021話 『ガリウスの秘密と真実・前編』
今回、ガリウスの秘密に迫っていきます。
4/26(月)
それは昼休みのことであった…。
「しっかし昨日はすごかったよな。海斗の家に見舞いにいってみたら海斗が真紅を押し倒してるんだもんな!」
「「ッ!」」
翔が昨日起きたアクシデントのことについて話しだした瞬間、真紅と海斗の二人は顔を赤くして、
「…もうっ、何度も言ったけどあれはただの事故だったのよ…翔くん」
「そうですよ」
「どうだかなぁ…?」
「こら翔! お姉ちゃんと海斗さんを困らせるのはもうやめてよね!?
昨日は突然のことで私もなんともいえなかったけど本当に海斗さんは倒れただけでお姉ちゃんもとっさに支えようとしたけど失敗しちゃってああなっちゃっただけなんだから!」
翔はニヤニヤと笑みを浮かべていた。
だがすぐに鈴架が助け舟を出した。
「わ、わかったよ。だからそう怒鳴るなって…」
「さすがの翔も鈴架くんの押しには弱いな」
「はいです!」
「…っせえよ秦兄、瑪瑙。目の前で見ていた奴に言われちゃ反論もできねぇだろ?」
「ふふ、たしかにそうですわね」
そんな翔にクリスは笑みを浮かべるのだった。
「ふぅ…やっと誤解が解けてよかったねお姉ちゃん! 海斗さん!」
「ありがと鈴架…」
「ありがとうございます鈴架さん…でも本当にすみません真紅さん、僕が変なことをしてしまったせいで皆さんにいらぬ誤解を招いてしまって…」
「いいわよ。お互い様みたいなものなんだし…」
「お互い様…? なんのことですか?」
「あ!…な、なんでもないわ!」
真紅は見られた以外にも海斗に抱きしめられた事を言いそうになって顔を赤くしていた。
「(お…他にもことを起こしてたのか?)」
「(真紅さんらしくない慌てぶりですね~…?)」
「(ちょっとお姉ちゃん! 私これ以上はフォローできないよ!?)」
「(僕は真紅さんになにか他に変なことをしてしまったのでしょうか…!?)」
「(うぅ~…わざとではないといえ海斗くんにあんなことされたなんて恥ずかしくて言えないわよぉ…)」
一同が色々と考えを膨らませている中、秦と瑪瑙はお茶をすすりながら、
「平和だな瑪瑙…」
「はいです」
戦闘がない日々を大切にしているのだった。
「…そ、そういえば…はぁ…はぁ…そういえばよぉ…?」
「…な、なによ…?」
なぜ鈴架と翔の二人がこんなに息切れをおこしているのかというと話の成り行きでどこかで拗れたのか二人は口喧嘩をはじめて叫びまくっていたからだ。
「…前々から聞こうとは思ってたんだが正直なところガリウスさんって一体何者なんだ?」
「「!!」」
翔がそのことを口に出した瞬間海斗と瑪瑙は顔色を変えてしまった…。
「…? どうしたの海斗くん…まだ傷が痛むの?」
「瑪瑙もどうしたんだ…?」
「あ、いえ…なんでも、ないですよ?」
「はいです…」
海斗は変な雰囲気になり始めたので逃げとも言うが、
「あ、真紅さんちょっといいですか?」
「なに、海斗くん?」
「はい。僕と瑪瑙さんはちょっとした用事を思い出しましたのでお先に失礼します」
「そうなのです」
「そう、わかったわ」
「それでは…」
「それではです」
そうして二人は先に校舎に戻っていってしまった…。
「…どうしちゃったのかな?」
「ん~…わかりません。それより確かにそうですわね…?」
「そうですね。私たちが生まれ変わる前の舞虎さんたちの事もよく知ってましたし…」
「ふむ、そういえば瑪瑙が初めて喋ったり人の姿になった時もあまり気には留めていなかったな…」
「そうなんですか…?」
「あ、うん!それと秦さんが“斬鉄光魔剣”を使うときもどういう技なのか理解していたみたいなの…」
「そういえばわたくしの“極覇閃光”もガリウスさんは『…私には光真さんみたいにうまくは使えないけど、あなたならきっと使いこなせるはずよ!…』といっていましたわ」
「そうでしたね!」
「後、この玉からは武器が出せるとかも教えてくれたしな…」
「…みんなの話を総計するとやはりガリウスさんは普通の人とは違うようだな」
秦がそうまとめる。
「もう私たちもそうですけどガリウスさんは架空でしか見たことも聞いたこともない魔法も使えますしね!」
「でもよぉ、やっぱ一番気になるのはそんなに知識があるのにあの若さは異常だと思わねえか!?」
『…確かに…』
翔の物言いに全員は頷く。
「まさかとは思うんですけどもしかしてガリウスさんは歳をとっていない…とかじゃないかな?」
「まっさかぁ!…さすがにそこまではないだろ?」
「…いや、あながち仮説にしてはいいところをついているかもしれないぞ?」
「なにか思い当たる節でもあるんですか秦さん?」
「いや、ただのカンだ。だがガリウスさんは俺たちに協力してくれる以上はいつか教えてくれるだろうと思っておいたほうが悩まずにすみぞ、みんな?」
「そうですね!」
「さすが秦兄! いつもながら見事な纏めようだぜ!」
一同がそう結論をしている中で同時刻、その頃海斗と瑪瑙はガリウスがいるであろう保健室に来ていた。
コンコンッ!
「はい?」
海斗はドアをノックするとガリウスが返事をした。
「海斗です」
「瑪瑙です」
「あ、そろそろ来る頃だと思っていましたわ。入ってきていいわよ?」
「では失礼します」
「失礼しますです」
「二人ともそこの椅子に座っていいわよ。大事な話があってきたのでしょう?」
「「はい」」
そうして二人は椅子に座り話しだした。
「それが…いや、言わなくてももうなんの事か分かっているのでしょう? ガリウスさん…」
「そうね…」
「やっぱり海斗さんはガリウスさんの事を知っていたですか!」
「えぇ…。この際ですからお話をする前に瑪瑙さんだけには僕のことを教えときますかガリウスさん?」
「えぇ、いいわよ。薄々瑪瑙ちゃんもなんのことかは気付いていると思いますしね」
「ではやっぱり…」
「はい。僕には僅かながら水滸さんの記憶が残っています」
海斗は水滸時の記憶が多少残っているという。
「でもあの時にガリウスさんが使った転生術は記憶を転生後はすべて失ってしまうはずじゃなかったですか?」
「…確かにそうよ。でも水滸さんにだけは転生術以外にある術をかけておいたのよ…」
「ある術…? どんなものですか?」
「それは水滸さんが生まれ変わったら私に知らせが来て、お互いに接触したら水滸さんの生まれ変わり…つまり海斗くんは前世の記憶を思い出すという一種の暗示みたいなものよ。
みなさんは十二支の絆で引き合う作用を持っていますから私はそれぞれ近い場所に生まれ変われるように転生術を行いました…ですから海斗くんには感謝しているわ」
「いえ…」
「理由はわかりましたです。ですがなぜ水滸さんは記憶を思い出すようにガリウスさんにお願いをしたのですか…?」
「それは…水滸さんは後悔していたからだと思うわ」
「何に後悔を…? まさかあの時の事をですか!」
「…そうです。水滸さんは舞架さんの呪いをみんなの力を合わせて解いてあげようとした時に、
“失敗したら全員死んでしまう”
という恐怖からそれを拒んでしまい、それを代わりに黒竜さんが命を犠牲にして呪いを解く術を完璧なものにし術は成功して舞架さんを一度は救いだせました…」
「………」
瑪瑙はそれを黙って聞いていた。
「ですがそれから水滸さんの心の中には暗い闇がおおってしまい落ち込む日々が続きました。
その後、黒竜さんの生まれ変わりである轟さんが現われ皆さんは喜びましたが水滸さんだけはまともに合わす顔ができず避けてしまいました。
そしてまた舞架さんの呪いが再発しそうになった時も轟さんが呪いを頑張って解く姿を見て、
『(あぁ、わたくしはなんて情けないのでしょう…)』
と本当に心の底から後悔したそうです。そして闇の王が現われ舞架さんをさらった時に告げたあの言葉、
『呪いは解けてなどいない!!』
を、聞いた瞬間に水滸さんは今度こそ後悔しないように逃げず怯えず舞架さんの呪いを解いてあげようと決心しました…!」
「ですがその刹那に闇の王は轟さんを次元の彼方に追いやり…そして舞架さんを未来世界…つまり現在にワープして消えてしまい水滸さんの想いは叶える事が不可能になってしまったんですね…水滸さん可愛そうです…」
「私はこの話を海斗くんから聞くのはこれが二度目ですがやはり悲しい気持ちになるものですね…」
「はい。ですから転生術を行う際に水滸さんはガリウスさんにこの術を頼んだんです。僕に代わりに役目を果たしてほしいという願いをこめて…ですがその代わりに―――…」
「代わりに、なんですか?」
「………」
海斗はまだなにかを話そうとしていたがガリウスの顔を一目見て、
「いえ、なんでもありませんよ。それより長々と僕と水滸さんの事で話の腰を折ってしまいましたが本題に入りましょう」
「そうね」
「…わかりましたです」
瑪瑙は海斗のこの先の話を聞きたかったが今は我慢しておくのだった。
そしてこれ以上は語るのをやめて本来の話に移行した。
「それでお話というのは…」
「いえ、言わなくてもわかっているわ。そろそろ皆さんも私の正体について気になり始める頃だと思っていましたから…」
「…私はもう話してもいい頃合だと思いますです…きっと皆さんなら信じてくれるはずです!」
「僕もそう思います…! 過去はどうあれ今もガリウスさんは僕達のために頑張ってくれているんですから」
「…二人ともありがとう。でもやっぱりこれは皆さんには隠しておきたいのよ。過去の皆さんに会うさらに前に私はどんな事をしていたかだなんて…」
「…わかりました。ですがもう十分にガリウスさんは苦しんできました。だから…だからいつか皆さんにこの事をまた伝えられるようにお手伝いします」
「わ、私もです…!」
「ありがと…ありがと…うぅッ…」
すると思わずガリウスは泣きだしてしまった…。
…そして昼休みが終わろうとしていた頃、
「さっ! そろそろ二人とも教室に戻る時間よ」
「はいそれではまた」
「またです!」
二人が教室に戻ろうとしていたその瞬間、突然校庭の方から物凄い地響きが聞こえてきた。
瑪瑙「な、なんですか!?」
瑪瑙が慌てて窓から校庭を見る。
そこでは紫の膜がどんどんと校舎を侵食してきていた。
「はっ!? これは『時空閉鎖広域結界』!」
「時空閉鎖広域結界!? それは?」
「一時的に結界内の人たちを外界と分離させて内側にいる人たちの“時”を止めて閉じ込める結界よ!! いけない!! バリアッ!!」
ガリウスはとっさに呪文を唱えて海斗と瑪瑙をバリアーで守り時空閉鎖広域結界の中へと侵入した。
「これで私たちは結界の中に侵入することができたわ!」
「皆さんが心配です! いってみましょう!」
「はいです!」
「わかったわ!」
――to be continued.
今回、新たに用語が出てきました。
時空閉鎖広域結界ですが、某灼眼の結界に一番近いものだと思います。




