027話 『露天風呂での話し合い』
タイトル通り露天風呂の話です。
…その後、
雲隠家の居間ではそこではもう一同が集まって食事をとっていたが静以外はどうにも腑に落ちない顔をしていた…。
宗治が不思議に思って一同に話しかける。
「…みんなどうしたんだい? 食事があまり手付かずのようですが…?」
『………』
「気にしなくていいわよ父さん。今日はみんなちょっと悩みの種が持ってるだけだから!」
「悩み…?」
「若気の至りよ…。まぁその内普通に戻るから安心してちょうだい、父さん」
「だがなぁ…見ててあまりに居心地悪いのはどうにかしたいですね」
「そうねぇ…。あ、そうだ!」
「何か思いついたのかい、静…?」
「うん、あたしにまっかせてよ!」
…そして食事を済ませた後、静は女性陣をお風呂へと連れていった。
そこには一般家庭だというのに露天風呂があって、
「わぁー! 久しぶりです。この家の露天風呂に入るのは」
「そうね、鈴架」
「わたくし露天風呂というものには入るのは初めてですからなんか新鮮味がありますわ」
「そうですか。それじゃ心行くまで堪能してください」
「はいですわ!」
「ちなみに男女わかれてるから安心してね!」
「でもいつも思うんですがやっぱり私は秦様と一緒に入りたいですぅ…」
瑪瑙がなにげにすごいことをぶっちゃけているが、
「それはだめよ瑪瑙ちゃん! 秦は誠実な男の子なんだからきっと恥ずかしがっちゃうわよ」
「秦先輩そこらへんすごい純情そうですからね」
「そうなのよ。それに比べて…こらぁ! 翔! 覗きなんてするんじゃないわよ!?」
すると男湯の方から、
「お、俺がそんなことするわけねぇだろ!?」
「声が浮ついてるわよぅ…?」
「う、うるせぇなぁ!」
「そちらの湯加減はどうですかー? 海斗くーん、秦さーん、宗治おじさーん!」
「はい、ちょうどいいですよ真紅さん」
「うむ…実にいい湯ですね」
「そうですね、父さん」
「うんうん…やっぱり翔と違って海斗さんは秦先輩と同じくらい真面目ですよねぇ~」
「そうですわね。ですが翔さんがそんなことをする人なのでしょうか…?」
「わかってないなぁクリスちゃんは? 昔はそれはひどいものだったわよ? ここは剣道の稽古の後に生徒達がよく使ってくれているお風呂なんだけどそれがねぇ~、翔ときたら…」
「うわぁー! 静姉、さすがにそれをバラすのは勘弁してくれーーー!!」
翔の声が響いてくる。男女に分かれているために顔は見えないがきっと赤くなっているのだろう。
「ん~~~…どうしよっか?」
「翔兄さん! もう昔のことなんですから気にしていたら大きくなれませんよ?」
「え、衛巳…お前は止めてくれると信じてたのによぉ…」
「私も一応被害者の一人ですから…」
「うっ…それは!」
「聞かせてください。なんとなく興味がわいちゃいました」
「…おい?」
真紅の言葉に思わず翔がツッコミをいれる。
「私もぉ! どうせ翔のことだからどうしようもない話だと思いますけどー!」
「わたくしも…その、少し…」
「私もです!」
「…おいおい!」
「海斗くんはー?」
「え、僕ですか…?そうですねぇ…まぁそこそこには」
「オッケー! それだけ聞ければ十分よ!」
「おいこら海斗ーーー!」
「ははっ…でももう静さんも話す気満々なんですから今更僕がどう言おうと変わらないと思いますが…?」
「それはそうだけどよぉ…少しは助け船出してくれてもよかったんじゃねぇ?」
「…あきらめろ翔。静姉さんは一度話しだすともう止めるのは不可能に近いからな…」
「っ…! がぁーー!! もう勝手に話しゃいいだろ! 俺はもう出るからな!!」
「おい翔…」
宗治は止めようとしたが翔はさっさとお風呂から上がって思い切りドアを閉めて出ていってしまった…。
「ちょっとからかいすぎちゃったわねぇ…?」
「…しょうがない、慰めてきてやるか」
「なら俺もいこうかね…?」
「秦様がいくなら私も出るです!」
「僕も心配ですのでいきます。それじゃ皆さんまた後で」
「うん。わかったわ、海斗くん」
そうして宗治、秦、海斗、瑪瑙の四人もお風呂から出ていった…。
「少し静かになりましたね…?」
「うん…」
「…いえ、むしろ好都合よ!」
『えっ?』
静はそれで握りこぶしを作りながらもいい笑みを浮かべる。
「さぁーて男子共と瑪瑙ちゃんがいなくなったんだから今日なにがあったのかお姉さんに話してみなさーい!」
「「「えぇーーー!?」」」
真紅、鈴架、クリスは大声をあげて顔を赤く染める。
「恥ずかしがることはないわよ~? あたしはもう何があったのか知ってるんだから」
「ほんとですか?!」
「ええ! おおかた秦が瑪瑙ちゃんの手入れをしているところを目撃しちゃったんでしょ?」
「うっ…! あうぅ~…当たりです…」
真紅達は顔を赤くして顔を湯船に沈めてしまった…。
「…たしかに瑪瑙ちゃんすごい声出してますよね…私と静姉さんも初めて聞いた時はびっくりしました」
「そうよね! でもそれ以上にびっくりなのは秦がその瑪瑙ちゃんの誘惑じみた声を聞いても黙々と作業をしているところよね」
「そ、そうですよね!」
「姉としては真っすぐに育ってくれた秦は自慢だけど…真っすぐすぎっていうのも逆にいうと将来心配の種なのよね~…はぁ」
それで静は大きなため息をした…。
「「「「そうですねぇ…」」」」
そして一同も納得して静と一緒にため息をついていた…。
…その頃秦は、
「…は、は、はくしゅっ!! うぅ~…なんだ? いきなり寒気が…?」
「秦様、大丈夫ですか…?」
「あ、あぁ。おい翔…たしか今日はみんなで広間に男女わかれて寝るんだったよな…?」
「…あぁ」
「…それではすまんがなぜか寒気が止まらんのでな。俺は先に眠らせてもらう。みんなにはそう伝えといてくれ」
「わかりました」
「わかったぜ」
そして秦はさっさと布団を敷いて眠りについてしまった…なぜか瑪瑙も隣に布団を敷いて寝ているのかとかは一切翔はふれないでいたが…。
「…あ、あの、翔くん?」
「なんだ海斗…?」
「あれは…いいんですか?」
「?…あぁ…瑪瑙のことな。気にすんな、いつものことだからよ」
「い、いつもって…?」
「瑪瑙は秦兄のそばから離れたくないとのご要望で一緒の部屋で寝てるんだよ。あ、でも安心しな。秦兄と瑪瑙はお互い度の入った鈍感だから決してなにも起こらないと思うしな…?」
「はぁ…?」
海斗は気のない声を上げる。
すると女性陣がお風呂から上がって浴衣姿で部屋にやってきた。
「翔~? 機嫌なおった…?」
「けっ! もう気にしてねぇよ! それより静姉、話してねぇよな…?」
「あ、忘れてた…。それじゃ今から話そっか…?」
「いい! いい!…それより鈴架って髪おろすとなんか雰囲気変わるよな…?」
「はい。ストレートにしますと鈴架ちゃんは真紅さんよりも髪が長いですからね」
「そうかな…? ま、そうだね。いつもツインテールにしているから印象変わっちゃうよね! で、翔的にはどう…?」
鈴架が翔に期待の眼差しを向ける。
だが翔は気づかなかったらしく、
「なにが…?」
「だからぁ…もうそこんとこはダメなんだから…」
「…?」
翔はまったく理解していなかった。そこに衛巳が背中目がけて平手を叩き込んだ。
「いてぇっ!!」
「翔兄さん! せっかく鈴架さんが聞いてくださったんですから答えてあげなきゃかわいそうですよ!」
「いいの衛巳ちゃん…翔に聞いた私が馬鹿だったんだから…」
「…気を落さないでね鈴架ちゃん。翔には後できついおしおきをしておくから!」
「だからなんだよ!?」
「ぜひお願いします! できれば衛巳ちゃんも一緒に!」
「わかりました!」
「おいおい…なんなんだよ一体?」
そこで海斗が翔の肩に手を置いた。
「ん…? なんだ海斗まで?」
「…翔くん、これから色々大変そうだけど頑張ってくださいね」
「…お、おう。なんだか知らねぇがわかったぜ」
「(これでもまだわからないなんて…君も十分鈍感だよ?)」
海斗はそう思っていた。
「あ、それより秦先輩と瑪瑙ちゃんはどこにいるのですか?」
「それならもう二人とも隣の部屋で眠ってしまいましたよ?」
「ちょっくら見てみるわ!」
そして翔がゆっくり襖を開けると、
「ん!?」
翔は中を見た瞬間、すぐにバンッ!と迅速の速さで襖を閉めてしまった。
「ど、どうしたの翔くん?」
「あ――…なんつうか俺と海斗は今日は一緒の部屋で寝ていいか…? ぜってぇなんもしねぇから…」
『え…?』
「どうしたんですか一体?」
そして海斗も中をのぞいてみた。そして、
スゥ…パタン。
海斗はゆっくりと襖をしめると、
「…そ、そうですね。できれば僕からもお願いします」
「ちょっと海斗くんまでどうしたの…? 私も中を覗いてもいい…?」
「だ、ダメだ! たぶん刺激が強すぎるからな!」
「まさかぁ…?また瑪瑙ちゃんてば秦の布団に潜り込んでるとか…?」
「…ビンゴ。さすが静姉! よくおわかりで…」
「まぁ…瑪瑙ちゃんたら…」
「そ、そうなんだ。瑪瑙ちゃんてかなり甘えん坊さんだね…」
「そーいう訳で頼む!」
「うん、いいわよ」
真紅はあっさりと了承した。
「ありがとうございます」
「恩にきるぜ…」
…それから一同は色々な話をした。今日あった事やこれからについての事など…そして時計が11時前を指す頃、一同は明日も早いということで電気を消して寝てしまいました…。
――to be continued.
かなり仲のいい兄弟みたいですね。秦と瑪瑙は。




