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イニシエからの絆  作者: 炎の剣製
25/71

025話 『勘違いの声』

ある意味ネタ回です。



…そして午前が終わりを告げる頃、

聖梁教会ではクリスがクレセントに話しかけて、


「それではいってまいりますマザー…」

「えぇ、気を付けていってきなさいね。それとお祈りは忘れてはいけませんわよ?」

「はい、わかっていますわ。それでは…」


教会を出ていったクリスはそれで辰宮家に向かって歩いて行った。

そして辰宮家の外ではすでに真紅、鈴架、海斗が集まってクリスを待っていた。


「…クリスさん遅いね、お姉ちゃん?」

「そうね、ちょっと心配になってきちゃった…」

「でもクリスさんのことですからきっと大丈夫だと思います…。いざという時には必ず守ってくれる人がそばにいると思いますから…」


海斗が意味深なことをつぶやいていた…


「えっ? それは誰なんですか…?」

「すみません、それは僕にもわかりません」

「そうなの。…うん、そうよね。それじゃクリスが来るまで気長に待ちましょうね」


そしてクリスはというと少し時間を過ぎてしまって急いで向かっていた。


「はぁ…はぁ……いけませんわ。約束の時間を大幅に過ぎてしまいました。いそがなくてはいけませんね…」


クリスは腕時計をみながら急いでいた。

その時、クリスは邪気の気配を感じて、


「はっ! 邪悪な気…!?」


だが、クリスの前に現れる前に、


「(…ギャッ!)」


クリスが気を感じた瞬間に近くに迫っていた影達は突然消滅してしまっていた…。


「あ、あら…? 邪悪な気配を感じたと思ったのですが…気のせいだったのでしょうか…? あ、いけませんわ! 早くいきましょう!」


クリスは気のせいだったのかと思い、すぐに真紅達の元へと向かっていった。


「(光真…クリスさん…)」


それを誰かが慈しみの眼差しで見ているのだった。



◆◇―――――――――◇◆



ガリウスは精霊界に水晶を通して久しぶりに赤竜の妹『辰雛(たつひな)』と通信をしていた。


「…そう。劉輝が…」

『…はい、病が悪化しましてお亡くなりになられました』

「やはり別れというのはいつも悲しいものですね…私もその場に立ち合いたかったわ…」


ガリウスは心の底から劉輝が亡くなったことに対して悲しんでいた。


『お心遣い感謝しますガリウスさん…ですが劉輝様がお亡くなりになる直前に不可思議な出来事が起きたのです』

「なにかあったのですか…?」

『はい。知っているとは思いますが我ら精霊界の民は死を迎えた時には光の粒子となって消えてしまうんです。ですが劉輝様はお亡くなりになる瞬間に体が突然光りだして、


『…光真…今会いにいくわ…』


と言葉をつぶやいて光の玉となってどこかへと飛んでいってしまったのです…』

「えっ!? それではもしかして劉輝はクリスさんのところに…?」

『多分そうだと思います。それよりクリスさん…そうですか。その方が光真さんの生まれ変わった姿なのですね…』


辰雛はそれで声を弾ませている。


「あ…はい。クリスさんは実に光真さんのお優しい心を受け継いでいます。私の過去のお話を聞いてくれた時も一緒に泣いてくれました…」

『そうですか…。それで他の方々はどうですか?』

「はい。今は光真さん以外には赤竜さん、水滸さん、舞虎さん、無幻慈さん、鳥翔さん、岩蛇さんの生まれ変わりを見つけました。皆さんもとてもいい子たちですよ?」

『兄様を見つけてくれたんですか!』

「えぇ…。名前は真紅さんといいとても可愛い女の子ですよ」

『えぇ!? 兄様女の子に生まれ変わっちゃったんですか!!』


辰雛は大層驚いているようだ…。


「え、えぇ…今は舞虎さんの生まれ変わりの鈴架ちゃんと姉妹として一緒に暮らしているわ。

それに無幻慈さん、鳥翔さん、岩蛇さんも今は兄弟になっているわ。今では瑪瑙ちゃんとも再会できましたし。

水滸さんは…前に連絡したとおりですよ」


それからガリウスは辰雛に色々な話を聞かせた…。


『そっかぁ…。みんながんばっているんだね、私も会いたいなぁ…』

「きっと時がくれば会うことができますよ。」

『そうですね!』

「それよりそちらの方は今はどうなっていますか…?」

『…以前話した時とあまり大差はありません…ですが劉輝様が亡くなってしまってからというもの白虎様は大層お変わりになられてしまいました…』

「そうですか。お話によりますと白竜さんも十字暗殺部隊のリーダーであった“迦楼羅(がるだ)”を自らの体内に封印していたために体が衰弱してしまい過労死したと聞いています。

そして無心さん、輝羽さんは現在行方不明…白虎さんのそばにはもうまともに会話する友がいなくなってしまいましたからね」

『はい…他の四聖獣の南の里の朱雀様、東の里の青龍様、北の里の玄武様の皆様が集まりで来てくださる時は笑顔でいるのですがどうにも作った笑顔にしか見えず私はとても見ていられません…』

「そう…でも困難にめげずにがんばってください! それでは里の長はつとまりませんよ! いざという時は私が助けにいきますからどうか気を確かに持ってね!」

『あ、はい! ありがとうございますガリウスさん! ではもうそろそろ仕事に戻りますのでまた今度お話を聞かせてください』

「わかったわ。それと気になっていると思いますが嵐くんの生まれ変わりが見つかりましたらすぐにお知らせしますね、辰雛ちゃん」

『あ…えへぇ~…。…ってガリウスさん! 私はもう里の長なんですからからかわないでください!』


辰雛は少し顔を赤くして照れてたと思ったらすぐに長としての顔に戻ってこれまた先程より顔を赤くして怒っていた。


「ふふ…ごめんなさい」

『もぅっ…でも、期待をして待っています。それでは…』

「えぇ」


そして辰雛との通信は終了した。


「もうすっかり長の貫禄がついてきたみたいね辰雛ちゃん…。それより今心配なのは劉輝の魂や無心さん、輝羽さんね。今はどこにいるのかしら…?心配ね…」



◆◇―――――――――◇◆



場所は雲隠家の正門の前、遅れて合流したクリスとともに急いで一同はやってきていた。

海斗は正門の前でかなりの大きな門だと感じて、


「…しかし改めてですが大きな門ですよね」

「…あ、そうだったね。海斗くん闇の王の手下にやられちゃって運び込まれた時以外は来たことがなかったのよね…」

「…そうだね、お姉ちゃん」

「はい。ですが今日はそういう暗い話はなしにしましょう。せっかくの休みなんですから」

「そうですわね」

「うん。それじゃ呼び鈴を押すね?」


そして真紅がボタンを押そうとした時、上の方から声がして上を向くと翔が立っていた。


「お、やっときたか」

「あ、翔くん。こんにちは」

「来たわよ翔!」

「おう! お、やっぱ海斗とクリスさんもいるか」

「やぁ、翔くん」

「一日お世話になりますね」

「まぁ堅苦しい挨拶はなしにして中に入ってこいよ」

「うん、わかったわ」


そして翔はひと足早く家に戻っていった。


「でもやっぱり翔って身軽だよね。力は使っていないのにあんなに跳躍力があるんだもんね」

「そうですわね」

「小さい頃から忍者になるための修業をしていたからじゃないかしら…?」

「忍者、ですか…? それは翔くんが始めたことなんですか?」

「ううん、ちがいますよ。翔は宗治おじさんのお父さんの『鎌滝(れんろう)』さんに習ってたんですよ」

「だけど今は修業の旅とかで世界を転々としていて余生を楽しんでいるらしいわ」

「へぇ…そうなんですか」

「はい。あ、それより早く入ろうよお姉ちゃん」

「そうね」


そして一同は門をくぐって雲隠家の敷地に入っていき翔と合流して家へとむかっていった。

そして敷地内へと入っていくと秦と瑪瑙の修行場なのだろう場所に出てそのあまりの荒れように、


「…な、なんか庭の広間が前に海斗さんのお見舞いに来た時よりもさらにひどくなってると思いませんか? クリスさん?」

「…そ、そうですわね」


そこに翔が、


「あぁ、それは毎日秦兄と瑪瑙のやつが打ち合いしてるせいだぜ? いっつも秦兄たちは試合を始めるたんびに解咒してるから踏み込みが半端じゃなくてよぉ…」

「それでこの有様なのね…」

「…あぁ、後で直すこっちの身にもなってほしいぜ、ほんと…」

「それでとうの秦先輩と瑪瑙さん達は…?」

「あぁ、今は静姉と衛巳は今夜のメシの買い出しにいってるぜ。親父も夜には帰ってくるだろう?…で、秦兄と瑪瑙のやつはというと今日朝に試合が終わった後秦兄が、


『瑪瑙の手入れをする』


…とか妙な発言をして瑪瑙もそれに反応して声をあげて喜んでいたから今は二人で部屋にいるんじゃねぇか…?」

「…手入れ?」

「多分瑪瑙さんのもとの姿である刀の手入れをするんではありませんか?」

「きっとそうね」

「ま、秦兄にかぎってそんな間違いを犯すとは思えねぇから大丈夫だろ? お、ついたか。じゃ入ってくれ。」

「「「「おじゃまします」」」」


一同は家につくと翔が今日真紅達が泊まってもらう予定の広間に案内している途中で秦の部屋に差し掛かったのでせっかくだからみんなが来たことを教えてやろうと声をあげようとした瞬間、


「―――秦に…」


「…あぁ~、そこいいですぅ。秦様…」

『!?』


突然秦の部屋の中から瑪瑙の甘い声が聞こえてきて一同は固まってしまった…。


「(…ね、ねぇ翔! 今のなによ!?)」

「(俺がしりてぇよ!!)」

「(と、とりあえず落ち着いて様子を見ましょう…)」


全員はそれで一応様子見で会話を聞くことにした。


「そうか。それでは次いくぞ?」

「はいです!」


そしてしばらくして…


「…あ…あ、あ…くすぐったいです、秦様…」

「我慢しろ。もうすぐ終わる…」

「はいです…きゃう!?…そこは…ダメです…」

「なにいっているんだ。ここが重要なところなんだから我慢しろ、な?」

「はいですぅ…」


かなり際どい会話が中で繰り広げられていて、


「(おいおいおい!? 秦兄!!)」

「(…あぁ、神よ…)」

「(…ま、まさか秦さんが…)」


真紅の中では秦にたいしてのイメージが崩れかかっていた…。


「(…た、ただの手入れかもしれませんよ!?……………たぶんですが…)」

「(で、でもぉ…)」

「(…そうよね、きっとそうよね。もうちょっと信じて待ちましょうね…!)」


一同がなんとか気持ちが変なほうにいかないように喝を入れていた次の瞬間、


「…き、きつい…ですぅ…秦様ぁ…」

「もうすぐ終わる。これで最後だからもう少し辛抱してくれ…。後でぼろが出てはいけないからしっかりな…」



それを聞いた瞬間一同は「ズガァーンッ!」というような衝撃をうけて目眩がして何かが落ちて崩れていくような音が耳に木霊したという…そしてついに…!


ガラッ!と翔は勢い良くドアを開けた。


「「!?」」

「秦にぃーーーっ! 何やってんだごらぁっ!!?」


翔がついにキレた。


「そうですよ秦さん! 瑪瑙ちゃんになんてことを…! 信じていたのに…」

「そうですよ! ねぇクリスさん!?」

「………」


翔に続くように真紅と鈴架は泣きながら怒っていてクリスはというとすでに気絶している後であった…。


「…し、秦先輩…」


海斗はもはや名前を口にだすのもやっとのようだ…そして問題の秦と瑪瑙は、


「…どうしたんだ? みんなして…?」

「だって瑪瑙ちゃんに秦先輩はひどいことを―――…あれ? 瑪瑙ちゃんは…?」

『私ならここにいるですよ?』

『えっ…?』


そこには刀の姿になっている瑪瑙がいた。


「俺はただ刀の刄の部分を研いてやったり持つ部分を一回ほどいて巻き直してやっていただけだが?」

『そうですぅ~♪』


瑪瑙はかなり上機嫌である。


「………」

「よし終わりだ。戻っていいぞ瑪瑙」

『はいです!』


そして瑪瑙は刀から人型へと変わって、


「わぅ~♪お肌がツルツルになりましたですぅ! ありがとうございますです秦様!」

「それはよかった。刀の手入れはしたことがなく最近やり始めたばかりで不安だったからな…」

「そんなことないです! ちゃんとできてましたから安心してくださいですぅ!」

「あぁ」

「…な、なぁ秦兄?」


そこで翔がおそるおそる秦に話し掛けてきた…。


「なんだ翔?」

「…う…そのなんつーかさぁ…? 瑪瑙の手入れをしている時になんか変な気分になったりしねぇ…?」

「変な気分とはなんのことだ…?」

「ほらよぉ、例えばさぁ~…」


翔はなにかいいたげな表情をしているのだがなかなか話を切り出せないでいた…。


「?…どうした翔?」

「ああっ! やっぱこの話はなしだぁー!!」

「ど、どうした翔!?」

「なんでもねぇよ!」

「…ところでなんでクリスさんはそこで横になっているですか?」

「あ、ええっとね~…それは~…なんでもないよ瑪瑙ちゃん! ただ寝ちゃっただけだから…!」

「そうですかぁ~…?」

「そうですよ! ね、ねぇ海斗くん…?」

「は、はいそうですよ! それより疑ってすみませんでした秦先輩…」

「疑う…? なんのことにだ…?」


秦は本気で分からないという顔になっていた。


「別にわからないんでしたら気にしないでください秦さん! でも本当にすみませんでした…!」

「だからなんで謝るんだ…? 俺はなにもされた憶えはないんだが…?」

「私もです…」

「気にすんなって! そ、それじゃ俺はみんなを部屋に案内してくるからまた後でな瑪瑙、秦兄!」

「あ、あぁ…」

「わかったです」


そして一同はそそくさとクリスを背負って秦の部屋から出ていってしまった…。


「「???」」


一同が出ていってしまった後、二人はなんだったんだろうか…といわんばかりの表情を浮かべていた…。




――to be continued.


秦は鈍感の部類です。

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