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イニシエからの絆  作者: 炎の剣製
26/71

026話 『衛巳の変化』

今回、衛巳の変化を書いてみました。

前世の人に引かれているといった感じですね。



逃げるように広間についた一同は、


「…ここが今日泊まってもらう部屋だ。はぁ~…どっと疲れたぜ。秦兄…意外に鈍いんだな」

「そうだね…。それをいうと瑪瑙ちゃんもだけどね…。あんな色っぽい声もだしてるのにね…」

「おぅ…ありゃ誰だって勘違いしちまうほどの威力は持ってるぜ…!」


二人がなにやらよからぬ会話をしている横では真紅と海斗は、


「クリス…クリス…起きて!」


真紅は何回かクリスの体を揺すると…、


「…う…ん…あら真紅さん…? あ! 秦先輩と瑪瑙さんが…!! むぐぅっ…!?」

「………」


真紅は騒ぐクリスの口を無言で塞いだ…。


「叫んじゃダメ…さっきのはただの勘違いだったのよクリス…」

「そ、そうでしたのですか…恥ずかしいです。勘違いしてしまって挙げ句の果てには気絶してしまうなんて…」

「…しょうがないですよ。僕達も勘違いしてしまうほどだったんですから…」

「そうですわね…」


それっきり一同は黙りこくってしまった…。

しかし少し時間が過ぎた頃、クリスが口を開いて喋りだした。


「…わたくし毎日朝と夜はかかさずお祈りをしているんです。ですから今日はお祈りの時間をいつもより多めにとることにしますわ」

「私もします…」

「やるならみんなでやりましょう、クリス?」

「そうですね…」

「気が進まねぇが俺も付き合うぜ…」


それでお祈りを始め出す五人だった。



◆◇―――――――――◇◆



五人がそんな事をしている一方、

衛巳と静が午前中に掃除を終わらせた後、昼食をとって夕飯のための食材の買い出しをして帰る途中の道で、


「ごめんね~衛巳…すぐに帰るつもりがついつい服が売っているエリアにとどまっちゃって」

「構いませんよ。静姉さんはいつも父さんの代わりに毎日来る生徒さんのために師範代をやって頑張っているんですからたまには息抜きも必要ですよ」

「も~う! 本当に衛巳はいい子ねぇ~♪さすがあたしの妹ね~!」


静はうれしくておもわず衛巳を抱き締めた。


「く、苦しいですよ姉さん…」

「あ、ごめんごめん。それじゃ真紅ちゃん達はもうとっくに来てると思うし早く帰ろうね衛巳」

「うん静姉さん」


二人がたわいもない日常会話をしながら帰る途中突然衛巳が、


「あっ?! 静姉さん危ない!」

「えっ…?」


そういうと衛巳は買ってきた食材をすぐさま地面に置いて静を弾き飛ばした。


「あいたた…ちょっと衛巳なにするの…って衛巳足元足元ッ!!」


すると衛巳の足元から影が出現して体を締めあげた。


「シャアァァァ…」

「っ…!」

「ははははっ! まんまと捕まりやがったな! 手が塞がれてちゃ武器も出せねぇだろ!?」

「あなたは…来豪さん!?」


来豪は壁の影から飛び出してきた。


「“さん”づけはよせや! 俺様とお前は敵同士なんだからよぅ…!」


衛巳が影に捕まっている光景を後ろで見ていた静は、


「…あいつ壁から? うわぁ…気持ち悪ぅ…それより、衛巳今助けるね!」


静が衛巳を助けようと駆け出そうとした瞬間、


「静姉さんは危ないからさがってて! なんとかしますから!」

「おいおい…武器も出せねぇ状況でよくそんな大口叩くもんだなぁ…あぁ?」

「…私も舐められてしまったものですね?」


衛巳がそう呟き次には衛巳を締め付けていた影がなにかの力によって切り裂かれてしまった。


「ギィッ!!」

「…あ?」


そして影は突然消滅してしまった…。

「な…なんだと!?」

「…さぁ次は来豪さんの番ですよ?」

「てめぇ…! 一体なにしやがったんだ!?」

「さぁなんでしょう…?」

「舐めやがってぇ…!! これでもくらいやがれ!! 幻影弾!!」


すると来豪は手から黒い固まりをいくつも放った。


「衛巳っ!」

「クスッ…」

「えっ…?」


静が叫ぶがくすみ笑いを浮かべて衛巳は腕を少し振った瞬間、幻影弾が二つに割れて消滅した。


「なにぃっ!? 俺様の幻影弾まで!!」

「衛巳…一体なにをしているの?」

「…くっ! この野郎がぁっ!! ならば俺様自らが貴様を切り裂いてやる!! おらぁっ!!」


そして来豪は斧を抜き手にはなにも持っていない衛巳に切り掛かった。

それでも衛巳は無言であった。


「衛巳! なにをしているの!? 早く武器を出して戦いなさい!!」


しかし衛巳は一向に武器を出す素振りをしない。


「へっ! 無防備たぁいい度胸だ! その余裕、さっさと終わらせてやるぜ!」


そして来豪はその巨体とは裏腹に素早く間合いを詰めていっきに斧を振り下ろした。


「死ねぇっ!!」

「衛巳!!」


だがその時、「ガンッ!」と鉄と鉄が打ち合うような音が響く。


「う、そ…」

「なんだと…!?」


驚くのは当然、衛巳の目の前で振り下ろした斧がまるでなにかにぶつかったかのように止まってしまったのだ。

そして、衛巳が腕を振るう。

すると来豪は大きくはじかれた。


「ぐっ…!」


そしてなにもない空間に弾かれた来豪はとっさに離れて間合いをつくった。


「てめぇ! 武器を持ってやがるな!?」

「あ、やっぱり今の一撃でばれてしまいましたね。隙あらば切り込もうと思っていたのですが…しょうがありませんね。透明解除…」


すると蜃気楼が溶けていくような感じで少しずつ衛巳の手には斧が見えだしてきた。


「これが金剛戦塵斧・蛇伸の隠し能力の一つ、Ver.2『透明能力』です!」

「なるほどな…だからさっきからてめぇの目の前で技がかき消されたりしてたんだな。舐めやがって…!」

「さっき私を舐めた仕返しですよ、来豪さん…。ではここからは本気でお相手します!」

「ケッ…上等だぁ!」


そして二人は打ち合いを始めようとして詰め寄った瞬間、突然来豪と衛巳との間に数本の針が刺さった。

それに驚く三人。


「この針は…アネさんか!」

「やぁ来豪…楽しんでいるところ悪いがこれだけの騒ぎを起こしてそろそろ人が集まってくる頃…撤退しなさい」

「だがアネさん…!」

「私のいうことが聞けないというの…?」


仮面の女は仮面の目の部分から来豪を睨んだ。


「わ、わかったぜアネさん…! この勝負は預けとくぜ女!」


すると来豪は影の中に消えていった。


「ふん…」


そして仮面の女もすぐに姿を消した。


「…逃げられましたね」

「衛巳! そんな冷静になってないで早くいきましょう! 人が集まってきちゃうわよ!!」

「あ、はい静姉さん」


…そして二人はそそくさと買ってきた食材を持ってその場から退散した。

それから人が集まってきているのを尻目に静が、


「…でも衛巳、あんなことをするつもりなら事前にいっておきなさいよ…あたし本当に心配したんだから…」

「…ごめんなさい。でもああでもしてないと夜道はいつ襲われるかわかりませんから…」

「ガアァァッ!」

「!?」


またしても影が出現して襲いかかってきたのだが、


「ギャッ!」

「こんなふうに…ね?」


衛巳はまた出てきた影を手を振っただけで切り裂いた。


「あ、あはは…そうねぇ。(衛巳ってこんな子だったっけ…?)」


静は衛巳の変化に内心で驚いていた。

そんなこんなで雲隠家へと帰ってきた二人は実に奇妙な光景を目の当たりにしていた…。


『………』


そこではみんながクリスの付き添いで一緒に懺悔という名のお祈りをしていた。


「…ねぇ静姉さん?」

「なに、衛巳…?」

「あれはなんでしょう…?」

「たぶんクリスちゃんのお祈りに付き合っているんだと思うわ。それよりもっと謎なのは…」

「そうですね…」


二人は同じ気持ちなのだろうある方向を同時に見ていた…そこには、


「………」


一同にまぎれてなぜか翔も一緒にお祈りをしている光景を見て二人は、


「…か、翔になにがあったのかしら? なんか見てて不気味…」

「はい…」


そこに秦と瑪瑙がやってきて、


「静姉さん、それに衛巳も帰ってきていたのか。おかえり」

「お帰りなさいです」

「「ただいま」」

「それよりみんなになにかあったの…? 翔までああだし…なにか心当たりはない?」

「さぁ…? む、そうだ。そういえばまだ二人が帰ってくる前にみんなして俺の部屋に駆け込んできたんだ…。

なぜか翔は物凄く怒っていたらしいが…他にも真紅や鈴架は泣いていて海斗くんはぼぉっとし、クリスさんに至っては気絶までしていたな…?」

「はいです。でもその後みなさんは顔を赤くしながらすぐに出ていってしまったです」

「む~~……? あ、まさか!? もしかしてその時に瑪瑙ちゃんの手入れとかしてなかった?」


静は少し考えこむがなにかを閃いたようにそう声を出し、


「していたが…?」

「やっぱりぃ…! なるほどねぇ~…それじゃクリスちゃんは気絶しちゃうはずよね!」

「なんでですか、姉さん?」

「内緒よ。ふふふっ…」


そして静はクスクスと笑いながら部屋へと戻っていった…。


「「「???」」」


その静の動作に秦と瑪瑙、そして衛巳までもがやはりわからなかったらしく疑問の顔を浮かべていたという…。




――to be continued.


翔も懺悔をする光景…。想像したら面白いです。

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