曜日になると散らかっているゴミとかを集めて町中をきれいにするボランティア活動があるの!」

「それにいつも参加しているですか?」

「うん、そうよ。」

「えらいな二人は。さすがというべきかな?」

「そんな…。ただ私は…その、この町も海も山もいつまでもきれいであってほしいという想いでやっているだけですから~…」


すると真紅は照れながら体をもじもじさせて縮こまってしまった…。


「真紅さん!…か、可愛いですわ!!」


クリスが真紅の可愛さに思わず抱きついていた。


「きゃっ! ちょ、ちょっとクリス~…」


そして翔はというと無言でボーっとしていた。


「あれ~…? どうしたの翔ぅ? 顔真っ赤だよ~?」

「っせぇ! なんでもねぇよっ!!」

「正直に話したらどうだ、翔?」

「しょ、正直にって…なにをだ?」

「そうですよ翔くん」

「だからなにがだっつうんだよ!! そ、それより真紅に鈴架! もうそろそろ行かなくちゃやばいんじゃねぇか!?」

「え…?あ、そうだね。じゃいこっか、お姉ちゃん?」

「そうね。それじゃいってきます」

「いってきま~す!」

「いってらっしゃ~い。」

「あ、なにかあったら携帯で連絡してくださいね? すぐに向かいますから」

「うん!」


そして二人は町へと出掛けていった…。


「ふぃ~…」


それで翔は二人が出て行って安堵の息を吐いていた。

だが、


「ふふふ…翔さんも恥ずかしがり屋さんですわね?」

「なっ…!」

「そうだな。正直に言ってしまえば鈴架にからかわれずに済むのにな」

「そうですよ。本当に真紅さん可愛かったですよ?」

「そうですね。やっぱり真紅さんは私の理想です!」

「………」

「翔ぅ~…もう二人ともいないんだから正直に白状しちゃいなさい? お姉ちゃんがゆっくりと聞いてあげるわよ?」

「っ…! わかったよ!! 真紅は可愛かったよ! もうこれでいいだろ!?」


翔はもう爆発してしまうだろうなくらい顔を赤くしていた。


「ん~、正直ね。えらいえらい」


そして静はすかさず翔の頭を撫でると、


「ッ!! う、うおーーーーっ!!」

『!!』


翔は突然叫ぶと物凄いスピードでどこかへと走りさっていってしまった…。

一同は翔の行動に呆気に取られてしまっていた…。


「翔さん…頭が爆発してしまったですか?」

「あれだけであんなになっちゃうなんて…翔もまだまだね~♪」




――to be continued.


静は超人の一人です。


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