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イニシエからの絆  作者: 炎の剣製
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018話 『静かなる大地の蛇』

三羽烏の最後の一人が目覚めます。


広間では翔が衛巳に話しかけていた。


「…ん? おい衛巳、親父と静姉は…?」

「…え? お父さんと静姉さんなら今ちょっと用事があるといって出掛けちゃってますよ?」

「なら先に食べちまおうぜ!」


そういうと翔はさっさと座って箸に手をつけたが衛巳に手を叩かれた。


「いてっ!」

「翔兄さん、まだだめです! みなさんの準備ができるまで待っていてください!」

「いいだろ別に…?」

「ダメです! 言う事を聞いてくれませんと今日は食事抜きにしますよ!?」

「うっ…! わかったよ、待てばいいんだろ!」


それで翔はおとなしくなる。

クリスがそれを見て、


「翔さんは衛巳さんには弱いんですのね」

「でもさすが衛巳ちゃん…もうすっかりおばさんの代わりをしてるよね?」

「はい! お父さんも兄さん達もお料理は作れませんから私がしっかりと死んじゃったお母さんの代わりに面倒を見てあげなきゃいけませんから!」

「「面目ない…」」


翔と秦がそろって謝る。


「私も今度から手伝いますです!」

「うん、お願いね瑪瑙ちゃん!」

「私も暇があったら手伝うからいつでもいってね! 衛巳ちゃん!」

「私も手伝うから!」

「真紅さん、鈴架さん…私達の家の事情ですのにありがとうございます。あ、もう準備ができたようですね。それじゃいただきましょう!」


そして一同は食事をとりはじめてのだが…。


「…おい、鈴架。あれ見てみろよ?」

「なにを?…あ!」


鈴架は翔がいったほうに向いたら驚きの表情を浮かべていた。


「海斗くん。私が食べさせてあげるね!」

「えっ…い、いいですよ! もう体は動きますから…」

「だめよ! さっきまで指一つ動かせなかったんだから今日は私が海斗くんの面倒を見るわ!」

「そうよ海斗くん。無理は禁物だから今日は真紅さんのお言葉に甘えておきなさい?」

「は、はい…」

「それじゃ海斗くん。口を開けて…」


真紅はれんげでお粥をすくって海斗の口に運ぼうとした。


「ッ! や…やっぱりいいですよ! その…なんというか恥ずかしいですから…」

「そんなことをいってもダメです! はい、あ~ん…」

「……」


そして海斗は結局最後まで真紅に口に入れてもらっていた…。

それから食事は終了して、


「それでは片付けますね」

「私達も手伝うわ」


そして真紅、鈴架、クリスは衛巳の手伝いをしにいった。

それを見送っていた海斗は息を吐き、


「はぁ~…恥ずかしかったです」

「なにいってんだ、よかったじゃねえか! さっきの光景を他の男子生徒が見てたらきっと羨ましがるぜ!」

「それに昨日からほとんど寝ていないからそれだけ真紅さんは海斗くんのことを心配されていたのよ…だからここは穏便にね?」

「…はい、わかっていますよ。それに真紅さんにはもう僕のために泣いてほしくありませんから…」

「立派な心がけだな。確かに真紅の泣き顔は応えるからな」

「はいです!」


その時、


「秦…兄さん!」

「ど、どうした衛巳!?」

「衛巳さん!?」


いきなり衛巳が血相かえて走ってきて秦と瑪瑙が心配の声をかける。


「それが真紅さん達が突然地面から現れた闇に飲み込まれてどこかへ連れてかれてしまったんです! 私だけは飲み込まれる瞬間に弾き飛ばされて助かりましたが…うっ…うっ…」


衛巳は泣きながら話してくれた。


「よしよし泣くな…後は俺達がなんとかする…よし! 翔、瑪瑙いくぞ!」

「おう秦兄!」

「わかりましたです!」

「待ってください…! 二人に聞くことがあるのだけど…私が渡したお札はちゃんと貼りましたよね?」

「あぁ、貼ったぜ?」

「それじゃおかしいわ…私が渡したお札はただの影ごときが入ってこれるほど優しいものじゃないから」

「…それじゃなにが真紅達を?」

「わからないわ…でももしお札を剥がせるとしたら邪気を持っていないものしかできないはずだわ」


ガリウスがそう話す。


「…秦…翔……」


その時部屋の外から声が聞こえた。


「この声は…!?」

「親父か!」


ドアを開けたそこには気絶している静をかかえた宗治が立っていた。


「……はぁ…はぁ…」

「親父! どうしたんだ!?」

「静姉さんは…!」

「ただ…眠っているだけだ…すまんみんな! 突然体のいうことが聞かなくなり俺と静とでお札を剥がしてしまった…!」

「…! それで奴らは侵入してこれたのね!」

「…真紅さん達は…近くの林に捕まっている…後は頼むぞ…うっ!」


そして宗治は気絶してしまった…。


「お父さん!」


衛巳が宗治を介抱する。


「ようやくわかったな! 来豪の野郎! 姑息な手を使いやがって…!」

「秦様!」

「あぁ! ガリウスさんは父さん達を頼みます!」

「わかったわ!」

「くっ…! 僕も体調が戻れば一緒に戦えるのに…!」

「海斗くんはいざという時にここを守ってくれ!」

「わかりました…!」


そして三人は外へと駆けていった。



◆◇―――――――――◇◆



「くぉら! 来豪! 出てきやがれっ! てめぇの仕業だってことはわかってるんだよ!!」

「…うるせぇやつだ!」


翔が怒鳴るように叫び、そして闇の中から来豪が現れた。


「貴様! どうやって父さん達を操ったんだ!?」

「簡単なことだぜ! 俺は“影使い”だぜ? 人の影を操るくらいたやすいぜ! ただ影共を操るだけが俺の力だと思ったか?」

「そうか! 人の影を操るだけなら邪気を纏わねえってわけか!」

「そーいうわけだ! ちなみに捕まえたやつらはここだぜ!」


すると来豪は地面から気絶している三人を閉じ込めている闇の檻を引きずりだした。


「真紅! みんな!」

「おっと! こいつらを助けたいんならまずこいつらと戦ってもらうぜ!」


そういうと来豪は影を召喚した。


「けっ! ただの影か! 一瞬で蹴散らしてやるぜ!」

「今回のはただの影だと思うなよ! 影共、お前達の真の力を見せてやれ! 融合!!」

『なっ!?』


すると影達は一ヶ所に集まり巨体へと姿を変えた。

その体には緑の紋様が彫り込まれていて足も長くなっていた。


「さしずめこいつの名は『瞬影(しゅんえい)』といったところだな! いけ瞬影! 奴らを葬れ!!」

「ガアァッ!!」

「「なっ…!」」


瞬影は物凄い速さで二人にかかった。


「「っ…!」」


二人は瞬時に避けたが、通り過ぎる瞬間に切られたのだろう秦の肩から血が吹き出す。


「グアッ!?」

「秦兄!?」

『秦様!』

「グッ…」

『大丈夫ですか秦様…!?』

「なんとかな…しかしなんて早いやつだ!」

「…あぁ」


来豪は得意げな顔をして、


「当然さ! 名前のとおり風の属性がついてるんだからよ!」

「なるほど! 今までとは一味違うというわけだな!」

「おもしれぇ! 倒しがいがあるってもんだ! いくぜ秦兄!」

「あぁ! 瑪瑙!」

『はいです!』


秦は刀を光らせ斬馬刀を出現させ、


「『斬鉄光魔剣!!』」


秦は剣を瞬影にむけて振り回した。


「ギッ!?」


しかし瞬影は後少しというところでかわした。


「さすが…俺の一振りをかわすとは…だか!」

「まだ俺がいるぜ!」


翔は秦が真正面からかかっていった隙に空に飛んでいた。


「くらえ! 豪覇重点撃!!」


その両手に重力の塊を精製し瞬影に向けて放ち叩きつけた。


「ガァッ!」

「なに!?」


だが瞬影は紙一重で全てを躱した。


「くっ! まだまだ! 帝釈斬…改ッ!!」


翔は空中で反転し武器に重力をためて斬り掛かった。


「オオオォーーーッ! デリャアッ!!」


翔のひと振りで瞬影は真っ二つに切り裂いた。

そして地面に着地して、


「どうだ!?」

「おっ! やるじゃねえか! だがな…後ろを見てみな!」

「「なに…? グハッ!?」」


秦と翔は後ろに振り向こうとした瞬間、もう一体の瞬影に殴られてしまった。


「兄さん!!」


それをガリウスの映像を映し出す水晶玉で見ていた衛巳は悲鳴をあげる。


「な…に!? もう一体いたのか!」

「大丈夫か…秦兄!」

「あぁ…!」

『油断したです!』


水晶で状況を見ていた衛巳は、


「…わ、私兄さん達を助けにいきます!」

「なにをいっているの!? さっきの戦いを見たとおりあなたじゃ彼らとは戦えないわ!」

「でも!…兄さん達がやられているのに見てるだけなんて…」

「はい! できるものなら僕も助けにいきたいですよ…!」


衛巳と海斗が声を上げている間にも秦と翔は何度も拳をぶつけられてダメージを受けていく。


「がぁッ!」

「ぐぅッ!」

「さっき倒した奴より速え!」

『秦様しっかりです…!』


二人は防戦一方になっていた。


「…あ…あ…! 兄さん達が殺されちゃう! 秦兄さん! 翔兄さん!」


衛巳は泣きながら二人の名前を叫んだ。


『(…二人を助けたいっすか?)』

「えっ…?」


その時、衛巳の頭に優しそうな男性の声が響いてきた。


「えっ!?」

「まさか!」

その時、茶色の玉が輝いた。


衛巳「キャッ!!」


そして光は衛巳を包み込み精神世界へと誘う。


『…こ、ここってもしかして兄さん達がいっていた心の中の世界…?』

『そうですよ衛巳さん。俺の名は『岩蛇(がんじゃ)』です!』


するとそこには大柄で鎧を着ていて斧を背中に携えているが、かつ表情に優しさも秘めている男が現れた。


『岩蛇さん…。お、お願いがあります! もし…もし私が本当に岩蛇さんの生まれ変わりなのでしたら兄さん達を助ける力をください!』

『でもそしたら衛巳さんも戦いの世界に身を投じる事になるんですよ? いいんですか…?』

『兄さん達と一緒に戦えるなら構いません! それに私と同じ女性の真紅さん達も戦っているんです! だから逃げたりしません!』

『…わかったっす。今より力を授けます! 俺達では成し遂げられなかった想いも受け継いでください!』

『はい! 頑張ります!』


そして衛巳は精神世界から消えていった…。

それを見ていた岩蛇はというと、


『(しかし、我らの絆も捨てたもんじゃないっすね。なぁ無幻慈殿、鳥翔殿…我ら三羽烏の絆は不滅っす)』


岩蛇は意識が消える間際にそう呟いた…。

そして衛巳は現実世界に戻ってきて玉を握り締めて、


「いってきます!」

「えぇ…もうあなたなら立派に戦えるわ」


そして衛巳はみんなのところへと向かった。


「…想いの力はすごいですね」

「えぇ…秦くんと翔くん、そして衛巳さんは生まれ変わっても強い絆で結ばれていたのね。まさか三人揃って兄弟とは思わなかったわ…。秦くんと翔くんの時点で気づいておくべきだったわ」

「そうですね…」


海斗とガリウスはそう言葉をのべていた。




――to be continued.


岩蛇は二m以上はある巨漢です。

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